SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
検討の前提をそろえて考える
災害時のITサービスに関する検討では、判断の前提がそろっているかに着目しましょう。与えられた情報の範囲を保ちながら、自分で補った想定が判断に入り込んでいないかを確かめることが出発点です。
この問題で問われていること
検討を進める際は、与えられた条件と自分の想定を区別することに意識を向けてください。判断に迷う箇所があれば、その迷いが示された情報によるものか、示されていない前提を補ったことによるものかを振り返りましょう。
視点
知識や経験から思い浮かぶ状況は、今回の検討で与えられた条件と同じとは限りません。考える際には、直接示された条件と、自分が補っている想定を区別して整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提を、与えられた情報にたどれるか
- 経験から浮かんだ想定を、与えられた条件として扱っていないか
- 検討の途中で、自分が置いた前提が変わっていないか
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解説
本問は、関東地区の被災に備えて関西地区の既存設備を活用するサービス継続計画を扱う。バックアップと更新ログの遠隔地保管、固定された処理時間に基づく運用時間の算出、訓練で判明した緊急連絡情報の改善が要点となる。
問題の全体像
F社は、関東地区の大規模地震で本社が使用できなくなる事態に備え、関西地区の支社にある生産管理サーバで財務会計システムも運用する計画を検討している。業務再開フェーズでは、生産管理業務と財務会計業務を順番に実施する。出題趣旨では、既存のITインフラを活用した災害対策と、復旧訓練を通じた課題発見の能力を問うとしている。復旧先のサーバだけでなく、バックアップ、DB更新ログ、緊急連絡情報が被災時に利用できるかを読み取り、処理順序と所要時間に沿って運用を設計する問題です。
設問1(1)
表2の注2では、フルバックアップを記録した磁気テープを、システムが稼働している当該サーバ室に保管するとある。財務会計システムは本社サーバ室にあり、復旧計画では本社からバックアップを取り寄せるため、本社が被災すると稼働データとバックアップが同時に失われるおそれがある。公式解答例では、本社サーバ室の被災によってバックアップを含むデータを喪失する点を挙げている。40字以内の答案では「本社サーバ室の被災で、バックアップを含むデータを喪失する。」と、被災箇所と失われる対象を示します。採点講評では、バックアップデータの運用に着目していない解答が多かったと指摘されている。
設問1(2)
設問1(1)の問題は、稼働データとバックアップが本社サーバ室に集中していることです。したがって、同じ災害で失われない関西地区にもバックアップを保管し、本社から取り寄せられなくても復旧できるようにする。公式解答例では、バックアップの磁気テープのコピーを関西地区のサーバ室にも保管するとしている。35字以内の答案では「バックアップ磁気テープのコピーを関西地区のサーバ室にも保管する。」と、コピーする対象と保管先を示します。採点講評でも、バックアップの喪失リスクに対する遠隔地保存の有効性が説明されている。
設問1(3)
公式解答例では、開始時刻は17:00、終了時刻は翌日0:00又は24:00です。表2から、各システムのオンライン起動処理と停止処理はそれぞれ30分、生産管理のバッチ処理は18:30~翌日1:00の6時間30分、財務会計のバッチ処理は20:30~翌日2:00の5時間30分と読み取れる。注2により、バッチ処理時間はデータ処理量に影響されない。本文の運用順序は、生産管理の起動・オンライン・停止、財務会計の起動・オンライン・停止、その後に生産管理バッチ、財務会計バッチです。生産管理のオンライン処理が16:00に終わると、停止処理が16:00~16:30、財務会計の起動処理が16:30~17:00となるので、財務会計の開始は最も早くて17:00となる。終了時刻は、翌日の生産管理オンライン処理開始13:00から逆算する。生産管理の起動処理は12:30に始める必要があり、それまでに財務会計の停止30分、生産管理バッチ6時間30分、財務会計バッチ5時間30分の合計12時間30分を終えなければならない。したがって、財務会計オンライン処理の終了は、翌日12:30の12時間30分前である24:00となる。この場合、財務会計の停止は翌日0:00~0:30、生産管理バッチは0:30~7:00、財務会計バッチは7:00~12:30、生産管理の起動は12:30~13:00となり、財務会計のオンライン処理時間を17:00~24:00の7時間まで確保できる。
設問2(1)
表3では、財務会計業務のRPOは前日の終業時点です。この状態までしか復旧できない場合、当日のオンライン処理で入力した会計伝票を再入力する必要がある。下線(ア)の要望どおり障害発生時点まで回復できれば、その時点までに入力した会計伝票が復旧後の会計DBに反映され、再入力が不要になる。公式解答例も、この再入力が不要になる点を利用者の利点としている。40字以内の答案では「障害発生時点までにオンライン入力した会計伝票の再入力が不要になる。」と、対象と利用者の負担軽減を示します。復旧速度ではなく、復旧するデータの時点と再入力作業の関係を説明する。
設問2(2)
表2の注1では、財務会計システムのDB更新ログを、同システムのストレージに記録するとある。このストレージは本社サーバ室にあるため、本社の被災時にはログも失われ、フルバックアップから障害発生直前まで会計DBを回復できなくなるおそれがある。公式解答例では、DB更新ログを支社の生産管理サーバのストレージにも取得するとしている。35字以内の答案では「DB更新ログを支社の生産管理サーバのストレージにも取得する。」と、対象と追加の取得先を示します。オンライン処理で発生する更新ログを被災前から遠隔地にも取得し、障害発生直前までの回復に使える状態にすることが要点です。
設問3(1)
訓練では、担当者が複数いても連絡表に代表者1名しか記載されておらず、その電話番号も最新化されていなかった。本文では電話番号の最新性を定期確認する方針が既に示されているため、下線(イ)の内容の見直しでは、代表者に連絡できない場合にも別の担当者へ連絡できるようにする。公式解答例では、複数の担当者の連絡先を登録するよう変更するとしている。30字以内の答案では「複数の担当者の連絡先を登録するように変更する。」と、連絡先の登録対象を広げることを示します。
設問3(2)
訓練では、本社ファイルサーバが利用できず、そこに保存された最新の連絡表を参照できなかった。図1には関西地区の支社ファイルサーバがあり、共有ファイルシステムは運用端末などから利用できる。したがって、最新の連絡表を支社ファイルサーバにも保存すれば、本社の被災時にも参照できる。公式解答例も、この装置を使った対策を示している。40字以内の答案では「最新の連絡表を支社ファイルサーバにも保存し、被災時でも参照可能にする。」と、保存する情報、保存先、目的を示します。採点講評では、連絡表などの重要な情報を、同じインシデントで同時に被災しない場所に保存することの理解が説明されている。
学習のポイント
RPOと利用者の再入力負担の関係を理解し、処理順序と所要時間から運用可能時間を算出する。復旧用データや連絡情報の同時被災も確認する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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