SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
条件が適用される範囲を整理する
検討の出発点として、与えられた条件がどの範囲に適用されるかに注目しましょう。条件の言葉だけで判断せず、対象との対応を整理すると、考える範囲を広げすぎずに内容を確かめられます。
この問題で問われていること
この問題では、条件の適用範囲という一つの観点から、示された情報の関係を整理してみましょう。ある対象について述べられた条件を、根拠なく別の対象にも当てはめていないか、対応する記述に立ち戻って確認してください。
視点
条件を整理するときは、その条件が及ぶ範囲に着目します。条件に対応する対象をたどり、どこまで適用できるかを示された情報の範囲で捉えましょう。
確認ポイント
- 各条件がどの対象に対応するかを確認したか
- 条件が及ぶ範囲を、示された情報から確かめたか
- 条件を適用する範囲を、根拠なく広げていないか
正解と解説を見る
解説
現行業務のルールを、カード発行時の重複確認、有効期限の算出、請求対象の抽出、利用状況の照合へ具体化する問題です。特に、初回カード発行日とカード発行日の役割、利用日確認と利用車両確認の比較対象を区別することが重要です。
問題の全体像
法人向け自動車リース会社のK社が、ETCカードの利用者増加に対応し、契約・請求システムの統合と手作業の自動化を進める事例です。加えて、顧客の営業日以外の利用や、発行依頼された車両以外での利用を確認できる帳票を提供します。公式の出題趣旨では、現行業務を正しく把握し、業務効率化と新規サービスの要望をシステム要件として定義する能力が評価対象とされています。各設問では、業務上の決まりを、表1の属性や通行記録の比較・抽出条件へ具体化して答えます。
設問1(1)(チェック内容)
現在のカード発行業務にある「リース車両に対して利用中のカードがないことを台帳で確認する」に着目します。下線①では、対象がカード状態“利用中”のレコードに限定されているので、その中に発行依頼された車両の自動車登録番号と一致するレコードがないことを確認します。公式解答例では、依頼書に記載された自動車登録番号と一致するレコードの不存在を挙げています。40字以内の答案は「依頼書の自動車登録番号と一致するレコードがないこと」とまとめられます。採点講評では、有効期限をチェックするという誤答が指摘されています。
設問1(1)(業務上の理由)
〔現在の業務の概要〕の冒頭にある「リース車両1台につきカードを1枚発行する」が根拠です。同じ車両に利用中のカードがある状態で新規発行すると、この業務ルールに反するため、重複を確認します。公式解答例では「1車両につきカードを1枚だけ発行するから」としています。25字以内では、この台数と枚数の関係を明記します。「重複を防ぐため」だけでは、重複を禁止する業務上の理由まで説明できません。
設問1(2)(情報)
カード発行情報には「カード有効期限年月」が含まれ、その期限は「顧客のリース契約満了日の属する月の月末」と定められています。この年月を決めるために、リース契約管理システムから取得すべき情報は満了日です。公式解答例では「リース契約の満了日」を挙げています。契約番号や顧客名などを広く列挙するのではなく、カード発行情報の作成に必要な契約情報を、期限の決定ルールから特定します。
設問1(2)(利用目的)
取得したリース契約の満了日から、その日が属する年月を求め、カード発行情報の有効期限に反映します。公式解答例では、利用目的を「カード有効期限年月を算出すること」としています。20字以内の答案でも、この表現で目的を明確に示せます。単に「契約を確認するため」とするのではなく、取得情報から何を算出するのかを答えることがポイントです。
設問2(1)①(属性)
現在の請求業務では、カード年会費を「現在有効であるカード」を対象に請求します。新システムでは、更新前のレコードは“更新済み”、再発行前は“無効”、期限を迎えて更新されなかったものは“解約”となるため、有効なカードを選ぶ属性は「カード状態」です。公式解答例でも、この属性を挙げています。二つの属性は順不同ですが、ここでは①をカード状態とし、続く条件もこの属性に対応させます。
設問2(1)①(抽出条件)
カード状態には複数の値がありますが、現在有効なカードに対応するのは“利用中”です。したがって、カード状態の抽出条件は、公式解答例のとおり「“利用中”であること」です。20字以内では、この状態値を明記します。過去のカードのレコードも残るため、初回発行の月が一致するだけでは不十分です。もう一つの月の条件と併せて、両方を満たすレコードを抽出します。
設問2(1)②(属性)
年会費は、カード発行依頼書に基づいて初回に発行した月に請求し、その後は1年ごとに請求するというルールです。この基準を保持する属性は「初回カード発行日」です。更新・再発行時にも、この属性には旧カードの初回カード発行日が引き継がれる一方、カード発行日には新たな処理日が設定されます。公式解答例では初回カード発行日を挙げています。採点講評では、カード有効期限年月やカード発行日を挙げた誤答が指摘されています。
設問2(1)②(抽出条件)
初回に発行した月を基準として毎年請求するため、初回カード発行日の月と請求対象の月が一致することが条件です。公式解答例では「請求対象の月と同一の月であること」としています。20字以内の答案でも、この表現でまとめられます。比較するのは月であり、年月全体の一致ではありません。年まで一致させると、翌年以降の年会費請求を抽出できなくなります。
設問2(2)
現在のカード再発行業務にある「再発行の理由が“磁気不良”又は“破損”である場合、カード発行費の請求対象外」に着目します。新システムでは、この理由が表1の「発行理由」に設定されます。公式解答例では「発行理由が“磁気不良”又は“破損”であるカード」としています。30字以内では「発行理由が磁気不良又は破損であるカード」と記述できます。“紛失”や“カード種類変更”は、本文の請求対象外の条件に含まれていません。
設問3(1)(情報)
利用日確認帳票の目的は、顧客の営業日以外に有料道路のICへ入った利用を知らせることです。通行記録には利用日がありますが、その日が顧客の営業日かどうかは通行記録だけでは判定できません。契約申込時に顧客から提供してもらう情報は、公式解答例のとおり「顧客の営業日」です。この表現は10字以内に収まります。採点講評では、利用車両確認帳票と混同し、自動車登録番号を答えた誤答が指摘されています。
設問3(1)(データ)
保有した顧客の営業日情報と、通行記録の「利用日」を比較します。本文では、利用日は有料道路のICに入った日と定義されているため、その日が顧客の営業日以外である通行記録を抽出します。公式解答例も、この条件を示しています。30字以内の答案は「通行記録の利用日が顧客の営業日以外であるデータ」とまとめられます。出口時刻を基準とするのではなく、帳票の目的に対応する利用日を使います。
設問3(2)
利用車両確認帳票では、カードを発行した車両と実際に利用した車両が異なる記録を抽出します。表1のカードデータにはカード番号と自動車登録番号があり、図3の通行記録にも両項目があります。公式解答例では、通行記録のカード番号と自動車登録番号の組合せが、カードデータの情報と異なるデータを挙げています。45字以内の答案は「通行記録のカード番号と自動車登録番号の組合せがカードデータと異なるデータ」とまとめられます。自動車登録番号だけを比較すると、どのカードに対して発行依頼された車両なのかを判定できないため、カード番号との組合せで照合します。
学習のポイント
業務ルールを属性と条件に対応付け、状態や日付の意味を踏まえて、設問が求める単位と字数で記述する練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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