SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件をそろえる
検討を始めるときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。同じ言葉でも、想定する状況が違えば捉え方が変わります。知っている用語から結論を急がず、与えられた条件を起点に考えることが大切です。
この問題で問われていること
この分野では、判断を支える条件を、明示されたものと自分で補ったものに分けて捉えることが役立ちます。検討の途中でも、経験や印象に由来する前提が入り込んでいないか、与えられた条件に立ち戻って確認しましょう。
視点
前提の整理とは、考える際の条件を確かめ、記載された内容と自分の想定を区別することです。なじみのある用語が出てきても、いつもの状況を無意識に当てはめず、その場で与えられた条件に沿って意味を捉えましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠にした条件は、与えられた内容に含まれているか
- 記載された条件と、自分が補った想定を区別できているか
- 検討の途中で、前提となる条件を無意識に変えていないか
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解説
本問は、販売システムの再構築を題材に、インシデントの再現性、復旧時間に基づく冗長化、回復時間を満たすバックアップ方式、性能悪化を予防する監視方法を、サービスレベル目標から判断する問題です。
問題の全体像
X社は全国20店舗の販売システムを再構築し、POSレジによる販売支援サービスと、店長向けの情報検索サービスを提供します。販売支援サービスには応答性能5秒以内・回復時間1時間以内、情報検索サービスには回復時間2時間以内という目標があります。さらに、お得意様割引機能の追加によって、販売支援サービスもAPサーバ②の検索処理を利用するようになります。公式解答例の出題趣旨では、顧客の要件やサービスレベル目標を踏まえた、サービス継続・可用性管理とキャパシティ管理に関わる設計能力を問うとされています。各設問では、構成や作業時間をサービスの要求水準に結び付けて判断します。
設問1
図1で、店舗の端末からサーバまでの通信経路と、確認用端末からサーバまでの経路を比較します。店舗の端末はSW・ルータ・IP-VPNを経由しますが、確認用端末はサーバルーム内のSWに接続され、IP-VPNを経由しません。この違いによって、店舗の通信経路に関係するインシデントを確認用端末では再現できないおそれがあります。公式解答例では、この接続経路の違いと再現できない可能性を挙げています。60字以内の答案では『確認用端末がIP-VPNを介してサーバに接続されず、店舗のインシデントを再現できないおそれがある。』という粒度でまとめます。採点講評でも、設問の要求を把握し、図1の構成上の観点から問題点を導くことが求められています。
設問2(a)
aは、販売支援サービスで利用するAPサーバ①の冗長化要否です。表3では機器の復旧時間が50分であり、本文ではAPサーバの復旧後にアプリケーションの動作確認が15分必要とされています。サービス回復までの時間は50+15=65分となり、表1の販売支援サービスの目標である1時間以内を超えます。冗長化すれば自動的に他の機器へ切り替えてサービスを継続できるため、公式解答例ではaを『○』としています。機器が復旧した時点ではなく、動作確認を終えてサービスが回復する時点までを数えることがポイントです。
設問2(b)
bは、情報検索サービスで利用するAPサーバ②の冗長化要否です。APサーバ②も復旧50分と動作確認15分を合わせて65分ですが、情報検索サービスの回復時間目標は2時間、すなわち120分以内です。65分であれば目標内に回復できるため、公式解答例ではbを『×』としています。複数機器が同時に故障しないという前提なので、他の機器の復旧時間は加算しません。また、表3はお得意様割引機能の追加要求前の検討結果です。追加後にAPサーバ②が販売支援サービスでも使われることと、表3の空欄を埋める判断を区別して読み取ります。
設問3(1)
公式解答例では『案1』を選択しています。比較すべきなのはバックアップ取得時間の短さではなく、障害発生後に情報検索サービスを2時間以内に回復できるかです。案1は、機器復旧40分、フルバックアップのリストア40分、リストア後の確認など20分を合わせて100分です。案2は、この100分に増分バックアップのリストア時間が加わります。土曜日の増分バックアップ取得後には月曜日から土曜日までの6日分を順次復元するため、最大で100+5×6=130分となり、120分の目標を超えます。故障はバックアップなどの実施中には起きないという条件なので、取得中の故障への対応を追加して考える必要はありません。
設問3(2)
採用理由では、案1が障害発生日時に左右されず、サービス回復時間目標を満たせる点を具体的に書きます。案1の回復所要時間は40+40+20=100分で、情報検索サービスの目標である120分以内に収まります。一方、案2は復元する増分バックアップの数が曜日によって変わり、最大130分掛かります。公式解答例でも、障害発生日時に関係なく目標内に回復できることが理由とされています。60字以内の答案例は『案1は障害発生日時に関係なく100分で回復でき、情報検索サービスの回復時間目標である2時間以内を満たすから。』です。採点講評では、顧客が要求するサービスレベル目標を達成することの重要性に触れています。
設問4(1)
本文では、セールによる突発的な業務量増加でAPサーバ②のCPU使用率が安定稼働の基準値を超えると、販売支援サービスの応答性能が急激に悪化するとされています。この因果関係から、性能悪化に先行する兆候を捉える監視項目を選びます。公式解答例は『APサーバ②のCPU使用率』であり、20字以内に収まります。APサーバ②は情報検索サービスとお得意様割引機能の両方で利用されるため、その負荷を監視することが、情報検索サービスの使用中止を判断する手掛かりになります。
設問4(2)
基準値は、超過すると応答性能が急激に悪化する水準です。その値に到達してから対策を始めるのでは、設問の『悪化する前』という条件を満たせません。公式解答例では、基準値を超過する前に対策を実施できるしきい値を設定し、セール実施時に監視項目がしきい値を超過したかを判断するとしています。しきい値は基準値より低く設定し、店舗への通知や使用中止に必要な時間も考えて、対策を間に合わせる必要があります。60字以内の答案例は『基準値超過前に対策を実施できるしきい値を設定し、セール実施時に超過したら対策を行う。』です。採点講評では、性能悪化が始まる水準にしきい値を設定する誤答が指摘され、予防的対策を講じる仕組みの設計が重視されています。
学習のポイント
機器の復旧時間とサービス回復時間を区別し、最悪時の所要時間と予防的な対策開始条件を具体的に説明する力を養いましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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