SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
検討する対象の範囲をそろえる
この分野を学ぶ際は、まず検討対象の範囲に注目しましょう。示された情報が何について述べているのかを整理し、自分が考えようとしている対象と重なっているかを確かめると、論点を落ち着いて捉えられます。
この問題で問われていること
問題に取り組むときは、判断の対象となる範囲を意識してください。広い話題から思い浮かべた知識をそのまま当てはめず、与えられた条件の中でどこまでを考える必要があるのか、対象の広さを確かめてみましょう。
視点
対象の範囲は、同じ話題でも条件によって異なることがあります。何を含めて考えているかを言葉にし、示されている範囲と自分の理解が一致しているかを整理しましょう。
確認ポイント
- 検討対象に含める範囲を言葉にできるか
- 与えられた条件より範囲を広げていないか
- 考えている途中で対象の範囲が変わっていないか
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解説
業務特異日を考慮した優先度設定、早期の専門部署との連携、T社による回復確認、連絡と調査の分担が要点です。月次報告には根本原因と再発防止策の実施計画を追加し、T社の回復支援には暫定対策を整備して提示します。
問題の全体像
S社が運用するT社の会員向けWebサイトで、一部地域からアクセスできない障害が発生した事例です。Y氏は過去事例を調査しましたが、キャンペーン日の優先度設定、専門部署との連携、解決の判断、T社への情報提供に問題がありました。公式の出題趣旨では、JIS Q 20000の解決プロセスを題材に、迅速なサービス回復のための記録・追跡・終了までの管理と、報告内容の改善を問うとされています。各設問では、定められたプロセスと実際の対応との差を捉え、顧客の業務への影響を踏まえた改善を考えます。
設問1(1)
下線(ア)のキャンペーン日という情報と、〔その後の判明事項〕の業務特異日の合意に着目します。通常は特定地域の利用不能なので表1の優先度は「中」ですが、業務特異日には1ランク上げるため、今回は「高」とする必要がありました。公式解答例では、この引上げを行わなかったことを問題点としています。「高」の目標復旧時間は4時間で、重大なインシデントとして扱われるため、優先度設定は対応体制にも関わります。30字以内の答案では「業務特異日なのに優先度を1ランク上げなかった。」という要素を押さえます。
設問1(2)(根本原因)
S社は当日がキャンペーン日であることをY氏に口頭で連絡していました。したがって、日付の情報が届かなかったことを原因にはできません。公式解答例では、業務特異日の取扱いが周知されていなかったことを根本原因としています。着目すべきなのは、業務特異日には優先度を上げるという対応ルールの周知です。採点講評では、問題文の事象を転記しただけの解答が散見されたとされています。「Y氏が考慮しなかった」という行動の説明から一段掘り下げ、30字以内で「業務特異日の取扱いが周知されていなかった。」とまとめます。
設問1(2)(再発防止策)
Y氏は表1を参照して優先度を判断しましたが、表1には業務特異日の取扱いが記載されていません。公式解答例では、業務特異日の対応を優先度判定ルールの中に明記することを再発防止策としています。実際に判断に使うルールへ、通常日より1ランク上げる条件を組み込むことで、担当者が判断時に確認できるようにします。30字以内では「業務特異日の対応を優先度判定ルールに明記する。」とし、何をどこに明記するかを具体的に示します。
設問1(3)
⑤段階的取扱いでは、自らの知識・技能で回復策を見いだせない場合などに、専門部署へ検討を依頼すると定めています。Y氏は受付から15分後に類似事例を見つけましたが、暫定対策を適用できるか判断できず、その後も原因究明を続けました。専門部署への相談は、3時間後にT社から連絡を受けてからです。公式解答例では、原因究明を続けたため専門部署との連携が遅れたことを問題点としています。30字以内では「原因究明を続け、専門部署との連携が遅れた。」とし、迅速な回復に向けた連携の遅れを示します。
設問2(1)
⑥解決の条件は「T社によるサービスの回復確認」です。一方、下線(イ)では、Y氏は回復処置が正常に終了した段階で解決を記録しています。その後にT社が「これから会員に確認する」と回答しているため、解決判断の時点では必要な確認が済んでいません。処置の正常終了と、利用者がサービスを利用できることの確認は別の段階です。公式解答例では、T社にサービス回復結果を確認する前に解決と判断したことを挙げています。40字以内では「T社によるサービス回復確認前に解決と判断した。」とまとめます。
設問2(2)
T社は会員から何度も問合せを受けましたが、対応状況が分からず返答に困っていました。⑦では進捗の最新情報を提供すると定めているものの、Y氏は調査を続け、T社から状況確認を受けています。公式解答例では、Y氏のほかにITサービス部員を割り当て、T社とのコミュニケーションと調査・診断を分担する改善策を示しています。採点講評では「進展があった時点で報告する」といった解答は改善策にならないと指摘されています。50字以内では「Y氏の他に部員を割り当て、T社との連絡と調査・診断を分担する。」とし、報告を支える体制を示します。
設問3(1)
T社の不安は、同じような障害が繰り返され、根本的な対策が実施されているか分からないことです。図1の月次報告書には障害内容、影響、暫定対応、回復時間、発生件数などがありますが、根本原因と再発防止策の実施計画はありません。公式解答例では、この二つを追加して報告するとしています。採点講評でも、インシデント管理の報告に加えて根本原因や再発防止策を報告する必要性が示されています。30字以内では「障害の根本原因と再発防止策の実施計画を報告する。」とし、原因と今後の対策を組み合わせます。
設問3(2)
〔その後の判明事項〕では、利用者側のPCの電源断・再投入で回復できることが、他社の類似システムの暫定対策から分かりました。ここから、回復に役立つ暫定対策を整備してT社へ提示すれば、T社が会員を支援できると考えます。公式解答例は、早期回復のための暫定対策を整備し、提示するという提案です。採点講評では、単に会員へPCの再起動を試してもらう解答は、S社が行うべき提案として不適切とされています。30字以内では「早期回復のための暫定対策を整備し、T社に提示する。」とし、今回の操作だけでなく、回復支援に使える対策の整備と提供を示します。
学習のポイント
本文の対応ルールと実際の行動を照合し、個人の行動上の問題から、周知・ルール・役割分担という管理上の改善へ結び付ける読み方を学びます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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