SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
要件と判断の根拠を対応させる
サービス継続や復旧について考えるときは、与えられた要件と判断の根拠が対応しているかに着目します。一般的な知識だけで結論を急がず、その判断を支える条件が何かを整理してみましょう。
この問題で問われていること
検討の焦点は、ある判断がどの要件を根拠としているかを確かめることです。知っている用語から答えを決める前に、明示された条件と、自分で補った前提とを区別し、それぞれの対応をたどってください。
視点
要件は判断のよりどころとなる条件です。判断とその根拠を結び付けて整理すると、与えられた情報から考えた部分と、追加の前提に頼った部分を区別しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の根拠にした要件を示せるか
- その根拠は与えられた条件に含まれているか
- 根拠に明示されていない前提を加えていないか
正解と解説を見る
解説
本問は、BCPに基づく販売管理システムの継続を題材に、RTOとRPO、クラウドサービスの選定、代替要員の育成、災対マニュアルの変更管理を問うものです。復旧時間は作業順序に沿って計算し、データの復旧時点が業務に及ぼす影響まで考えることが要点です。
問題の全体像
R社では、関東地方の地震によって工場、関東支店、サーバ室が被災し、両システムが停止することを想定しています。一方、近畿支店では在庫を使って販売活動を継続できるため、販売管理システムには120分という短いRTOが設定されています。そこで、クラウドを利用する災対システムを構築し、復旧手順と運用体制を整えます。公式の出題趣旨では、BCPに基づくサービス継続計画の作成・管理、復旧訓練による計画の試験、変更管理プロセスによる計画の変更が問われています。設備の復旧だけでなく、データ、要員、マニュアルまで含めて継続できるかを読むことが重要です。
設問1(1)(a)
表3の案1は、被災時に災対システムを起動し、フルバックアップからデータを復元する方式です。表3の注2にある被災状況の確認30分、システム起動30分、データ復元30分、正常稼働の確認30分を順に加えると、復旧時間は120分になります。公式解答例では「120分」です。RTOが120分だからその値を記入するのではなく、案1で必要となる作業時間の合計から求めます。答案はこの数値と単位を5字以内で示します。
設問1(1)(b)
案3ではバックアップの保管方法をクラウドのデータ保管サービスに変更しますが、取得対象データと取得時期は現在のままです。現在は毎日23時から24時にフルバックアップを取得し、翌日のオンライン処理は4時に始まります。このため、そのバックアップで復元できるのは被災当日のオンライン開始時点に相当する状態であり、当日のオンライン処理で更新されたデータは含まれません。公式解答例では「被災当日のオンライン開始」です。表の空欄の後ろに「時点」が印刷されているので、答案では15字以内で空欄部分だけを記入します。
設問1(2)
下線(ア)は、RPOを被災当日のオンライン開始時点に設定した場合の業務上の合意を問うています。販売部は当日の注文や製品の入出庫を入力していますが、オンライン開始時点のデータへ戻すと、開始後から被災までに入力した内容は復元されません。販売活動を正しく再開するには、その内容を復旧後に再入力する必要があります。公式解答例では、被災日に入力済みのデータをシステム復旧後に再入力する必要があることを合意事項としています。40字以内の答案では「被災日に入力済みのデータを、システム復旧後に再入力する必要があること」と、対象データと必要な作業を示します。
設問2(1)
復旧手順①では、被災状況の確認、起動、データ復元、正常稼働の確認に各30分を使い、合計120分でRTOに達します。手順②では、容量追加を災対システムの起動作業と並行して行うため、追加作業が起動完了までに終われば、その後のデータ復元を予定どおり開始できます。起動完了後も容量追加を待つと、復旧が120分を超えてしまいます。公式解答例では、ストレージ容量の追加作業が災対システムの起動作業完了までに終わることを条件としています。40字以内では「ストレージ容量の追加作業が、災対システムの起動作業完了までに終わること」と示せます。採点講評でも、追加作業が可能な時間帯を誤認した解答に触れ、作業の前提条件を正しく把握することを求めています。並行作業に使える時間は起動作業中の30分です。
設問2(2)
表4の各社を、所在地、インシデント後の復旧時間、容量追加時間の三つの条件で確認します。R社のサーバ室は関東地方なので、同じ関東地方のU社は所在地の条件を満たしません。インシデント後のサービス再開には、表4の解決時間に、表の注3では含まれないシステム起動30分、データ復元30分、正常稼働の確認30分を加えます。Q社は40+30+30+30=130分、S社は20+30+30+30=110分、U社とW社は60+30+30+30=150分です。120分以内となるのはS社だけです。S社は北陸地方にあり、容量追加も30分以内なので、起動作業と並行して完了できます。W社の容量追加40分以内は、起動作業中の30分以内という条件も満たしません。公式解答例では「S社」です。
設問3(1)
本文では、Aチームは販売管理システム専任、Bチームは生産管理システム専任であり、各部員は担当外のシステムを操作していません。勤務中のAチームのオペレータが作業できず、非番の要員も招集できない場合、Bチームの要員がいても、そのままでは販売管理システムの復旧を代行できません。公式解答例では、Bチームのオペレータを販売管理システムのオペレーションもできるように教育するとしています。50字以内の答案では「Bチームのオペレータに、販売管理システムのオペレーションもできるよう教育する。」と、教育対象と習得させる業務を示します。採点講評では、Bチームを訓練に参加させるだけの解答が見られたとし、参加の前提として必要な運用要員の教育まで考えることを求めています。
設問3(2)
予備の専用線の追加は変更管理プロセスに従って承認されていますが、災対マニュアルには追加後に必要となった疎通確認が反映されていません。問題は、設備の変更に伴う手順書の更新が変更計画から漏れたことです。公式解答例では、災対マニュアルをサービスの構成品目として認識し、変更計画の対象とすることを挙げています。40字以内の答案では「災対マニュアルをサービスの構成品目として認識し、変更計画の対象とする。」と示せます。採点講評では、マニュアル更新のための変更要求を変更管理プロセスに提供することへの気付きを求めています。疎通確認を追記するという個別修正にとどまらず、今後の変更でも関連する手順書が更新される管理の仕組みを述べることがポイントです。
学習のポイント
直列作業と並行作業を区別した時間計算、RPOに伴う再入力の合意、代替要員の事前教育、手順書を含む構成品目の変更管理を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針