SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
判断に用いる前提条件を整理する
情報セキュリティに関する内容を検討するときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。与えられた情報から確認できる条件と、自分の知識や経験で補っている条件を分けると、検討の土台を整理できます。
この問題で問われていること
今回の検討では、判断に用いる条件が与えられた情報に基づいているか、という一点に絞って考えましょう。知っている事例をそのまま当てはめず、明示された条件と推測で補った条件を区別して扱うことが大切です。
視点
検討の前提には、与えられた情報で確かめられるものと、読み手が補っているものがあります。まずは条件の出どころを意識し、推測を確定した条件として扱っていないかを振り返りましょう。
確認ポイント
- 判断に使う条件の根拠を示せるか
- 自分の経験から条件を補っていないか
- 推測した条件を確定事項として扱っていないか
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解説
本問では、ログの時刻同期・保護・バックアップ、業務ツールの過検知防止と利用前の安全性確認、当日中の解決方法決定を支える保守契約を、事例の条件に即して考えることが重要です。
問題の全体像
J社は、営業システムの情報セキュリティ強化として、未知マルウェア対策製品の導入とログ管理方法の見直しを進めています。導入したLソフトは実行ファイルの挙動を監視するため、安全な業務ツールでも大量のファイル操作を行うと過検知され、業務停止につながる場合があります。また、ログには時刻のずれ、分散保存、消失リスクという課題があります。公式の出題趣旨では、現在の運用状況と対策内容を把握し、業務への影響を考慮して効果的な強化策を策定する実務能力が問われています。各設問では、対策の機能を述べるだけでなく、事例の課題をどう解消するかを説明することが重要です。
設問1(1)
表2の「記録」と、本文の「時間軸での発生事象の流れを正確に把握できない」という記述に着目します。機器ごとのシステム時刻がずれると、複数のログを比較しても事象の前後関係を正しく判断できません。NTPサーバによって各機器の時刻を同期する目的は、この問題を解消することです。公式解答例では「時間軸での発生事象の流れを正確に把握」などが示されています。25字以内の答案では、このように「発生事象の流れ」と「正確な把握」を押さえます。「時刻を同期する」だけでは、空欄で求められる対策の効果まで説明できません。
設問1(2)
図1の説明では、LAN1はインターネットに接続するサーバを置くセグメント、LAN2はLAN1及びLAN3だけからアクセスできるセグメントです。ログ管理サーバには調査の根拠となるログを集約するため、外部からの攻撃を受けにくい内部セグメントに設置してログを保護します。公式解答例で選択されているのはLAN2です。40字以内の理由は「内部セグメントは外部から攻撃を受けにくく、ログの改ざんから守れるから」と整理できます。採点講評では、セグメント選択の理由について、セキュリティへの脅威やリスクを解答することが求められています。単にログ収集に便利だからと説明するのではなく、攻撃と改ざんのリスクに結び付けます。
設問1(3)
表2の「管理」では、災害やサイバー攻撃によってJ社内のログが消失するリスクと、被害発生時に速やかに復旧する必要性が示されています。そこで、集約したログのバックアップをJ社内とは別の保存先に確保します。図1にはクラウド事業者の「ストレージサービス」があり、本文では容量を動的に拡張でき、通信の安全性も確保されているとされています。公式解答例では、このサービスを使ってバックアップを保存します。30字以内の答案は「ストレージサービスを使ってバックアップを保存」とまとめられます。図1中の字句を使う条件を満たし、保存先と実施内容の両方を示すことがポイントです。
設問2(1)
L社の解析によって、今回検知された業務ツールは安全な実行ファイルであり、大量のファイルオープンが過検知の原因だったことが確認されています。次に着目するのは、Lサーバに検知対象外の実行ファイルを登録すると、そのハッシュ値が各機器へ自動配付され、一致するファイルが検知対象外になるという仕様です。公式解答例では、当該業務ツールの実行ファイルをLサーバに登録します。30字以内の答案は「当該業務ツールの実行ファイルをLサーバに登録する」と示せます。安全性が確認されたファイルについて、製品に備わる除外機能を使い、再び過検知されることを防ぐ対策です。
設問2(2)
求められるのは、図2の④の利用申請承認前に情報システム部が実施する、安全性確認の具体的な手順です。今回の事例では、完成した業務ツールの挙動がLソフトに検知され、L社による検体解析で安全性を判断できました。この確認を利用開始前に行います。公式解答例では、完成した業務ツールをLソフトでテストし、検知した場合は安全かどうかの判定をL社に依頼します。50字以内では「完成した業務ツールをLソフトでテストし、検知時は安全かの判定をL社に依頼する」と整理できます。採点講評では、安全性の事前確認なしに検知対象外として登録する誤答が多かったとされています。検知対象外への登録だけで済ませず、まずテストし、必要に応じて保守サービスを利用する手順を押さえます。
設問3
本文の運用ルールでは、解決に時間が必要なインシデントでも、当日中に解決方法を決定することが求められています。一方、表1の注記では、標準サポートで解析依頼の受付が18時以降になると、解析に時間が掛かる場合は回答が翌営業日になることがあります。今回の回答は19時50分に得られましたが、常に当日中に回答を得られる契約条件ではありません。公式解答例では、この翌営業日回答の可能性を契約見直しの理由としています。40字以内の答案は「解析依頼が18時以降の場合、回答が翌営業日になる可能性があるから」とまとめられます。採点講評でも、依頼の時間帯によって運用ルールを守れない場合があることを具体的に説明するよう求められています。サービス終了時刻だけでなく、回答が持ち越される条件と当日中の判断義務を結び付けます。
学習のポイント
製品の機能やサービス時間を読むだけでなく、対策の目的と業務上の制約を結び付け、具体的な手順や理由として短く表現する力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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