SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
検討の前提をそろえて考える
ITサービスについて考えるときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。示された情報を捉える際に、明示された条件と自分で補った想定を分け、同じ前提のもとで意味を確かめることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、与えられた条件を離れて、普段の経験や一般的な印象だけで判断していないかを確認しましょう。考えの根拠をたどり、どこまでが示された前提で、どこからが自分の想定なのかを意識して整理してください。
視点
検討の前提とは、考えを進める際によりどころとする条件です。示された情報と自分の想定が混ざると、判断の根拠が曖昧になります。気になる点があれば、その考えがどの条件に基づくかを確かめましょう。
確認ポイント
- 判断のよりどころとなる条件を押さえたか
- 示された条件に自分の想定を加えていないか
- 考えの根拠を与えられた条件に結び付けられるか
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解説
本問は、建設現場の報告作業などを改善する新サービスについて、利用者への効果測定、初期サポートの引継ぎ、マニュアルとFAQの改善、利用状況の把握を考える問題です。新サービスの定着を、過酷な労働環境という経営課題の解決につなげて説明することが要点です。
問題の全体像
E社は、人手不足が深刻化する中、長時間労働や深夜作業などの過酷な労働環境を改善する必要があります。営業所では、現場情報の反映が遅いこと、帰所後の報告作業が残業になること、施主向け報告書の手作業に工数が掛かることが課題です。Gシステムを導入し、携帯SDによる現場からの情報更新や報告作業、施主への情報提供を実現します。公式の出題趣旨では、ITを活用した新サービスの計画・運用・評価、課題に対する効果測定、導入初期のサポートに関する実務能力を問うとしています。機能の導入から利用支援、定着の確認までを、経営課題の解決という目的に結び付けて読むことが重要です。
設問1(1)
着目するのは、従来の施主向け報告が月に一度だったことと、新サービスでは基幹システムの施工情報を編集して施主に提供し、保守時間帯以外は常に利用できることです。これにより、施主は月次の報告を待つだけでなく、最新の報告書や必要なときの報告書確認が可能になります。公式解答例では「最新の施主向け報告書を確認すること」または「いつでも施主向け報告書を確認すること」としています。いずれも20字以内です。表1の直前の項目にある報告書作成工数の削減は営業所員の効果なので、ここでは施主側の確認の利便性を答えます。
設問1(2)
図1の課題2では、現場作業員が営業所に戻って行う報告作業の大半が残業時間となっています。表1では、営業所に戻らず報告作業を行うことで残業時間を抑制できるとしています。この対応から、定量的に測定する対象は残業時間の減少です。公式解答例では「残業時間の削減量」または「残業時間の削減率」としており、いずれも10字以内です。削減量は導入前後の残業時間の差、削減率は導入前の残業時間に対して減った割合として捉えます。答案では、単に労働環境の改善とするより、数値で比較できる指標を示します。
設問2
重要なのは、初期サポートの完了判定が契約終了の1週間前に行われる点です。表2のインシデント解決の完了基準は「未解決インシデントなし」であり、判定時に未解決のものがあればサポート終了日を延長します。しかし、完了判定後も契約終了まではG社要員が対応するため、その間に新たに発生し、終了時点でも未解決のインシデントが残る場合があります。公式解答例では、この時期に発生して終了時点で未解決のものを引継ぎ対象としています。40字以内なら「完了判定後に発生し、初期サポート終了時点で未解決のインシデント」と整理できます。採点講評では、一般的な引継ぎの説明が多かったと指摘しており、発生時期と終了時点の未解決状態を両方示す必要があります。
設問3(1)
説明会でマニュアルを理解できなかった原因として、作業員が理解できない専門用語をそのまま使っていたことと、鉄道事業に特化した工事で使う用語で記述されていなかったことが挙げられています。したがって、変更の方向は、利用者が現場で日常的に使う言葉に合わせることです。公式解答例では「E社で使われている用語や表現に変更」としており、20字以内に収まります。本文の空欄に入れると「利用者マニュアルの内容をE社で使われている用語や表現に変更すること」となります。答案では、単に分かりやすくすると述べるだけでなく、どの用語や表現に変更するかを示します。
設問3(2)
G社から受領した一覧表は、過去に他社で発生した問合せをまとめたものです。一方、E社では第1段階の展開で、マニュアルの用語が理解できないなど、実際の利用方法に関する問合せが発生しています。FAQは第1段階と第2段階の間に整備するため、他社の事例にE社で実際に生じた問合せを追加することができます。公式解答例では「第1段階の展開で実際に発生した問合せの内容」としており、25字以内です。採点講評でも、FAQを整備した時期とE社現場の特性を踏まえるよう求めています。答案の中心は、E社の第1段階で得た実際の問合せを反映することです。
設問4(1)
本文には、Gシステムが全ての操作履歴を利用者IDとともにログファイルへ記録するとあります。利用者ID付きの操作履歴を利用者情報と照合すれば、本来利用すべき現場作業員のうち、誰が実際に利用しているかを確認できます。図2では、Gシステムが保持する情報として「利用者情報」「権限情報」「ログ情報」が示されています。公式解答例では「ログ情報」または「Gシステムのログ情報」としており、いずれも10字以内です。利用者情報は利用対象者との照合に使い、実際の利用を確かめる根拠にはログ情報を使う、という役割の違いを押さえます。
設問4(2)
新サービスを利用していない要員は、従来どおり営業所で報告作業を続けています。利用が定着しなければ、現場から報告作業を行うことで残業時間を抑制する効果が十分に得られず、過酷な労働環境の改善という経営課題の解決につながりません。経営層の支援を得る理由は、この取組が全社の経営課題に関わるためです。公式解答例では「経営課題の解決には、新サービスの定着が必要だから」などとしています。この表現は30字以内です。採点講評では、現場へのシステム定着だけでなく、DXによる経営課題の解決への理解を求めています。操作方法の説明が必要だからという理由だけで終わらず、定着と経営課題を結び付けて答えます。
学習のポイント
課題と効果の対応、サポート終了前の時点の違い、実際の問合せを使った改善、ログによる利用確認を押さえ、利用定着と経営課題の関係を説明できるようにします。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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