SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ
令和元年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
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段階別デバッグ要件の見極め
段階ごとのデバッグモニタを考えるときは、各段階で観測したい対象と、評価に使う判断基準が対応しているかを整理し、用語の印象だけで結論を急がないことが大切です。
この問題で問われていること
確認する観点を、要求された評価の粒度と、モニタで得られる情報の対応関係に絞ります。目的・観測対象・判定基準が同じ範囲を扱っているかを順に照合してください。
視点
デバッグ段階を比較する際は、名称や順序を暗記するより、何を観測し、どの程度の確かさで評価したいのかという対応関係を整理します。
確認ポイント
- 要求された評価対象が、どの範囲の動作や状態を指しているか確認する。
- モニタから得られる情報の粒度と、求められる判断の粒度が合っているか照合する。
- 評価結果を再現・比較するための条件や基準が、曖昧なまま残っていないか点検する。
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解説
本問は、汎用的な入出力装置を持たないことが多い組込みシステムについて、開発・検証・出荷後の各段階で異なる利用者のニーズと制約を踏まえ、デバッグモニタ機能を設計・評価した経験を一貫して論述する問題です。
問題の全体像
組込みシステムでは、PCのようなキーボードやディスプレイを備えないことが多く、デバッグや故障診断の操作・結果出力にシステム固有の工夫が必要になる。さらに、開発段階では開発支援ツール、検証段階では実機、出荷後では製品に備えられたボタンや通信機能など、利用者と利用可能な装置が変化する。IoT機器の通信障害、大量データを扱う機器のメモリ制約、不正利用によるセキュリティリスクにも配慮が求められる。出題趣旨では、こうした制約の下で、各段階に必要な機能を検討し、実現した経緯・検討過程・結果の評価を具体的に論述することが求められている。
設問ア
まず、設問イとウの前提となる一つの実在性のある組込みシステムを設定する。システムの用途、主要な機能、搭載されるセンサ・通信・制御機能、利用環境などを簡潔に示した上で、なぜデバッグモニタ機能が必要になったのかを述べる。問題文にある、汎用入出力装置がないこと、機能の複雑化、開発・検証・出荷後で必要な機能や利用可能な装置が異なることなどから、通常のログや単純な保守機能では不具合解析・故障診断が難しいという因果関係を明確にする。800字以内なので、システム概要と必要性の経緯に絞り、後の設問で詳述する機能仕様を先に書き過ぎないことが重要です。
設問イ
開発・検証・出荷後の三段階を分け、それぞれについて利用者、目的、利用できる装置、必要なデバッグモニタ機能を対応付けて記述する。開発段階では、開発者が開発支援ツールから内部状態、変数、イベント履歴、トレースなどを確認し、再現や原因分析を効率化する機能が考えられる。検証段階では、実機上でリアルタイム性を損なわずに状態表示やログ取得、異常時の保存・再現を行えるようにする。出荷後は、保守担当者が通常の操作だけで診断モードを起動できるよう、特定のボタン操作や外部端子、限定された通信手段を利用し、利用者に不要な内部情報を見せない構成にする。さらに、通信障害時の代替手段、メモリ制約を考慮したログの絞込みやリングバッファ、認証・権限制御・監査ログ・本番環境での無効化など、組込み特有の制約とセキュリティへの配慮を、各機能を設けた理由とともに述べる。800字以上1、600字以内なので、単なる機能一覧ではなく、各利用者との協議で何を要求として整理し、どのトレードオフを解決したかまで具体化する。
設問ウ
設問イで設計した機能を、開発者、検証担当者、出荷後の保守担当者や運用者それぞれのニーズを基準に評価する。例えば、開発段階では原因箇所の特定時間が短縮されたか、検証段階では実機の性能やリアルタイム性を損なわずに必要な診断ができたか、出荷後では現場で安全かつ簡単に起動でき、復旧や遠隔診断に役立ったかを述べる。評価は「便利だった」だけでなく、解析時間、再現性、取得できる情報、現場作業の負担、性能影響、セキュリティリスクなどの観点で具体化する。その上で、今後の課題として、ログ量とメモリ使用量の両立、通信障害時の診断継続、診断機能の不正利用防止、製品バージョン間の互換性、保守担当者への教育、障害データの個人情報・機密情報対策などを挙げる。採点講評では、各段階の要求と対応内容に具体性がある論述が評価される一方、一般論や実装結果の説明だけにとどまる論述は不十分とされているため、利用者のニーズ、評価結果、課題を一続きの因果関係で示す。
学習のポイント
段階別の要件整理、組込み特有の制約、検討経緯、評価と課題を具体的に結び付けて書く力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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