SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
検討の前提と対象範囲をそろえる
ITサービスについて検討するときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。提示された情報がどの対象や状況について述べているかを確かめ、異なる前提を混ぜずに考えることが手掛かりになります。
この問題で問われていること
判断の対象と、その判断が成り立つ前提との対応に注目してください。用語の印象だけで結び付けず、与えられた条件を踏まえたときに、同じ対象について考え続けているかを自分の言葉で整理してみましょう。
視点
検討する対象と条件をひとまとまりとして捉えましょう。途中で対象や条件を置き換えていないかを確かめると、自分の考えのつながりを点検できます。
確認ポイント
- 判断の対象を一定に保っているか
- 与えられた条件を途中で変えていないか
- 整理した内容に前提のずれがないか
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解説
本問の要点は、SLA違反前に対策できる監視、バッチ処理の時間変更によるCPU負荷の分散、変更後の負荷分散の確認、実績と将来需要に基づくキャパシティ計画の見直しです。
問題の全体像
F社は、インターネット受付、代理店、顧客管理の各サービスを運用している。顧客管理ではオンライン処理と受注分析のバッチ処理が同じサーバを使用し、ピーク時間帯にCPU負荷が高まって応答が遅くなった。代理店サービスでは、負荷分散サーバの交換時の設定誤りにより、一方の業務サーバへ処理が集中した。また、インターネット受付サービスでは、応答時間の悪化を踏まえて年間のキャパシティ計画を見直す。公式の出題趣旨では、利用量の変動によるキャパシティ不足を防止してSLAの目標値を達成する活動と、将来需要に対応して計画を変更する能力を問うとしている。各設問では、サービスの目標と具体的な監視データ、運用上の制約を結び付けて判断する。
設問1(1)
着目するのは、オンライン応答時間のしきい値に「各サービスのSLA項目の目標値」を設定している点です。顧客管理のオンライン処理の目標値は5秒以内なので、現在の設定では5秒を超えてから通知され、SLA違反前に対策を取る余地がない。公式解答例では、SLA違反となる前に対策できるよう、しきい値を目標値より下に設定するとしている。採点講評でも、応答時間の悪化を検知する監視項目を取り違えず、SLAの目標値をそのまましきい値にする問題を指摘することが求められている。40字以内では、「SLA違反前に対策できるよう、応答時間のしきい値を目標値より低くする。」という粒度で、目的と変更内容をまとめる。
設問1(2)
受注分析のバッチ処理は毎日9時に開始し、現在は1時間30分掛かるため、オンライン処理が集中する10~11時の一部と重なる。表2では、この時間帯のオンライン3サービスのCPU使用率は合計50%、受注分析は45%で、全体が95%になっている。一方、受注分析には「9時以降に開始」と「毎日13時までに完了」という条件がある。公式解答例では、バッチ処理開始時刻を11時に変更するとしている。現在の処理時間なら12時30分に完了し、開始条件と完了期限を満たしながらオンライン処理のピークを避けられる。35字以内では、「受注分析サービスのバッチ処理開始時刻を11時に変更する。」と、対象と変更後の時刻を具体的に書く。
設問1(3)
問われているのは、開始時刻の変更が有効な理由です。本文では、1日のオンライン処理件数の約2割が10~11時に集中し、この時間帯の顧客管理サーバのCPU使用率が90~100%で推移している。受注分析を11時開始にすれば、ピーク時間帯でオンライン処理とバッチ処理が同じCPUを取り合う状態を避けられる。表2でも、11~12時のオンライン処理のCPU使用率は合計15%、12~13時は5%と、ピーク後には負荷が低下している。公式解答例では、オンライン処理のピーク時間帯のCPU負荷を分散できるからとしている。40字以内では、「オンライン処理のピーク時間帯のCPU負荷を分散できるから。」と、対策の効果を示します。採点講評では、現状のキャパシティ制約の中で応答性能を維持する方法を見いだす点が評価されている。
設問2
図1の注記では、同じ処理能力を持つ代理店サーバ1と2へ、負荷が均等になるように処理要求を振り分ける構成が示されている。交換作業ではサービスを利用できることを確認したが、それだけでは両サーバへの振り分けが正常かは確認できない。実際には登録誤りによってサーバ1に処理が集中した。公式解答例では、それぞれのサーバのCPU使用率から、代理店サーバ1と2が有効に稼働していることを確認するとしている。サービス開始直後のCPU使用率を比較すれば、一方に負荷が偏り、もう一方が十分に使われていない状態を見つける手掛かりになる。採点講評でも、要求を正しく振り分けて処理していることを確認する具体的な内容が必要とされている。60字以内では、「両代理店サーバのCPU使用率から、処理が分散され両方が有効に稼働していることを確認する。」と、監視項目と確認対象を結び付ける。
設問3(1)
下線(ア)は、サービスの「需要」と「達成されているパフォーマンス」の状況を調査するという内容です。本文のオンライン処理の監視項目には、CPU使用率、サーバの処理件数、オンライン応答時間がある。このうち、実際に処理した件数はサービスの利用量を、オンライン応答時間は提供できている性能を把握する指標になる。公式解答例では、サーバの処理件数とオンライン応答時間の推移を調べるとしている。推移を見ることで、処理件数の変化と応答時間の悪化の関係を把握できる。採点講評でも、負荷状況と性能を確認できる具体的な監視項目を答えることが求められている。30字以内では、「サーバの処理件数とオンライン応答時間の推移を調べる。」と、二つの指標と調査内容を示します。
設問3(2)
着目するのは、当初のキャパシティ計画で、営業部門から現在及び将来のサービス需要とサービス利用者の見通しを入手し、データ処理量の増加を見積もっていた点です。監視データから分かるのは実績であり、今後のサービス需要や利用者数の見通しは、それだけでは把握できない。サービスを統括する営業部門から将来の情報を入手し、実績の分析と合わせて処理能力の計画に反映する必要がある。公式解答例では、将来のサービスに対する需要とサービス利用者の見通しを営業部門から入手するとしている。40字以内では、「営業部門から将来のサービス需要とサービス利用者の見通しを入手する。」と、入手先と二つの情報を漏れなく書く。
学習のポイント
SLA、処理時間、CPU使用率を結び付け、対策とその理由を区別して説明する力を身に付ける。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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