STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
目的と課題のつながりを捉える
この分野では、個々の取組を単独で評価する前に、目指す事業上の目的と解決したい課題のつながりを整理しましょう。用語の印象だけで判断せず、両者の関係を捉える視点を保つことが検討の出発点になります。
この問題で問われていること
検討の焦点は、目的と課題がどのように結び付けられているかです。示されている情報を手掛かりに、何を目指しているのかと、何が課題として扱われているのかを区別し、その関係を自分の言葉で整理してみましょう。
視点
目的は目指す状態、課題は検討を必要とする事柄として、いったん分けて捉えます。それぞれの言葉を整理した後で、どのような関係が示されているかに注目すると、考える焦点を保ちやすくなります。
確認ポイント
- 事業上の目的を整理できているか
- 課題として扱われる事柄を整理できているか
- 目的と課題の関係を言葉にできるか
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解説
A社は、マイクロサービス化による変更対応の迅速化、SNS連携による注文獲得支援、需要予測による保税倉庫の利用促進を通じて、越境ECと物流の両事業の売上げを成長させようとしている。答案では、各施策の仕組みと顧客・消費者に生じる効果を結び付けることが要点となる。
問題の全体像
A社は、国際物流に加えて中小企業向けの越境ECサービスを提供している。顧客には、市場の変化への対応、SNSを使った注文獲得、海外配送の時間と送料という課題がある。A社は、マイクロサービス化、ソーシャルサインイン、AIによる需要予測を組み合わせ、越境ECと物流の両事業の成長を目指す。添付の出題趣旨では、事業環境の変化に対応するビジネスモデルの変革に向けて、ITを活用した新サービスの構想や実行、評価・改善を行う能力を問うとしている。技術名だけでなく、課題の解決が事業成果につながる関係を読むことが重要です。
設問1
〔A社のDX推進〕の冒頭にある、越境ECサービスの利用料による売上げだけでなく、物流サービスの提供料による売上げも伸ばすという記述に着目する。問われているのは、A社の事業全体をどのように成長させるかです。公式解答例では、越境ECサービスと物流サービスの両方の事業の売上げを成長させるとしている。35字以内では「越境ECサービスと物流サービスの両方の売上げを成長させる。」と、二つの事業と売上げの成長を押さえる。
設問2(1)
〔これまでのA社の取組〕の末尾にある、統合されたデータベースに各機能が密結合で連携する構成に着目する。各機能の結び付きが強いため、一部の変更でもシステム全体に影響し、開発規模が大きくなる。公式解答例では、この構成そのものを仕組み上の原因として挙げている。35字以内では「統合されたデータベースに各機能が密結合で連携するシステム構成」とまとめる。開発期間やコストが掛かるという結果ではなく、それを生む構造を答える。
設問2(2)
〔A社のサービスの課題〕(1)の、顧客から頻繁に個別のカスタマイズ要望があり、迅速に応えたいが限界があるという記述に着目する。再構築後は、マイクロサービス単位の改修で全体への影響を抑え、頻繁な要望に迅速に対応できる。公式解答例では「顧客からの頻繁なカスタマイズ要望に迅速に応えること」としており、30字以内ではこの要素をまとめる。採点講評では、「小さなカスタマイズ要望でも大きな開発につながる」という解答が見られたとし、要望の頻度と迅速な対応の必要性に着目するよう求めている。
設問3
〔A社のDX推進〕②の、SNSのショッピングタグから越境ECサイトに入りやすくなれば、顧客が注文を獲得しやすくなるという記述に着目する。ソーシャルサインインによる会員登録の省力化が、SNS経由の消費者からの注文獲得につながる。公式解答例では「SNS経由の消費者からの注文を獲得しやすくなる。」としており、25字以内でもSNS経由という対象と注文獲得の効果を残す。採点講評では、「消費者が越境ECサービスを利用しやすくなる」という解答が散見されたとし、具体的なターゲットを定めたAPIエコノミーの活用を理解するよう求めている。
設問4(1)
〔A社のサービスの課題〕(3)にある、日本からの直送では配送に2週間以上掛かることが多く、消費者に送料負担も生じるという記述に着目する。商品をロットで保税倉庫に輸送して保管し、そこから現地配送すれば、配送時間と送料負担を改善できる。公式解答例では、リードタイムの短縮と消費者の送料負担の軽減を理由としている。30字以内では「リードタイムを短縮でき、消費者の送料負担も軽減できるから」と、満足度向上につながる二つの効果を押さえる。
設問4(2)(①)
〔A社のDX推進〕③の末尾にある、売れ筋商品の在庫を補充するロットとタイミングを判断できるという記述に着目する。需要予測の情報を使って、補充する数量のまとまりと補充時期を判断するという具体的な在庫管理です。公式解答例でも、この二つの判断を挙げている。30字以内では「売れ筋商品の在庫を補充するロットとタイミングを判断する。」とまとめる。「適切に在庫管理する」だけでは、求められた具体性が不足する。
設問4(2)(②)
〔A社のDX推進〕③の末尾にある、イベントを実施する際に必要な在庫量を事前に確保できるという記述に着目する。イベントなどのマーケティング活動のデータも需要予測に使うことで、イベント時の需要に備えた在庫確保につなげられる。公式解答例では、この事前確保を二つ目の在庫管理として挙げている。30字以内では「イベントを実施する際に必要な在庫量を事前に確保する。」と、イベント、必要な在庫量、事前の確保を押さえる。
学習のポイント
原因・課題・施策・効果を区別し、誰にとってのメリットかを確認して、本文の具体的な要素を字数内にまとめる練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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