SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
判断に使う前提条件の確認
この分野を学ぶときは、判断の前提となる条件に着目しましょう。見えている情報から確かめられる条件と、自分で補っている条件を区別すると、思い込みに頼らず検討するための足場ができます。
この問題で問われていること
考える際には、ある判断がどの条件を前提としているかを意識してください。その条件が示された情報に基づくものか、普段の経験から補ったものかを確かめ、両者を混ぜずに扱うことに焦点を当てましょう。
視点
判断の前提とは、考えを進めるときに成り立つものとして置いている条件です。情報として明示された条件と、自分が仮に置いた条件を分けて捉えましょう。
確認ポイント
- 判断の前提に置いている条件を意識できているか
- その条件の根拠を示された情報から確認できるか
- 経験から補った条件を、明示された条件と混同していないか
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解説
本問の要点は、インシデント対応を優先する組織的な調整と作業時間の確保、解決手順の共有によるサービスデスクでの解決率向上、標準変更の移行による変更要求の処理期間短縮です。
問題の全体像
A社のIaaS事業部では、サービスデスクが利用者の窓口となり、必要に応じて技術課にインシデントの解決を依頼している。タイプ1は登録済みの手順でサービスデスクが解決し、タイプ2は技術課の指示に従ってサービスデスクが解決し、タイプ3は技術課が解決する。S氏は、技術課の回答遅延への対策、タイプ1の比率向上、変更作業のサービスデスクへの移行を進める。公式の出題趣旨では、優先度の扱い、再発への備え、標準変更への対応を題材に、インシデント管理手順の遂行能力とプロセスの改善能力を問うとしている。各設問では、担当者の役割と改善によって得られる効果を具体的に捉えることが重要です。
設問1(1)
着目するのは、技術者への督促だけでは回答遅延を防げず、解決目標時間を達成できないおそれがある場合に、サービス責任者のS氏が関与するという改善策です。技術課では計画的な変更作業を優先し、インシデント対応を後回しにすることがあった。そこで、S氏を通じて技術課に対応の優先を依頼し、組織として作業の優先順位を調整する。公式解答例では「技術課に対してインシデント対応を優先してもらうための依頼」としている。30字以内の答案では「技術課にインシデント対応を優先してもらうための依頼」とまとめられる。採点講評では、本文の記述を抜き出すだけの解答も指摘されており、エスカレーション先の名称だけでなく、何を依頼するかまで示す必要がある。
設問1(2)
調査対象は、技術者が毎日始業時に策定する当日の作業計画です。回答が遅れたインシデントの大半は期限内に対応できる内容だったため、技術的な難しさだけでは遅延を説明できない。予定された変更作業で作業時間を埋めてしまい、途中で発生するインシデントへの対応時間を確保していない可能性に着目する。公式解答例では、計画策定時に想定されるインシデント対応の作業時間を確保していることを挙げている。40字以内の答案では「作業計画で想定されるインシデント対応の作業時間を確保しているか」とまとめられる。単に作業量や計画の進捗を調べるのではなく、突発的な対応に必要な時間の確保を調べる点が要点です。
設問2(1)
ヒアリング結果のうち、サービス変更に伴うインシデントがタイプ3の約3割を占め、変更後の短期間に集中して発生する点に着目する。再発性のあるインシデントへの対策は、既に「解決後にサービスデスクが手順を登録する」という提案に含まれている。設問は「これら以外」の登録内容を問うため、変更によって発生すると想定されるインシデントに備え、技術課がその解決手順を登録することになる。公式解答例では「サービスを変更した際に想定されるインシデントの解決手順」としており、そのまま30字以内で表現できる。採点講評では、ヒアリング結果から判明した発生傾向に対して適切な取組を考えることを求めている。
設問2(2)
技術課には、解決手順の文書化や登録内容の確認という作業が追加される。一方、その手順を使ってサービスデスクが解決できるインシデントが増えれば、技術課への解決依頼が減る。タイプ2で繰り返していた手順の指示や、タイプ3で行っていた解決作業の一部をサービスデスクに移せるため、技術課の対応負荷が低減する。公式解答例では「技術課が行うインシデント対応の作業負荷が低減するから」としており、40字以内でこの因果関係を示せばよい。採点講評でも、サービスデスクで解決できる比率の向上が、機能的エスカレーション先の業務効率化につながる点に言及している。
設問3(1)
移行候補は、ストレージ利用のためのアカウント作成・更新であり、要求頻度が高く、失敗するリスクが低い変更作業です。また、サービスデスクの体制強化と教育は実施可能とされ、事前認可を受ける方針も示されている。技術課が行うべきことは、サービスデスクがその変更を実施できるよう、具体的な作業手順を整えることです。公式解答例では「サービスデスクで実施できるように標準変更の手順を整備する」としている。40字以内の答案でもこの表現を使える。頻繁で低リスクの作業を事前認可された標準変更として扱い、担当を移すために必要な手順を用意する点が要点です。
設問3(2)
顧客側の利点は、変更要求を依頼してから実施されるまでの待ち時間が短くなることです。従来は週1回の変更審査会に申請し、承認後の翌日以降に作業していた。対象作業を事前認可された標準変更としてサービスデスクで処理できれば、個々の要求について週次の審査会を待つ時間を短縮できる。公式解答例では「変更要求の依頼から実施までの期間が短くなる」、又は「変更要求の依頼から実施までの期間が1営業日以内となる」としている。30字以内の答案では「変更要求の依頼から実施までの期間が短くなる」とまとめられる。技術者の負荷軽減ではなく、顧客が要求した変更を早く利用できる効果を述べる。
学習のポイント
設問が求める行為と対象を特定し、本文の原因・対策・効果を結び付けて、字数内で具体的に表現する練習を重視する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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