STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の根拠と前提の対応を確かめる
この分野を学ぶ際は、ある判断がどの前提に基づいているかという対応に注目しましょう。もっともらしい表現だけで納得せず、与えられた条件と判断の根拠がつながっているかを丁寧に確かめる姿勢が大切です。
この問題で問われていること
検討の焦点は、判断を支える前提を、与えられた情報から確認できるかという一点です。自分の知識から補った前提を混ぜていないかを意識し、根拠として示された条件に立ち戻って考えてみましょう。
視点
前提は判断の出発点となる条件、根拠はその判断を支える情報として整理できます。判断の内容を検討するときは、根拠がどの前提に結び付いているかを意識すると、考えを整理しやすくなります。
確認ポイント
- 判断が置いている前提を確認できたか
- その前提を支える情報を確かめたか
- 自分で補った前提を根拠に混ぜていないか
正解と解説を見る
解説
理論段階の局地気象予測を実証し、D社の通信網、保守体制、営業力を活用して事業化する問題です。都市部の地図更新や電力会社間の情報連携まで、技術上の条件と社会・市場の要求を結び付けて読むことが要点となる。
問題の全体像
C社は電力会社向け監視制御システムの製造メーカであり、将来の売上維持に向けて局地気象予測システムを企画している。再生可能エネルギーの拡大は発電出力の変動予測を必要とし、気象災害の激甚化は自治体や地域企業の需要につながる。一方、予測技術の実証、気象測器の調達・保守、法制度への対応が事業化の条件となる。出題趣旨では、社会状況と技術動向を基にした製品企画、開発方針、市場展開、協業・提携を含む事業戦略の策定能力を問うとしている。
設問1(1)
〔局地的な気象を予測するシステムの検討〕にある「理論上可能」と「実証例は確認できなかった」を結び付ける。高密度・短周期の観測データをAIで分析すれば予測できるという理論が、実際に成立するかは未確認です。そのため、50台程度で実効性を確認してから多数の測器を設置する方針となる。公式解答例では「理論上可能と言われている局地的な気象予測を実証するため」としている。30字以内では、理論段階の局地気象予測を実証するという技術面の目的を押さえる。
設問1(2)
冒頭の、D社管内を網羅する「D社所有の有線及び専用無線通信ネットワーク」に着目する。既存の監視制御システムがこの通信網を利用しており、〔事業戦略の策定〕でもD社が伝送路の準備・提供を担う。これらを結び付けると、気象測器の通信手段としてD社の既存通信網を利用する方針が読み取れる。公式解答例では「D社所有の有線及び専用無線通信ネットワークに接続する」としている。30字以内で、通信網の所有者、種類、接続する行為を示します。
設問1(3)
〔事業戦略の策定〕のC社の役割から、組織体制面の対策を選ぶ。本文には予報業務の許可取得と、予報業務内容に従い定められた人数以上の気象予報士を雇用することが示されている。この設問で問われるのは人員体制なので、人数要件を満たす気象予報士の雇用が回答となる。公式解答例でも「定められた人数以上の気象予報士を雇用する」としている。25字以内で、必要人数と雇用を押さえる。採点講評では、組織体制面でない対策の解答も一部に見られたと指摘している。
設問2(1)
Z社の保守契約が割高になる原因は、予備器の保有と保守交換作業を別メーカへ委託することです。E氏は予備器を追加購入し、この二つを除いた製品修理だけの見積りを依頼している。D社には災害時を想定した保守体制があり、〔事業戦略の策定〕では保守交換作業を担当する。公式解答例では「D社で予備器を保有し、保守交換作業も行う」としている。25字以内で、D社が担当することと、予備器の保有・保守交換の両方を示します。
設問2(2)
〔気象災害の激甚化〕にある、都市型の気象と「頻繁に変わる土地の起伏や構成要素」との密接な関係に着目する。局地気象予測システムはGISと連動するため、都市部への展開では土地の変化を反映した地図データが必要となる。これが、更新頻度の多い地図データを扱う企業と提携する理由です。公式解答例では、都市型の気象が頻繁に変わる土地の起伏や構成要素と密接に関係するからとしている。40字以内でも「頻繁に変わる」という特徴を残す。採点講評でも、この点への言及がない解答を指摘している。
設問3(1)(a)
冒頭に示されたD社の強みのうち、市場開拓という役割に対応する特徴を選ぶ。D社の「地域に根ざした営業力」は、自治体や地域企業を対象に新たなサービスを広める際に活用できる。公式解答例では「地域に根ざした営業力」としている。15字以内では、この特徴を簡潔に示せばよい。保守体制もD社の強みだが、本設問の市場開拓に直接対応する根拠は営業力です。
設問3(1)(b)
〔事業戦略の策定〕で示された市場開拓の対象は、自治体と地域企業です。この対象に対応する市場状況を〔気象災害の激甚化〕から探すと、地域企業で局地的な気象に対する課題が大きくなっていることが分かる。公式解答例もこの状況を示している。35字以内では、対象である地域企業、局地的な気象、課題の拡大を押さえる。採点講評では市場状況の正答率が低かったとして、市場開拓の対象を考慮して解答するよう求めている。
設問3(2)
〔電力事業における気象予測の必要性〕の、電力会社間の融通量を計算する情報システムについての記述に着目する。本文は、融通量の算出に気象要素を含め、全国規模の効率化を図ることが求められているとしている。局地気象予測システムに外部システムとの連携機能を追加し、ほかの電力会社にも導入する方針は、この要求に対応する。公式解答例では「電力の融通量の算出に気象要素を含めることで、全国規模の効率化を図る」としている。40字以内で、融通量の算出、気象要素の利用、全国規模の効率化を結び付ける。
学習のポイント
目的・手段・組織体制を区別し、協業先の強みと市場の課題から役割分担や必要機能を導く練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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