SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和7年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





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検討の前提をそろえて考える
インシデント対応について検討するときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。分析や改善という言葉だけで結論を急がず、何を対象に、どの範囲で考えているのかを意識すると、論点を整理しやすくなります。
この問題で問われていること
考えを整理する際は、ある判断を支える前提が、別の判断でも同じ範囲を指しているかに目を向けましょう。関連する内容でも、対象の範囲が異なる場合があります。まずは範囲のそろい方だけに着目して検討してください。
視点
検討対象の範囲は、考えを整理するための共通の前提です。同じ話題に触れていても、考えている範囲が変わると論点がずれることがあります。対象の範囲を自分の言葉で確かめながら考えましょう。
確認ポイント
- 検討対象の範囲を自分の言葉で整理できているか
- 判断の途中で対象の範囲を変えていないか
- 異なる範囲の内容を同じ前提で扱っていないか
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解説
対応履歴をインシデント番号で結び付け、各パスの時間をSLAと比較する問題です。さらに、エスカレーション後の作業待ちと、サービスデスクで既存の回避策を発見できていない課題を具体化し、検索ツールや教育の改善につなげます。
問題の全体像
J社では販売システムの更改後にインシデントが増え、先月は通常インシデントが200件発生しています。通常インシデントのSLAは解決時間8時間以内ですが、最長7時間40分となり、目標達成が危ぶまれています。L氏はサービスデスク、開発課、問題管理の活動を一つの業務フローとして可視化し、時間が掛かる箇所とその原因を分析します。出題趣旨では、インシデント対応の手順と、それに関連するリアクティブな問題管理の活動に関する実務能力を問うとされています。図の件数・時間を読むだけでなく、記録項目から作業待ちを調べ、検索結果の差を改善課題として説明することが中心です。
設問1
着目するのは、通常インシデントの解決時間が最長7時間40分となり、SLAの8時間以内という目標の達成が危ぶまれている点です。活動の可視化や課題発見は手段なので、提供者として実現したい結果を答えます。公式解答例では、SLAの目標値の確実な達成、又はインシデントの解決時間の短縮が示されています。20字以内の答案では「SLAの目標値を確実に達成するため」又は「インシデントの解決時間を短縮するため」とまとめられます。
設問2(1)
インシデント管理ファイルには、各インシデントに一意に付番したインシデント番号が記録されています。表4のP11では、問題をエスカレーションされたインシデントとひも付けて記録し、問題管理ファイルにもインシデント番号を持たせています。この共通項目によって、同じインシデントに対する両プロセスの対応履歴を結び付けられます。公式解答例は「インシデント番号」で、10字以内に収まります。活動番号は活動の種類を示すため、個々のインシデントを識別する項目としては使えません。
設問2(2)(a)
空欄aは、サービスデスクで回避策を見つけられず、I41のエスカレーションへ進んだ件数です。図1ではI41の割合が30%で、図の凡例から、この割合の分母は対象の全200件と分かります。したがって、200×0.30=60件です。公式解答例でもaは「60」とされています。
設問2(2)(b)
空欄bは、開発課のI71でも回避策を見つけられず、新たな問題として問題管理へ進んだ件数です。図1では、その先のP11、P21、P22を通る割合がいずれも20%なので、200×0.20=40件です。公式解答例でもbは「40」とされています。20%はエスカレーションされた60件に対する割合ではなく、全200件に対する割合です。
設問2(3)
各パスで通る活動の平均実施時間を合計します。パス1は5+5+15+100+15+15=155分で2時間35分、パス2は5+5+15+10+80+10+100+15+15=255分で4時間15分です。パス3は5+5+15+10+80+5+140+15+100+15+15=405分で6時間45分となります。公式解答例では、パス3が通常インシデントの解決目標時間に近づいていることを理由としています。採点講評でも、単に時間が掛かると述べるだけでなく、SLAの達成が危ぶまれる状況を踏まえて具体的に説明するよう求めています。40字以内の答案は「パス3は平均6時間45分で解決目標の8時間に近いから」とまとめられます。
設問3(1)
作業待ちを調べるには、エスカレーションしてから開発課が調査を開始するまでの時間を確認します。本文では、I41の終了日時にエスカレーションメールの発信日時を記録するとあります。また、表3の注記では、開発課の担当者が活動開始時に自分のIDを登録すると、開始日時が記録されます。したがって、同じインシデントのI41の終了日時とI71の開始日時との差を調べます。図1のI71の80分は、直前の活動の終了からI71の終了までの時間なので、調査そのものに加えて作業待ちも含み得ます。公式解答例は「I41の終了日時とI71の開始日時の時間差の状況」です。採点講評でも、記録された定量的なデータから何を調べるかを具体的に示すことが求められています。この解答例は30字以内に収まります。
設問3(2)
サービスデスクのI31で回避策を見つけられなかったのは、I41へ進んだ全体の30%、すなわち60件です。そのうち開発課のI71で既存の回避策を発見し、I72へ進んだものは全体の10%、すなわち20件です。この差から、既に存在する回避策をサービスデスクが発見できず、開発課へのエスカレーションが発生していることが課題と分かります。公式解答例でも、サービスデスクで発見できなかった60件のうち20件を開発課が発見した点が示されています。採点講評では、両部門が同じ活動をしているという指摘だけではなく、本来サービスデスクで発見すべき回避策を開発課が発見している状況を具体化するよう求めています。50字以内の答案は「サービスデスクが回避策を発見できなかった60件中20件は開発課が発見していること」とまとめられます。
設問3(3)
Mツールは開発課向けに作られたもので、新人オペレーターは検索機能を使いこなせていません。一方、ベテランは開発課要員とのコミュニケーションを通じて高度な検索機能を習得しています。この記述から、オペレーターが回避策を効果的に検索できるよう、ツール又は使用法の習得を改善する方向を考えます。公式解答例では「オペレーターが回避策を効果的に検索できるツールの開発」と「開発課要員によるオペレーターへのMツール使用法の教育」の二つが示されています。30字以内の答案として、いずれか一つを記述できます。ツール開発なら検索のしやすさ、教育なら開発課要員による使用法の指導まで示すことが要点です。
学習のポイント
割合の分母、活動時間に含まれる待ち時間、部門間の検索結果の差を、図と記録項目から根拠を持って説明する力を養いましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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