SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成22年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


![表1 バックアップサイトのDBサーバにリストアする方式の案。X案は水曜日にフルバックアップ、それ以外の曜日に増分バックアップを取得してバックアップサイトへ自動転送し、両方をリストア対象とする案で、リストア所要時間は最大[a]時間。Y案は毎日フルバックアップを取得して自動転送し、フルバックアップだけをリストア対象とする案で、所要時間は[b]時間。](/figures/4059423302509615132ad101f618855233ee133f10b00a4a180e3ef2e3645c34.webp)

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判断の前提となる条件の確認
この分野を学ぶときは、判断の前提となる条件がそろっているかに注目しましょう。用語の印象だけで結論を急がず、与えられた情報の範囲と、そこから読み取れる内容を分けて整理することが大切です。
この問題で問われていること
検討の焦点は、それぞれの情報がどのような前提のもとで示されているかです。明示された条件と、自分で補った想定を区別し、同じ前提で捉えられるかを確かめながら、判断の根拠を整理しましょう。
視点
前提とは、情報を解釈するときに土台となる条件です。明示された内容と、自分が補っている想定を分けると、検討の範囲を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 明示されている前提を把握できているか
- 書かれていない条件を自分で補っていないか
- 整理した内容が同じ前提に基づいているか
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解説
本問は、事故対応支援サービスを継続するために、RPOとRTOを事業要件から設定し、バックアップ方式を比較する問題です。操作ログを使った更新の再実行、本番運用に即したリハーサル、両サイトの手順書を整合させる変更管理までが問われます。
問題の全体像
A社は、本番サイトが被災して全機器が使用不能になっても、被災しなかった営業店で事故対応支援サービスを続けたいと考えています。そのための要件は、契約者情報参照機能を障害発生から3時間以内に回復し、データを障害発生日の午前0時の状態にすることです。問題では、この要件を満たすバックアップ方式の選択に加え、操作ログによる更新の再実行、切替えリハーサル、運用開始後の変更管理を検討します。公式の出題趣旨では、事業要件に沿った目標値の設定と、システム構成や保守・運用プロセスの問題を発見し解決する能力を問うとされています。
設問1(RPO)
公式解答例では「なし」です。着目するのは、変更する対象がバックアップデータの移送方法であることです。水曜日の午前0時に取得したフルバックアップを移送する運用は変わらず、取得頻度やデータの基準時点も変わりません。配送をネットワーク転送に切り替えても、バックアップに含まれるデータが新しくなるわけではないため、RPOの観点で期待する効果はありません。答案は設問の指定どおり「なし」とします。
設問1(RTO)
公式解答例では、磁気テープ媒体の配送とデータ転送の時間差である7時間を削減できるとしています。根拠は、配送時間が8時間、社内ネットワークによる転送時間が1時間という記述です。必要なバックアップデータが第2データセンタに届くまでの時間を、8−1=7時間短縮できます。外部記憶媒体による入出力時間の差は考慮しない条件なので、移送時間の差に着目します。40字以内の答案では「配送から転送への変更で、データ移送時間を7時間削減できる。」とまとめられます。これは移送に関する短縮効果であり、リストア処理自体の時間短縮を意味しません。
設問2(1)
公式解答例では「障害発生日の午前0時」です。サービス継続計画の要件に、契約者情報のデータを障害発生日の午前0時の状態にすると明記されています。RPOは復旧対象とするデータの時点なので、この要件をそのまま目標値にします。「3時間」は機能回復までの時間であり、RTOの値です。答案は空白を入れずに「障害発生日の午前0時」とすれば10字に収まります。
設問2(2)(a)
公式解答例では、aは「2」です。X案では水曜日のフルバックアップに、その後の増分バックアップを順番に適用します。増分は前回のバックアップ以降の変更分だけなので、最新の増分だけでは復旧できません。最大となるのは火曜日の午前0時の状態へ復旧する場合で、木・金・土・日・月・火の6日分を適用します。フルバックアップのリストア1時間に、10分×6=60分を加えて、最大2時間です。表1はリストア所要時間を問うため、別途必要な1時間30分はここには加えません。
設問2(2)(b)
公式解答例では、bは「1」です。Y案は毎日フルバックアップを取得して転送するので、障害発生日の午前0時の状態へ復旧するために、その日のフルバックアップだけをリストアします。増分バックアップの適用は不要であり、本文に示されたフルバックアップのリストア時間である1時間が答えになります。機能回復までの全体時間は、これに別途必要な1時間30分を加えた2時間30分で、RTOの3時間以内に収まります。
設問2(3)
公式解答例では「日曜日、月曜日、火曜日」です。RTOとの比較では、リストア時間に、被災状況の把握や切替え判断などの1時間30分も加えます。X案の所要時間は、1時間30分+フルバックアップのリストア1時間+増分の適用数×10分です。土曜日は木・金・土の3日分を適用して合計3時間となり、期限内です。日曜日は4日分で3時間10分、月曜日は5日分で3時間20分、火曜日は6日分で3時間30分となり、3時間を超えます。取得中と転送中には災害が発生しない条件なので、その待ち時間は追加しません。
設問3(1)
着目するのは、リハーサルを「本番運用に即した形」で実施するという方針と、バックアップデータの自動転送が既に開始されていることです。実際に取得・転送されたデータを使えば、本番と同じ条件でリストアを試し、バックアップと転送の正常性も確認できます。また、そのデータに対応する操作ログを使って、更新処理を再実行する復旧プログラムをテストできます。公式解答例では、これらを理由として挙げています。30字以内の答案では、例えば「バックアップと転送処理の正常性を確認するため。」と一つの理由を具体的に示します。
設問3(2)
本番サイトの操作ログには処理の再実行に必要な情報が含まれ、第2データセンタのログサーバ2へリアルタイムに反映されています。また、図2ではシーケンス番号がAPサーバで実行された処理の順番を表すとされています。公式解答例では、ログサーバ2の操作ログを参照し、リストア済みの最終シーケンス番号より後の更新処理を実行すること、又はシーケンス番号順に更新処理を実行することを示しています。復旧済みの更新を重ねて適用せず、元の処理順を保つ点を押さえます。50字以内では「ログサーバ2の操作ログから、リストア済み最終番号より後の更新をシーケンス番号順に再実行する。」とまとめられます。
設問3(3)
リハーサルでオペレータが戸惑った原因は、基本ソフトウェアの設定を両サイトで変更したのに、バックアップサイトの手順書を修正していなかったことです。公式解答例では、変更対象にバックアップサイトのオペレーション手順書を加えること、又は本番サイトとバックアップサイトの不整合を防ぐ変更管理を実施することを示しています。今回の手順書を直すだけでなく、今後の変更でも関連する手順書を更新する仕組みが必要です。50字以内では「本番サイトの変更時に、バックアップサイトの手順書も変更対象とする変更管理を実施する。」とまとめられます。
学習のポイント
データの復旧時点とサービスの復旧時間を区別し、増分適用の計算、ログの順序、変更管理の対象を具体的に整理することが重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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