SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題






解き方のヒントを見る
容量を検討する前提条件に注目する
データセンタの設備を検討するときは、扱っている条件の範囲をそろえることに注目しましょう。容量や構成について考える前に、与えられた情報がどの条件を前提としているかを整理すると、検討の軸が定まります。
この問題で問われていること
この分野では、設備に関する情報を、それが成り立つ前提条件と結び付けて捉える視点が役立ちます。まずは条件として明示されている内容を確認し、自分の経験や一般的な印象から条件を補っていないかを振り返りましょう。
視点
設備の容量や構成に関する情報は、前提条件と切り離さずに整理しましょう。示されている条件と、自分が推測で付け加えた条件を区別することが、検討の出発点になります。
確認ポイント
- 前提条件として明示されている内容を確認したか
- 示されている条件と自分の推測を区別したか
- 考えている内容が、どの前提条件に基づくかを確認したか
正解と解説を見る
解説
稼働中の電力負荷に増強分を累積し、kWからkVAに換算して自家発の容量とUPSの停電補償時間を確認します。さらに、保守停止と故障が重なる場合の冗長性、空調機の瞬断対策、サーバ異常時の影響度判定を考えます。
問題の全体像
W社のDCでは、電力会社からの供給停止に備えて自家発とUPSを設置しています。しかし、サーバ増強による負荷増加、自家発の手動切替え時間の長期化、新しいTシステムの高可用性要求に対応する必要があります。また、空調機の瞬断停止からサーバ停止が発生し、復旧後にファイルの不具合も判明しました。公式の出題趣旨では、電力供給設備の冗長性などを題材に、ファシリティマネジメントとインシデント管理の実務経験を問うとしています。設備の容量だけでなく、給電経路、保守中の故障、関係者を巻き込む判断まで検討する問題です。
設問1(1)
公式解答例では「2021年12月」です。図1で稼働している負荷は、ラック1~3の1、600+1、800+600kWと、空調機1・3の600+600kWで、合計5、200kWです。遮断状態の空調機2・4は含めません。自家発の出力容量7、500kVAは、問題の換算条件では7、500÷1.25=6、000kWの負荷に対応できます。表1の追加分を累積すると、5月は5、500kW、8月は5、800kW、10月は5、900kW、12月は6、100kWです。12月に必要な出力容量が6、100×1.25=7、625kVAとなり、初めて7、500kVAを超えます。各月の追加分だけで比較せず、それまでの増強分を累積することがポイントです。
設問1(2)
公式解答例では、UPSタイプ①が「2022年2月」、UPSタイプ②が「2021年8月」です。必要な停電補償時間は20分なので、表2ではタイプ①の負荷に必要な出力容量が2、500kVA以下、表3ではタイプ②が1、200kVA以下であれば条件を満たします。境界値は上限を含み、20分ちょうども条件を満たします。タイプ①の検討対象はUPS-A・B・Eです。UPS-Bが給電するラック2は、2022年2月に1、800+600=2、400kWとなり、必要な出力容量は3、000kVA、停電補償時間は15分になります。UPS-Aのラック1は、2021年10月の増強後でも1、700×1.25=2、125kVAで20分を確保でき、UPS-Eが給電する稼働中の空調機3は750kVAで30分です。したがって、タイプ①で最初に不足するのは2022年2月です。タイプ②の検討対象であるUPS-Fはラック3に給電します。2021年5月は(600+300)×1.25=1、125kVAで24分ですが、8月には(600+300+300)×1.25=1、500kVAとなって12分に短縮されます。したがって、タイプ②は2021年8月に不足します。
設問2
公式解答例では「ラック3(に収容するTシステムのサーバ機器)」です。Tシステムの配置先はラック1とラック3なので、この二つの給電経路を比較します。図1では、ラック1のUPS-Aに対して、予備のUPS-C・Dからも給電できる構成になっています。一方、ラック3はUPS-Fと予備のUPS-Gの2台です。ラック3では一方を保守停止している間に他方が故障すると、給電を継続できません。このため、追加する予備UPSはラック3へ接続します。25字以内の答案では「ラック3に収容するTシステムのサーバ機器」と対象を示せます。採点講評では、冗長性に問題がない箇所や、新規システムに関係しない箇所を選ぶ誤答が挙げられています。
設問3(1)
公式解答例では、空調機1及び空調機2に接続するUPS装置を設置するとしています。今回の原因は、電力会社からの供給の瞬断によって空調機1が停止したことです。図1では空調機1・2がUPSを経由していないため、瞬断を補償するUPSを新たに設置します。空調機2は予備機ですが、空調機1の保守中には稼働側になり得るため、両方を保護する構成が必要です。30字以内の答案では「空調機1及び空調機2に接続するUPS装置を設置する。」と、接続対象と設置する設備を示せます。採点講評では、既存の予備UPSを利用する解答は、他のUPSの冗長性を下げるため誤りとされています。空調機への給電を改善するときも、DC全体の冗長性を保つことが重要です。
設問3(2)
公式解答例では、表4の影響度「高」の判定基準に「又はサーバに異常発生」を追加するとしています。現在の「高」はコンピュータ室の温度がしきい値を超えた場合であり、一部のラック内の温度上昇は「中」です。しかし、表5では23時にサーバ1の停止を検知しており、この時点で関係者を巻き込む組織的な対応が必要でした。計画停止時間帯で直ちに業務への影響がなくても、停止時に生じたファイルの不具合が翌朝のオンライン処理開始を妨げています。そのため、室温の条件を満たさなくてもサーバ異常があれば「高」とするよう、条件を「又は」で追加します。40字以内の答案では「影響度高の判定基準に『又はサーバに異常発生』を追加する。」と示せます。採点講評では、求められているのは判定基準の変更であり、対応内容の変更を書く誤答が挙げられています。
学習のポイント
負荷の累積計算、UPSの接続経路と冗長性の把握、設備障害からシステム障害への波及を踏まえた判定基準の見直しを学びます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針