SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
令和元年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
評価する際の前提に注目する
状況を評価するときは、判断の土台となる前提がそろっているかに注目しましょう。見えている情報からすぐに結論を出さず、同じ意味で扱える情報かを確かめる姿勢が、考えを整理する助けになります。
この問題で問われていること
この分野の検討では、評価の前提を意識すると、情報の受け取り方を整理しやすくなります。ある情報に基づく判断を別の情報にも当てはめてよいか、その根拠となる前提を自分の言葉で確かめてみましょう。
視点
前提とは、情報を解釈するときに置いている条件のことです。評価について考える際は、その情報がどのような前提に支えられているかを意識すると、判断の根拠を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を自分の言葉で説明できているか
- 扱う情報の前提がそろっているか
- 示された前提と自分で補った仮定を区別しているか
正解と解説を見る
解説
顧客アンケートを起点に、対応履歴から初回回答の遅延傾向と未完了の問合せを把握し、改善活動に対応するKPIを設定します。目標を達成している場合も、時間帯別の待ち時間などを分析し、未達につながる兆候を捉えることが要点です。
問題の全体像
H社は名刺画像をデータ化するクラウドサービスを提供し、サービスデスク(SD)が利用者の問合せに対応しています。顧客アンケートをきっかけに、初回回答時間、最終解決時間、FAQの検索性、名刺情報の登録待ち時間を改善する事例です。公式の出題趣旨では、改善プロセスに沿ってデータを収集・加工・分析し、原因の分析からサービスとプロセスの改善方法を策定する実務能力を問うとしています。目標の達成状況だけでなく、達成が危ぶまれる傾向と改善活動の効果を読み取ることが重要です。
設問1(1)
表3の初回回答までの経過時間とエスカレーション先を照合します。項番3は160分、項番7は175分で、いずれも技術課にエスカレーションしています。他の初回回答済みの問合せは13~24分であり、この2件は3時間の目標に近い時間を要しています。項番7は営業時間外の受付なので、注記に従い翌営業日9時からの175分で比較します。公式解答例では、技術課へのエスカレーションと初回回答時間の長さを共通点としています。40字以内では「技術課にエスカレーションした問合せは初回回答までの時間が長い。」と要素をまとめられます。目標を超過したとは書かず、達成が危ぶまれた傾向を示します。
設問1(2)
改善策は、手順書を整備してSDがスキャナ障害などを切り分け、対応できるようにすることです。したがって、その効果は技術課に依頼せず対応を完了できた問合せの割合で測ります。公式解答例もこの割合を挙げています。40字以内では「技術課に依頼せず対応完了となった問合せの割合」とまとめられます。依頼しなかっただけでは未解決の問合せも含まれるため、「対応完了」が必要です。採点講評では、目標を達成するための活動が適切に実施されていることを表す指標の設定を求めています。設問の除外条件に従い、初回回答を3時間以内にするというサービス目標値そのものは答えません。
設問1(3)
本文の抽出条件は、受付日を含めて4営業日目で、まだ対応が完了していない問合せです。表3の注記では、「対応中」は初回回答後から対応完了前、「受付」は受付後から初回回答前を表します。どちらも未完了なので、両方を含める必要があります。公式解答例では「完了日時欄が“受付”又は“対応中”」としています。これは20字以内に収まり、表3の字句を使う条件も満たします。採点講評では「対応中」だけを記載した誤答が多かったとされており、初回回答前の問合せを漏らさないことがポイントです。
設問1(4)
F事業部長の指示は、今後も定期的に現状を把握し、改善プロセスを継続して回すための対策です。今回の改善は顧客アンケートがきっかけであり、F事業部ではそれまで顧客アンケートを実施していませんでした。そこで、この意見収集を定期的に行う仕組みが必要になります。公式解答例では「定期的な顧客アンケート調査の実施」としています。20字以内では、この対策をそのまま簡潔に示し、除外されているKPIの設定については書きません。
設問2
改善前は、SDへの問合せの約10%がFAQ掲載内容でした。FAQの構成、掲載方法、回答内容を見直す目的は、利用者が自ら疑問を解決し、FAQで解決できる問合せを減らすことです。公式解答例では、全問合せに占めるFAQ掲載内容の問合せ割合が、どれだけ減少したかをKPIとしています。40字以内では「SDへの全問合せに占めるFAQ掲載内容の問合せ割合の減少率」とまとめられます。単なる問合せ総件数ではFAQ改善の効果を捉えにくいため、対象をFAQ掲載内容に絞り、全体に占める割合の改善前後の変化を測ることがポイントです。
設問3(1)
カタログ目標値は、平日9時~16時に送信された名刺画像を60分以内に顧客DBへ登録することです。表1項番3では、朝9時台と夕方16時直前の送信について、参照できるまでに1時間近く掛かるとの意見が示されています。目標を達成していても余裕が小さい時間帯があると分かるため、達成が危ぶまれる事象の有無を調べるきっかけになります。公式解答例の答えは「3」です。項番2の登録誤りは正確性の問題であり、ここで問われる登録時間の目標との対応を見極めます。
設問3(2)
表1項番3では特定の時間帯の待ち時間が長く、本文では午前中の作業量増加と要員増強が説明されています。そこで、名刺画像の送信から顧客DBへの登録までの待ち時間を時間帯別に平均し、どの時間帯で長くなるかを把握します。公式解答例では「名刺画像の送信から顧客DBに登録されるまでの時間帯別の平均待ち時間」としています。40字以内では「名刺画像の送信から顧客DB登録までの時間帯別の平均待ち時間」とまとめられます。採点講評では、「9時台の件数」など全体の傾向を分析できない誤答が多かったとされています。処理件数だけでなく、目標に直接関係する待ち時間を時間帯ごとに比較することが必要です。
学習のポイント
目標値とKPIの違い、未完了状態の網羅、改善の継続に必要な顧客意見の収集、時間帯別分析の読み取りを学習する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針