SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
判断に使う前提条件をそろえる
受入れテストや移行、運用連携について考える際は、判断に用いる前提条件がそろっているかに注目しましょう。記載された情報をいったん整理し、異なる前提を混ぜて考えていないかを確かめることが出発点になります。
この問題で問われていること
この問題では、与えられた情報を判断の根拠にする際、その前提が対象とする範囲を意識してみましょう。ある条件の下で述べられた内容を、条件の異なる場面にもそのまま当てはめていないか、立ち止まって整理してください。
視点
情報の意味は、それが置かれた前提によって捉え方が変わることがあります。まず、明記された条件と自分が補った想定を分け、判断の根拠となる情報と結び付けて整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠と、その前提条件を区別できているか
- 異なる条件の情報を、同じ前提として扱っていないか
- 明記された前提と、自分で補った前提を分けているか
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解説
安全なシステム移行には、再送可否に応じた切替え順序、切戻しを容易にする宛先情報の同期、過去データの事前移行が必要です。受入れ時には本番の高負荷や利用量の増加を考慮し、計画変更をサポートデスクにも共有します。
問題の全体像
E社は、旅行代理店から受けた宿泊通知を宿泊施設のPCやFAXへ送信しています。利用開始から7年間で旅行代理店数と通知件数が増加したため、送信状況確認機能の追加とシステムの刷新を行います。移行に使える時間は1時間で、新しい本番環境は他のシステムとサーバを共用しています。また、旅行代理店によって通知を再送できるかどうかが異なります。公式の出題趣旨では、運用開始後の利用方法を想定した受入れ基準と、安全かつ確実に切り替える移行計画の策定能力を問うとしています。各設問では、切戻しの影響、ファイル移行の工夫、本番条件に即したテスト、変更情報の共有を本文に沿って判断します。
設問1
表2の「トラブル時の宿泊通知の再送」に着目します。前半のグループ1・3は再送できますが、後半のグループ2・4は再送できません。本文では、不具合が見つかった場合にグループ単位で現システムへ切り戻せるとしています。このとき再送できないグループは、通知を再送して業務を回復することができず、業務への影響が大きくなります。公式解答例では、この再送可否によるリスクの違いを理由としています。50字以内の答案では「切戻し時に宿泊通知を再送できず、本番業務に影響するリスクがあるから。」とまとめられます。蓄積データ取出し機能の利用有無ではなく、再送できないことを根拠にするのが要点です。
設問2(1)
宛先ファイルを事前移行するだけでなく、その後も新旧システムで追加・変更・削除を同じように行う点に着目します。表3によると宛先ファイルは更新頻度が高いため、この処理によって現システムにも最新の宛先情報が保持されます。新システムの運用開始後に切り戻しても、宛先情報を新システムから移し直す必要がありません。公式解答例では、この切戻し時の移行不要を利点としています。40字以内なら「切戻し時にも宛先ファイルを移行せずに済む。」と表せます。採点講評では、新旧の内容が同一なのでバックアップとして利用できるといった解答は誤りとされており、切戻しを容易にする効果まで書く必要があります。
設問2(2)
表3の蓄積ファイルは、過去に送信した宿泊通知を記録し、旅行代理店ごとに1日1ファイル作成されるものです。過去分は切替え当日にまとめて移す必要がなく、事前に新システムへ移しておけば当日の作業量を減らせます。宛先ファイルは既に事前移行する計画であり、ログファイルは移行不要とされているので、追加の短縮策として過去分の蓄積ファイルに着目します。公式解答例でも、過去分の蓄積ファイルの事前移行を示しています。30字以内なら「過去分の蓄積ファイルを事前に新システムへ移行する。」と、対象・時期・移行先を具体的に書けます。
設問2(3)
K氏がファイル移行テストを開発環境で実施した点と、本番サーバでは深夜に他システムのバッチ処理やバックアップ処理が動き、ファイル書込みの負荷が高い点を結び付けます。移行時間帯は午前3時から4時までの1時間です。開発環境で1時間以内に終了しても、本番の高負荷時に同じ時間で完了できるとは限りません。公式解答例では、本番環境で発生する高負荷の状況でも1時間以内に移行が完了することを要件としています。40字以内なら「本番環境の高負荷時でも1時間以内にファイル移行が完了すること。」とまとめられます。実際の負荷条件と制限時間の両方を押さえることが必要です。
設問3(1)
リニューアルの背景として旅行代理店数と宿泊通知件数が大幅に増加したのに、負荷テストでは「現在のシステム構築時に想定した」数量を使った点に着目します。7年前の想定では、現在のピーク時の利用量を十分に検証できません。公式解答例では、負荷テストで旅行代理店数と宿泊通知件数の増加を考慮していないことを問題点としています。40字以内なら「負荷テストで旅行代理店数及び宿泊通知件数の増加を考慮していない。」と表せます。本文では新機能の正常系・異常系を検証し、負荷テストでも新機能を利用しています。採点講評でも、機能確認テストが不十分という解答は誤りとされており、負荷量の設定に焦点を当てます。
設問3(2)
サポートデスクには当初の移行計画を説明していましたが、その後、グループ3の切替えを1週間前倒ししています。障害発生時には、サポートデスクが変更前の計画に基づいて現システムを調査したため、回答に時間がかかりました。原因は、最新の切替え状況が共有されていなかったことです。公式解答例では、移行計画が変更された場合にサポートデスクへ最新のリリース計画を説明するとしています。40字以内なら「移行計画変更時に、サポートデスクへ最新のリリース計画を説明する。」とまとめられます。変更時という契機、共有先、共有する情報を明確に書くことが要点です。
学習のポイント
本文の運用条件を根拠に、切戻しのリスク、ファイルの更新特性、負荷テストの妥当性を判断する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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