SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件を整理する
システム監視や運用改善について考えるときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。何を目的とし、どの範囲や状況を想定しているのかを整理すると、与えられた情報の意味を捉えやすくなります。
この問題で問われていること
判断の根拠にする情報が、どの条件の下で成り立つのかを確かめることに焦点を置きましょう。明示された条件と自分で補った想定を分け、異なる前提を知らないうちに混ぜていないかを確認してください。
視点
条件の整理では、明示されている事実と、理解のために自分が置いた想定を区別します。ある情報を判断の根拠にするときは、その情報と結び付いている前提を見失わないようにしましょう。
確認ポイント
- 判断に関わる前提条件を把握できているか
- 明示された条件と自分の想定を区別できているか
- 根拠とする情報の前提が途中で変わっていないか
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解説
本問は、固定しきい値監視の課題を、AIによる曜日・時間帯別の監視と記録の自動化で改善する事例です。対応時間の確保、学習データの選別、設定値の妥当性確認、通常と異なるCPU使用率の早期検知を結び付けて理解することが要点となる。
問題の全体像
W社では、生産システムを24時間365日稼働させ、CPU使用率を一律80%のしきい値で監視している。生産支援業務のある時間帯は負荷が高く、一時的なしきい値超えでもイベント情報の記録が必要なため、監視チームの負担が大きい。そこで、過去4週間の同じ曜日・測定時間帯の利用傾向からしきい値を設定するRソフトを導入し、記録作業の自動化と異常の早期発見を図る。公式の出題趣旨では、自動化ツールの特性を踏まえて監視を改善し、その結果を分析・評価する能力を問うとしている。各設問では、負担軽減だけでなく、業務影響を防ぐための対応時間や、学習データの適切さにも着目する。
設問1(1)
着目するのは、しきい値超えが10分後にも発生するとインシデント対応を開始し、CPU使用率が90%以上となって業務影響が出る前に、利用者へ業務量の抑制を依頼するという運用です。しきい値を80%から90%へ上げると、検知が遅くなり、業務影響を抑えるために対応できる時間が減る。公式解答例では「インシデント対応を行うための時間が減少するから」としており、25字以内ではこの因果関係を押さえる。採点講評では、業務影響有インシデントが発生することだけを書いた誤答が多かったとされているため、対応時間の減少まで説明することが重要です。
設問1(2)
表4の項番1では、自動設定されたしきい値が「指定する基準値」の80%を超える時間帯がある場合に、しきい値設定の警告が表示される。これは、実測したCPU使用率がしきい値を超えた際の通知とは異なる。設定値が高すぎると必要な検知が遅れるおそれがあるので、確認する対象は自動設定されたしきい値の妥当性となる。公式解答例は「Rソフトが設定したしきい値の妥当性」であり、20字以内ではこの確認対象を端的に示す。採点講評でも、発生時刻や対象サーバなど、しきい値超え発生時の確認内容を書いた誤答が挙げられている。
設問1(3)
表4の項番1にある計算方法と、表5の水曜日13:31~13:40の列に着目する。過去4週間のCPU使用率は67%、64%、66%、67%なので、その平均は(67+64+66+67)÷4=66%となる。設定するしきい値は、この平均に5%ポイントを加えた71%です。したがって、空欄aには公式解答例と同じ「71」が入る。5%ポイントの加算は66+5という計算であり、66に1.05を掛ける計算ではありません。
設問2(1)
着目するのは、W社が年末年始を休業日としていること、Rソフトが過去4週間の同じ曜日・測定時間帯のデータからしきい値を設定すること、そして1月上旬に超過が多発したことです。年末年始の休業日のデータが含まれると、勤務日より低いCPU使用率が平均を引き下げる。その結果、勤務日の監視に使うしきい値も下がり、通常の業務負荷でも超過しやすくなる。公式解答例では「勤務日のCPU使用率より低い休業日のCPU使用率を学習すると、設定されるしきい値が下がるから」としている。50字以内では、休業日の低い使用率を学習することと、しきい値が下がることを結び付ける。システムが常時稼働していても、業務による利用量は勤務日と休業日で異なる点が重要です。
設問2(2)
導入前は、しきい値超えのたびに発生時刻、対象サーバ、メッセージ内容をイベント記録簿へ記録していた。表4の項番2では、Rソフトがしきい値超えを検知するとイベント情報と設定されたしきい値を記録する。また、検証の本文には、それらを出力できるとある。このため、手作業で記録簿を作る負担を減らせる。公式解答例は「イベント情報の記録が自動化され、イベント記録簿として出力できるから」です。40字以内では、記録の自動化と記録簿としての出力という二つの要素を押さえる。
設問3
着目するのは、通常は同じ曜日・時間帯のCPU使用率が50%程度なのに、業務影響有インシデントの発生日には70%の状態が1時間続き、その後80%を超えたという推移です。従来の固定しきい値では、この70%の段階を検知できなかった。Rソフトは曜日・時間帯別の通常の利用傾向に応じたしきい値を設定するので、80%に達する前の通常と異なる負荷を検知できる。公式解答例では「CPU使用率が同じ曜日、同じ時間帯と違う傾向にあることを検知できるから」、または「CPU使用率70%以上が1時間継続する状態を、監視チームが発見できるから」という要点を示している。40字以内では、この通常との差や70%以上の継続状態を具体的に示す。採点講評では、前日の13時にインシデント発生を予測できるとした誤答が挙げられている。前日の13時はしきい値の設定時刻であり、早期発見の根拠は発生日のCPU使用率の推移にある。
学習のポイント
警告の発生条件を正確に読み分け、監視機能の仕様と業務の利用特性から、改善効果と注意点を説明する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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