STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
検討する対象の範囲を確かめる
情報システムの戦略を考えるときは、検討する対象の範囲に着目しましょう。広い話題から具体的な結論へ急がず、与えられた条件の中で、どこまでを対象としているかを整理することが出発点になります。
この問題で問われていること
考える際には、ある記述や条件がどの範囲について述べているのかを確かめてください。対象の一部についての話を、対象全体についての話として受け取っていないか、範囲を意識しながら検討を進めましょう。
視点
検討対象の範囲とは、その場で考える対象をどこまで含めるかという区切りです。話題から連想した範囲と、与えられた条件が示す範囲を混同せず、明示されていることを手掛かりに整理しましょう。
確認ポイント
- 検討対象の範囲を、与えられた条件から捉えているか
- 対象の一部と全体を混同していないか
- 明示されていない範囲を、自分で付け加えていないか
正解と解説を見る
解説
本問の要点は、製造の遅滞や取引停止などの事業リスクを把握し、SC基盤、購買システム、レポートシステムの整備目的と対応付けることです。各設問では、技術の一般論ではなく、M社の具体的な問題から回答を導きます。
問題の全体像
工作機械を製造するM社は、災害やパンデミックによる資材調達の不安定化と、仕入先の人権問題による取引停止・風評被害に直面しています。また、サプライチェーン全体の炭素排出量の算定や、社内の手作業集計にも信頼性・精度の問題があります。そこで、SC基盤の新規開発、購買システムの改修、レポートシステムの新規開発を進めます。公式の出題趣旨では、製造業の事業特性を踏まえ、外部や内部の変化・制約に対応した情報システム戦略を策定する能力が問われています。各システムの機能を、事業上の狙いや既存の問題点と結び付けて読むことが重要です。
設問1(サプライチェーン)
〔M社の状況〕の、風水害などでサプライチェーンが寸断され、資材不足によって製品製造が遅滞するという記述に着目します。設問は業績に関わる具体的な事業リスクを求めているので、原因である災害だけでなく、製造への影響まで示します。公式解答例では「資材が不足し製品製造が遅滞するリスク」とされています。20字以内では、資材不足と製造遅滞の因果関係を押さえます。
設問1(仕入先と顧客)
〔M社の状況〕の、部品を製造した工場などで強制労働や人権侵害があれば、顧客からの取引停止や風評被害が懸念されるという記述が根拠です。問題がある工場は1次仕入先に限らず、上流の仕入先も含まれます。求められるのは人権問題そのものではなく、それによってM社が受ける事業上の影響です。公式解答例では「取引停止や風評被害のリスク」とされており、20字以内ではこの二つの影響をまとめます。
設問2(1)
〔サステナビリティの取組における問題点〕では、仕入先ごとに算定の前提条件や計測指標が異なり、各段階で算定し直しているため、サプライチェーン全体の炭素排出量・削減目標を正しく算定できていない可能性が示されています。SC基盤には全ての仕入先の排出量・削減目標と算定条件を登録するので、取組状況を把握して報告の信頼性を確保することにつながります。公式解答例では「サステナビリティレポートの信頼性を確保するため」とされています。30字以内では、信頼性を確保する対象を明示します。採点講評では、M社内の手作業の時間や集計精度を目的とする解答が見受けられたとされており、ここではサプライチェーン全体の正しい算定に着目する必要があります。
設問2(2)
〔M社システムと情報システム戦略の策定〕にある、BCシステムが「データの真正性を維持しセキュアに共有できる」仕組みであるという説明が直接の根拠です。SC基盤ではこの機能を活用し、登録データへの参照値をブロックチェーンに記録して、資材のトレーサビリティ確保や偽装防止を実現します。公式解答例では「データの真正性を維持しセキュアに共有できるようにしたいから」とされています。35字以内では、真正性の維持と安全な共有の二点を押さえます。採点講評では、安定的な資材確保は購買システムの改修で実現する機能であり、BCシステムを活用する理由ではないと指摘されています。
設問3(1)
〔仕入れの問題点〕の、製造が停止しないよう、サプライチェーン全体を通じて安定的に資材を仕入れられる代替方法を確保したいという記述に着目します。購買システムの提案機能は、供給停滞のリスクを検出したときに、サプライチェーンマトリクスを用いて調達経路の組替えを提案します。この機能の狙いは、供給が不安定になっても資材を確保できるようにすることです。公式解答例では「安定的に資材を仕入れられる方法を確保するため」とされており、25字以内では安定調達とその方法の確保をまとめます。
設問3(2)
〔仕入れの問題点〕の、M社と仕入先各社が「一つの資材を複数の事業者から仕入れてきた」という記述が根拠です。同じ資材を供給できる事業者が複数あるという既存の仕入れの特徴を踏まえ、資材の関係をマトリクスとして把握することで、供給停滞時の組替えに活用します。公式解答例では「一つの資材を複数の事業者から仕入れていること」とされています。30字以内では、一つの資材に対して仕入先が複数ある点を示します。仕入先が多岐にわたることや、サプライチェーンが長く複雑であることだけでは、この特徴を表せません。
設問4(1)
〔サステナビリティの取組における問題点〕では、社内システムに登録された一部のデータを出力・集計できず、人事、財務、生産・在庫管理の各部門が手作業で集計していると説明されています。追加する連携機能は、この手作業を不要にするために必要なデータをレポートシステムへ渡すものです。公式解答例では「各部門が手作業で集計しているデータ」とされています。25字以内では、データを現在の扱われ方で特定します。採点講評では、炭素排出量や内部統制インシデント情報などの具体的な項目を挙げるのではなく、M社の実際の問題を読み取るよう求めています。
設問4(2)
〔サステナビリティの取組における問題点〕の、担当者の異動によって集計対象や範囲が変動し、報告結果の精度が一定に保たれていないおそれがあるという記述に着目します。レポートシステムが各システムとAPIで連携してデータを収集すれば、担当者ごとの手作業に依存していた集計を仕組みとして行えるようになります。公式解答例では、解決する問題点を「報告結果の精度が一定に保たれていないこと」としています。25字以内では、報告結果の精度が安定していないという問題を示します。本文には集計時間の問題もありますが、公式解答例が示す要点は精度のばらつきです。
学習のポイント
システムの構築目的、技術選択の理由、取り扱うデータ、解決する問題点を区別し、本文の根拠を字数内にまとめる練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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