SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和元年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
分析の根拠が何かを確かめる
この分野を学ぶときは、分析の根拠として何が示されているかに注目しましょう。観察された事実と、そこから導かれた解釈を分けて捉えることで、印象だけに頼らずに内容を検討しやすくなります。
この問題で問われていること
検討する内容について、その判断を支える事実は何かを確かめてください。判断そのもののもっともらしさだけで受け止めず、示された情報と解釈のつながりを意識して、根拠を整理してみましょう。
視点
事実は確認できた内容、解釈はその内容に意味を与えた考えです。両者を区別し、どの事実を根拠にその解釈へ進んだのかを確かめると、分析を落ち着いて捉えられます。
確認ポイント
- 確認できる事実はどこまでか
- 解釈として述べられている内容は何か
- その解釈がどの事実に基づいているか
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解説
本問は、サーバの状態を見誤ったインシデントの再発防止策を考え、ヒヤリハットの発生傾向と原因別件数を分析する問題です。複数人による確認、全チーム平均との比較、パレート図による改善対象の選定と削減率の計算が要点です。
問題の全体像
X社は24時間365日のシステム運用監視サービスを提供しています。チームbでは、少なくとも1台を稼働させる必要がある2台のサーバを順に再起動する際、担当者がS102の正常表示をS101の表示と見誤り、2台を同時に停止させました。この事例の再発防止に加え、全5チームのインシデントとヒヤリハットを分析して改善対象を絞り込みます。公式の出題趣旨では、問題管理における原因・傾向の分析を通じて、恒久的な解決策と改善すべき課題を確認する能力を問うとされています。
設問1
着目するのは、各チームが数名のオペレータで構成される一方、再起動作業は1名で実施されている点です。表1の項番4では、S101がまだ再起動中だったのに、担当者がS102の正常表示を見てS101も正常だと判断しました。ここで複数のオペレータが対象サーバと正常表示を確認すれば、1人の見誤りを検出でき、S102の再起動へ進む前に止められます。公式解答例では、項番4で「S101が正常」と表示されていることを複数のオペレータが確認するとしています。40字以内では「項番4でS101の正常表示を複数のオペレータが確認する。」と、確認箇所・対象・複数人という要素を押さえます。採点講評でも、「チームの特性を生かして」という前提への理解に言及しています。
設問2(1)
まず、表2のチーム稼働率が全チーム平均50%を超えるチームを特定します。該当するのはaの70%とbの65%です。この2チームのヒヤリハット合計は86件と44件で、どちらも全チーム平均40件を上回ります。公式解答例では「ヒヤリハットの合計件数が全チーム平均より多い。」としています。この表現で30字以内に収まります。採点講評では、稼働率が高いチームの特徴を答えるところで、稼働率が高くなる原因を述べた誤答が多かったとされています。既に示された追加作業依頼の多さを繰り返すのではなく、表から読み取れる発生件数の特徴を答えます。
設問2(2)
表2のインシデント合計件数を比較すると、上位2チームはaの8件とcの5件です。この2チームの軽微のヒヤリハットは59件と33件で、どちらも全チーム平均30件を上回ります。一方、危険のヒヤリハットは27件と5件、ヒヤリハット合計は86件と38件であり、いずれも両チーム共通で平均を超えるわけではありません。したがって、公式解答例では「軽微のヒヤリハット発生件数が全チーム平均より多い。」としています。この表現で30字以内に収まります。採点講評では、上位2チームに共通する傾向を抽出できない答案や、発生傾向の代わりに発生原因を述べた答案が指摘されています。設問2(1)とは対象チームが異なる点にも注意します。
設問3(1)
本文には、Y氏が「ヒューマンエラー事象の原因に着目」して改善対象を特定するとあります。また、図1で原因を9種類に分類し、表3で原因別件数を集計しています。したがって、パレート図の分類項目もこの原因とします。公式解答例の「ヒューマンエラー事象の原因」は20字以内に収まります。表3にはチーム別の行もありますが、今回の分析目的に合わせて原因別の列を使います。
設問3(2)
図2の手順(ⅲ)で分類項目ごとのデータ数の合計を求め、手順(ⅳ)でその合計が大きい順に並べて棒グラフにします。このため、棒グラフの縦軸は各原因に該当するヒューマンエラー事象の合計件数です。公式解答例の「ヒューマンエラー事象の合計件数」は20字以内に収まります。インシデントだけでなくヒヤリハットも含めた件数を用います。累積比率は手順(ⅵ)で折れ線グラフにする項目なので、棒グラフの縦軸とは区別します。
設問3(3)
表3の合計行を原因別に多い順へ並べると、②慣れ67件、①不慣れ46件、③不注意38件、⑥錯覚25件、④近道16件、⑤パニック11件、⑧意識低下6件、⑨その他6件、⑦疲労5件となります。全体は220件です。上位からの累積件数は67件、113件、151件、176件で、図2の指定どおり整数に丸めた累積比率は30%、51%、69%、80%です。4項目目の⑥までで80%になるため、対象は「②、①、③、⑥」です。公式解答例もこの4項目を挙げ、順不同としています。採点講評では、チームに着目した誤答が多かったとされています。ここではチームa~eではなく、分析目的である原因①~⑨を選びます。
設問3(4)
表3の全体220件を半減するには、110件を削減する必要があります。設問3(3)で選んだ改善対象4項目の合計は、67+46+38+25=176件です。問われているのは、この176件のうち何%を削減すればよいかなので、110÷176×100=62.5%となります。小数第1位を四捨五入すると63%で、公式解答例の「63」と一致します。全体に対する削減率50%と、改善対象に対する削減率63%では分母が異なる点を押さえます。
学習のポイント
設問ごとの比較対象と集計単位を正確に読み取り、原因別の累積比率と改善対象に対する削減率を区別して求める練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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