SMITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 ITサービスマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題






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判断の前提をそろえて考える
システムの変更を検討するときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。与えられた情報がどの範囲や時点を対象としているかを確かめ、異なる前提の情報を混ぜずに考えることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、判断に用いる情報が同じ前提に立っているかを意識して取り組みましょう。まず対象となる範囲や時点を押さえ、その前提が検討の途中で変わっていないかを振り返ると、考えを整理しやすくなります。
視点
情報の意味は、それが置かれた前提によって変わります。自分が補った想定と、与えられた条件とを分けて捉え、判断の根拠がどの前提に結び付くかを確かめましょう。
確認ポイント
- 判断に用いる情報の対象範囲や時点を確認できているか。
- 与えられた条件に、自分の想定を混ぜていないか。
- 考える途中で、判断の前提を変えていないか。
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解説
本問は、本部サーバの移転切替えを題材に、誤接続による発注業務への影響、繁忙期を避ける日程選定、データ件数による移行確認、更新周期に応じた事前移行、処理場所の変更や作業の並行実施による時間短縮を考える問題です。
問題の全体像
C社は、老朽化したY市拠点から新設のZ市拠点へ販売管理システムの本部サーバを移転します。販売管理システムは店舗から発注情報や売上情報を受け取り、本社の商品発注や経営情報の更新に使われています。移転方式には、異なるIPアドレスで並行稼働する案1と、同じIPアドレスを使い接続拠点を切り替える案2があり、工数面から案2が採用されました。公式の出題趣旨では、各種条件を考慮した移行計画、移行方式、切替えの実施方法に関する能力を問うとされています。解答では、技術的な事象を業務への影響につなげ、更新時期や所要時間に基づいて具体策を説明することが重要です。
設問1
表1の発注情報処理と、表2の案1に着目します。本来、店舗の発注情報は現本部サーバに送られ、その発注情報ファイルを本社社員が参照して仕入先へ商品を発注します。テスト後の切り戻しを忘れると、店舗からの発注情報が本番稼働前の新本部サーバへ送られ、現本部サーバの発注情報ファイルに反映されません。このため、本社で正しく商品発注を行えなくなります。公式解答例では、ファイルの更新先の誤りと、仕入先への商品発注が正しく行われない影響を示しています。50字以内の答案例は「現本部サーバの発注情報ファイルが更新されず、仕入先に正しく商品発注が行われない。」です。採点講評では、データベースが更新されないなど、システム上の事象だけにとどまる解答が指摘されています。
設問2
冒頭の、3月は全店舗で決算セールを行い、来店客数と売上高が通常月の約2倍になるという条件が根拠です。3月に移転切替えで不具合が起きると、影響を受ける顧客や売上が通常月より多くなります。4月を選ぶ理由は、この繁忙期を避け、不具合発生時の業務影響を小さくすることです。公式解答例では、売上高又は来店客の多い時期を避ける点が示されています。55字以内の答案例は「決算セールで来店客数と売上高が通常月の約2倍になる3月を避け、不具合発生時の業務影響を小さくするため。」です。採点講評を踏まえ、作業上のリスクだけでなく、顧客へのサービスや業務への影響を述べます。
設問3(1)
表4の移行対象は4種類あり、表3では取得・運搬・投入の後に作業確認を行います。移行漏れの確認には、4種類それぞれのデータ件数を移行前後で照合するという具体的な方法を示します。公式解答例では、現本部サーバと新本部サーバ、又はテープ媒体と新本部サーバの件数が一致することを確認しています。55字以内の答案例は「両拠点で移行対象4種類のデータ件数を照合し、現本部サーバと新本部サーバで一致を確認する。」です。採点講評では、単に新旧データを比較すると書くだけでなく、当日に拠点間で連絡を取りながら実施する具体的内容が不足した解答が指摘されています。比較する対象、比較項目、一致の確認を明確にします。
設問3(2)
解答は項番「3」の売上情報ファイルです。表1では、バックアップ用の売上情報ファイルを毎週月曜日の8時に本部サーバへ送信するとされています。移転切替え日は4月の第4水曜日なので、月曜日に受信したファイルは、切替え前日までに移行できます。一方、発注情報ファイルはオンライン業務中に随時更新され、売上情報集約ファイルは毎日23時30分から24時までに送信されます。経営情報DBも発注情報処理や夜間バッチ処理で更新されます。この更新周期の違いが、公式解答例で項番3を選ぶ根拠です。
設問3(3)(a)
表3では、夜間バッチ処理を現本部サーバで120分実行した後に移行し、現ルータの電源切断と新ルータの電源投入・起動確認もデータ移行と直列に実施しています。公式解答例には三つの群があります。ア群は、夜間バッチ処理をデータ移行後に新本部サーバで実行する方法です。55字以内の答案例は「Y市拠点で実行予定の夜間バッチ処理を、データ移行後にZ市拠点で実行する。」です。イ群は、現ルータの電源切断、又は新ルータの電源投入・起動確認のどちらかをデータ移行と並行して実施する方法です。ウ群は、両方を並行して実施する方法で、答案例は「現ルータの電源切断と新ルータの電源投入・起動確認を、データ移行作業と並行して実施する。」です。並行化する場合も、同じIPアドレスの両拠点を同時にVPNへ接続しない条件を守ります。採点講評では、設問で除外された移送方式の工夫を答える解答が指摘されています。テープ媒体や運搬方法の変更を提案せず、処理場所や作業順序に着目します。
設問3(3)(b)
前倒し時間は、(a)で選んだ方策と対応させます。公式解答例のア群では、夜間バッチ処理を新本部サーバへ移すことで、120分から80分になり、差の「40分」を短縮できます。イ群では、現ルータの電源切断、又は新ルータの電源投入・起動確認のどちらか一方の10分をデータ移行と重ねるため、「10分」です。ウ群では、両方の10分を重ねるため、10+10=「20分」です。公式解答例では、(a)と(b)を同じ群の組合せにすることが示されています。また、設問3(2)の事前移行による短縮時間は、この設問の計算に加えません。
学習のポイント
業務への影響まで因果関係をたどり、データの更新周期と作業の依存関係を根拠に移行計画を検討する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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