SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和7年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
検討に用いる前提を整理する
サービスの信頼性や開発・運用の連携を考える際は、判断の土台となる前提に注目しましょう。与えられた条件と、自分が補っている想定を区別して整理すると、知識だけで結論を急ぐことを防げます。
この問題で問われていること
検討の焦点は、考えようとしている内容がどの前提に基づくかを確かめることです。示された情報に戻り、根拠のある条件と追加の想定を分けて捉え、その違いを曖昧にしたまま判断していないか確認しましょう。
視点
前提とは、検討を進めるときに土台として置く条件や想定です。明示された情報と、自分の経験や知識から補った内容は、いずれも前提になり得ますが、その出所を区別して整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の土台にしている条件を言葉にできているか
- その条件は与えられた情報から確認できるか
- 自分で補った想定を、示された条件と混同していないか
正解と解説を見る
解説
本問は、SREの担当業務と開発経験の必要性、EBに基づくリリース判断、過去30日間の対象期間によるEBの回復を問います。無停止リリースによるSLO達成への利点と、利用者の体験を反映するSLIの追加も重要な論点です。
問題の全体像
U社は、24時間365日提供する動画配信サービスで、リリース頻度の増加に伴う受入準備の遅れやサービス停止に直面しています。そこでSREの考え方を取り入れ、T6サービスを対象にSチームを設けて信頼性向上を検証します。稼働率のSLOは99.965%、EBの最大値は過去30日間で15分とし、残量に応じてリリースや改善活動を判断します。公式資料の出題趣旨では、EBに基づく作業の進め方、運用の自動化、SREチームの組織のあり方などを通じて、信頼性を向上させる技術と能力を問うとしています。解答では、SREの一般論を述べるだけでなく、T6サービスの担当業務、停止実績、運用ルールを根拠にします。
設問1
表1の項番8に着目します。T6サービスでは、稼働しているアプリケーションプログラムの不具合の改修をSチームが担当します。一方、本文では開発課が機能追加の開発に専念する必要があるとされています。Sチーム自身が不具合を改修するため、運用経験に加えて開発経験が必要です。公式解答例では「アプリケーションプログラムの不具合の改修を実施するから」などが示されています。30字以内の答案では、不具合改修を担当するという具体的な理由を押さえます。採点講評では、開発から運用までのライフサイクル全般に関わる点だけに着目した解答が多かったとされており、T6サービスでの具体的な担当業務に結び付けることが重要です。
設問2
本文のリリース作業を凍結する方針と、表1の注にある定期リリース・緊急リリースの区別に着目します。EBが少なくなった際に全てのリリースを凍結すると、故障対応などに必要な不具合修正の緊急リリースまで実施できなくなります。そのため、緊急リリースを行える例外規定が必要です。公式解答例では「故障対応などの緊急リリースを行う必要があるから」と示されています。30字以内では、故障対応と緊急リリースの必要性を簡潔に述べます。
設問3(1)
公式解答例の数値は「3」です。本文の計算式「当日のEB=前日のEB-当日のEBの消費+当日のEBの回復」を使います。表4では5月1日のEBは2分で、5月2日の停止時間は0分です。5月1日の対象期間は4月2日から5月1日までですが、5月2日には4月3日から5月2日までとなり、4月2日に発生した1分の停止が対象期間から外れます。本文の定義に従い、この1分がEBの回復として加算されるので、5月2日のEBは2-0+1=3分です。稼働率の値から推測するのではなく、過去30日間から外れる停止事象を特定して計算することがポイントです。
設問3(2)
表3の項番2では、EBが3分以下となった場合、協議を行って翌日から稼働環境へのリリースを凍結し、信頼性回復のための改善活動を開始すると定めています。表4では、4月25日に定期リリースで1分、リリース戻し作業で2分、合計3分の停止が発生し、EBが5分から2分に減っています。このため翌日の4月26日に改善活動を開始しました。公式解答例では「4月25日にEBが3分を下回ったから」と示されています。25字以内では、基準に達した日付とEBの残量に関する条件を押さえます。採点講評でも、4月25日にEBが3分を下回った点を答えることが求められています。
設問3(3)
表2のSLOは稼働率99.965%であり、稼働率はサービス停止時間が増えるほど低下します。また、本文と表4の注記では、定期・緊急の区別なく、サービス停止によってEBを消費するとされています。サービスを停止せずにリリースできれば、その作業に伴う停止時間が発生せず、EBの消費や稼働率の低下を防ぐことにつながります。公式解答例では「リリース作業でのEB消費を防止できるから」「稼働率が低下することを防ぐことができるから」「障害復旧時間を短縮することができるから」が示されています。30字以内の答案では、例えば「リリース作業でのEB消費を防止できるから」と、SLO達成につながる利点を述べます。問題文には具体的な無停止リリース方式が示されていないため、実現手段を補わず、得られる利点を説明します。
設問4(1)
本文では、Sチームが開発課とEBの推移を示して議論し、T6サービスの信頼性について認識を合わせています。表3では、EBの残量を基に稼働環境へのリリースの凍結を判断し、凍結解除も両者で協議するとしています。したがって、EBを使って実施判断を議論した対象は稼働環境へのリリース作業です。公式解答例では、bに入る字句を「稼働環境へのリリース作業」としています。この字句は15字以内に収まります。採点講評では、「信頼性回復の改善活動」とした解答が多かったとされており、EBによって実施を判断するリリース作業に着目します。
設問4(2)
4月11日の事象では、プログラムのエラーによってリクエストが失敗し、利用者が応答を得られず再入力しています。サービスの稼働時間に基づく稼働率だけでは、このようなリクエストの失敗を十分に捉えられません。そこで、受け付けた総リクエスト数に対し、成功したリクエスト数が占める割合をSLIに追加します。公式解答例では、cに入る字句を「成功したリクエスト数」としています。この字句は15字以内に収まり、サービスが利用者の要求を正常に処理できた割合を表します。
学習のポイント
役割分担から必要な経験を導くこと、EBの消費・回復と判断基準を区別すること、利用者視点のSLIを理解することを重点に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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