SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅱ

平成28年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

プロセスの不備への対応について ITサービスマネジメントで規定されるプロセスの確立は、ITサービスの品質を確保する上で重要である。例えば、インシデント管理のプロセスに不備があってインシデントの対応に時間が掛かったり、問題管理のプロセスに不備があってインシデントの発生が減らなかったりする。 ITサービスマネージャは、発生したインシデントに対処した後に、インシデントの内容や対応状況を整理し、インシデントの原因である問題を識別する。プロセスの不備がある場合には、プロセス単体の観点(手順の曖昧さ、抜け・漏れ、想定外の事象の発生など)だけでなく、プロセス間の連携の観点(共有する情報の不足、連携するタイミングの悪さなど)も含めて調査し、対策を検討するべきである。 また、インシデントの原因となった問題を解決した後、過去に発生したプロセスの不備に起因するインシデントの傾向分析を行うなど、事前予防的な活動を行うことも重要である。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わったITサービスの概要と、不備があったプロセスの概要及び不備の内容について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べたプロセスの不備をどのように調査し、どのような対策を立案したか。工夫した点を含め、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ プロセスの不備に関連して行った、事前予防的な活動について、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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原因の切り分けと予防策の考え方

プロセス上の不備を検討するときは、目立つ結果だけで判断せず、発生条件や管理の仕組みまで視野に入れ、再発を防ぐための観点を整理しましょう。関係者の立場も分けて考えます。

この問題で問われていること

一つの事象を個人のミスとして片づけず、どの段階で不備が生じ、同じ状況を防ぐ仕組みをどう検討するかという因果関係に注目してください。事実と解釈を分けて確認します。

視点

事象の発生から検知・対応・振り返りまでを時系列で整理し、手順、役割分担、記録、確認方法など、再発に関係する要素を一つの視点から点検します。

確認ポイント

  • 発生した事象と影響の範囲を区別できているか
  • 原因と結果を混同せず、関係する段階を追えているか
  • 一時的な対処と再発を抑える見直しを区別できているか
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解説

本問は、ITサービスの品質を支えるプロセスに不備が生じた事例を題材に、原因調査、対策立案、工夫、さらに再発を防ぐ予防活動までを一貫して論述する問題です。

問題の全体像

本文は、ITサービスマネジメントのプロセス確立がサービス品質に重要であり、インシデント管理や問題管理の不備が対応遅延や再発につながると示している。したがって、自分が携わったITサービスを一つ設定し、不備のあるプロセスと具体的な不備を説明した上で、その不備をどのように調査し、どのような対策を立案したかを述べる。調査では手順の曖昧さや抜け・漏れなどのプロセス単体だけでなく、情報共有不足や連携タイミングなどプロセス間の関係にも着目する。さらに、問題解決後に過去の傾向分析などを行い、同種の不備を事前に防ぐ活動まで論述することが狙いです。採点講評でも、インシデントへの個別対策だけでなく、プロセスに基づくITサービスマネジメントと、プロセス全体を見渡した予防活動が期待されている。

設問ア

800字以内なので、サービスの説明を広げ過ぎず、後続設問で調査・対策を詳述できる材料を選ぶ。まず、どの利用者にどのようなITサービスを提供していたか、規模や重要性、運用上の特徴を簡潔に示す。次に、インシデント管理、問題管理、変更管理など、どのプロセスのどの部分に不備があったかを明確にする。不備は単なる障害や担当者のミスではなく、手順が曖昧、確認項目が抜けている、想定外事象への処置が定義されていない、といったプロセス上の問題として記述する。また、別プロセスとの情報共有不足や引継ぎの遅れがあれば、プロセス間連携の不備として示す。設問イ・ウと同じ事例を使うため、発生したインシデント、影響、原因となった不備まで一貫する事例を選ぶ。

設問イ

公式解答例として個別の答案内容は示されていないため、出題趣旨と採点講評に沿って、調査・分析・対策立案の筋道を具体的に書く。まず、インシデント記録、対応時刻、作業履歴、関係者への聞取り、手順書、引継ぎ記録などを突き合わせ、事実と推測を分けて原因を絞り込む。次に、プロセス単体について手順の曖昧さ、抜け・漏れ、役割や判断基準の不足を調べ、同時に、前後のプロセスで必要な情報が渡ったか、連携の時期は適切だったか、責任の所在が明確だったかを確認する。その結果に対応して、手順書やチェックリストの改訂、記録項目の追加、エスカレーション基準の明確化、担当者教育、プロセス間の引継ぎ方法や責任分担の見直しなどを立案する。工夫した点として、関係者を交えた時系列整理、複数事例の比較、対策実施後の指標確認など、なぜ有効と判断したかまで示す。採点講評が指摘するように、インシデントへの対処だけで終わらず、プロセス不備そのものを対象にすることが重要です。

設問ウ

600字以上1、200字以内で、問題発生後の是正ではなく、同じプロセス不備やその影響を早期に発見・抑止する活動を具体的に述べる。例えば、過去のインシデントを原因別・プロセス別・発生頻度別に集計し、再発傾向や影響の大きい箇所を特定する。その分析結果を基に、手順やチェック項目の定期レビュー、プロセス間の連携点の点検、記録内容の監査、KPIや警告値の監視、関係者への訓練や演習などを実施した流れを書く。活動の対象、実施時期、担当者、確認した結果、改善につなげた内容を明らかにすると具体性が出る。採点講評では、対象プロセスの不備に限った記述は多い一方、ITサービスマネジメント全体を見渡す予防活動は少なかったとされるため、単発の再発防止策ではなく、傾向分析から継続的な点検・改善へつなげる視点を示します。

学習のポイント

プロセス単体とプロセス間連携を分けて分析し、事後対応と事前予防を具体的に書き分ける。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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