SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成27年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
判断に用いる前提をそろえる
判断を進める前に、扱う情報がどのような前提で成り立っているかを確かめましょう。同じ話題でも、前提が異なれば検討の意味は変わります。自分で補った条件と、与えられた条件を区別することが出発点です。
この問題で問われていること
この問題では、判断の根拠にしようとしている情報の前提に注目しましょう。普段の経験や一般的な印象を持ち込んでいないかを振り返り、与えられた条件の範囲内で考えているかを確認すると、検討の軸を保ちやすくなります。
視点
前提とは、判断を成り立たせるために置いている条件です。明示された条件と、自分が経験から補った条件を区別し、考えを進める途中で前提を変えていないか確かめましょう。
確認ポイント
- 判断に用いている前提を把握できているか
- 経験や印象から条件を補っていないか
- 考える途中で前提を変えていないか
正解と解説を見る
解説
サービスデスクのサービスレベルを維持するために、問合せ増加と呼損率目標から必要席数を算出し、保守課の支援目標を合意する。さらに、FAQの利用促進と利用者による解決の確認を通じて、対応負荷とサービス品質を改善する問題です。
問題の全体像
F社のサービスデスクは、三つの業務システムの問合せに電話で対応し、内部で解決できない案件はシステム保守課に調査を依頼している。生産管理システムの更新による問合せ増加、保守課の支援業務の扱い、サービス提供時間帯拡大の要望、回答後も解決しないという利用者の声が課題となっている。公式の出題趣旨では、インシデント及びサービス要求管理の手順を遂行する能力と、サービスデスクの組織化に関わる能力を問うとしている。必要席数の計算だけでなく、SLA達成を支える内部調整、FAQの活用、終了時の解決確認を、事例の具体的な条件に結び付けて考える。
設問1(1)
着目するのは、表4の今期の平均問合せ件数と、来期は生産管理システムだけが8件に増えるという条件です。受注発送システムの5件、会計システムの3件は変わらないので、来期の平均問合せ件数は1時間当たり8+5+3=16件となる。2次回答の通話も含めるため、平均呼数はその1.5倍の24回です。平均利用時間5分を時間に換算し、呼量=(5÷60)×24=2アーランと求める。公式解答例では「2」と示されている。問合せ件数をそのまま平均呼数にせず、追加の通話を織り込むことがポイントです。
設問1(2)
来期の呼量2アーランと、呼損率の目標値が3%以下に変更される点に着目する。表3の3%の行では、5席に対応する呼量は1.88、6席では2.54です。この数値は、その席数で呼損率3%を満たせる呼量の目安なので、2アーランは5席の範囲を超え、6席の範囲に収まる。したがって、必要な最小席数は6席であり、公式解答例でも「6」と示されている。今期の5%の行を使うと結果が変わるため、来期の目標値を適用する必要がある。また、設問が求めるのは席数であり、勤務体制などを考慮した総要員数ではありません。
設問2(1)
段階的取扱いでは回答完了時間がSLAの目標値に近づいている一方、保守課がサービスデスクからの調査依頼を副次的に扱っている点に着目する。調査すべきなのは、その扱いが回答の遅れにつながる実態です。公式解答例では、依頼された問合せの優先度の扱い、主要業務と支援業務の割合、回答期限の遵守率と遵守できない理由が挙げられている。40字以内の答案例は「システム保守課での調査回答期限の遵守率と、遵守できない理由。」です。ほかの提示された観点なら、依頼の優先度や業務割合に対象を絞って表現する。採点講評では、サービスデスクのSLA目標値を意識した解答を求めている。現在は全件がSLAを達成していても、保守課の回答期限や業務配分を調べ、今後の達成を危うくする要因を把握する必要がある。
設問2(2)
表2の注記では、保守課への回答期限をSLAの回答完了時間と整合させて設定するとしている。しかし、期限を過ぎてから催促する運用では、利用者への回答時間を安定して確保しにくい。そこで、保守課と管理課の運用レベル合意書に、調査回答の期限に関するサービス目標を明記する。公式解答例では、回答期限に関する目標値の合意事項、又は回答期限の遵守率100%を設定することが示されている。40字以内の答案例は「サービスデスクからの調査依頼の回答期限遵守率を100%とする。」です。採点講評でも、内部グループとの運用レベル合意書とSLAの整合が重視されている。保守課から回答を得た後に利用者へ対処方法を伝える時間も踏まえ、内部の支援目標を利用者との約束につなげる。
設問3
FAQは一定の効果を上げているが、利用者の一部しか利用していない点に着目する。社内Webへの公開に加えて利用を推奨すれば、より多くの利用者がFAQを使って自己解決できる。公式解答例では、利用部門にFAQの利用を推奨する活動と、その結果としてサービスデスクの問合せ件数が減少する利点、又は利用者自身が要求を早期に解決できる利点が示されている。50字以内の答案例は「サービス利用部門にFAQの利用を推奨し、サービスデスクへの問合せ件数を減らす。」です。設問は活動内容と利点の両方を求めているので、問合せ削減だけを書くのではなく、利用を促す活動も含める。
設問4
利用者のコメントは、回答を受けても解決できず再度問合せたという内容です。表2では「解決」の手順で対処方法を回答しているため、続く「終了」の空欄aには、回答後に実際に解決したことを確認する作業が入る。公式解答例では「利用者が回答に基づき対処を行い,問合せが解決したことを確認する。」と示されており、40字以内に収まる。答案では、利用者が対処したことと、その結果として解決したことの確認を押さえる。採点講評では、手順書の更新などサービスデスク内の管理プロセス改善を答えた誤りが多かったとされている。ここで問われているのは、個々の問合せを終了する前の解決確認です。
学習のポイント
平均問合せ件数と平均呼数の違い、SLAと内部支援目標の整合、FAQ利用促進の効果、回答後の解決確認を押さえる。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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