SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
判断に用いる前提の範囲をそろえる
業務要件と機能・運用方式の関係を考える際は、判断に用いる前提の範囲に注目しましょう。記述されている条件と、自分の経験から補った想定を区別し、同じ前提のもとで検討できているかを確かめます。
この問題で問われていること
この問題で意識したいのは、対応関係を判断するときの前提が途中で変わっていないかという点です。結論を急がず、それぞれの判断が何を根拠にしているかをたどり、明示された条件の範囲を保って考えてみます。
視点
前提とは、判断の土台として置く条件です。読み取った条件と、自分で補った想定を分けて整理すると、どの範囲で関係を考えているのかを振り返りやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を、示された内容に結び付けられているか
- 明示されていない想定を、無意識に補っていないか
- 考える途中で、前提の範囲を変えていないか
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解説
情報開示システムの設計に当たり、公開前の確認・承認、年度初めの請求集中、提供対象外の文書への対応、手作業による連携の負担、電話連絡の確実性と登録の利便性を、本文の条件に沿って説明する問題です。
問題の全体像
F法人は、来訪や郵送を伴う開示請求手続の負担を減らすため、登録した利用者がインターネットから文書を即時に取得できる新システムを構築します。ただし、当初の情報提供は開示請求が多く開示可能な文書に限られ、公開前の複数人による確認や、情報提供先への電話連絡も必要です。また、社内システムとの直接オンライン連携は禁止され、データの取り込みは管理担当者の運用作業で行います。公式の出題趣旨では、現行業務、既存システム、IT環境上の制約を理解し、適切な機能とシステム方式を設計する能力を問うとしています。各設問では、要望と実装する機能、業務の特性と方式選択、利用者の特性と登録手順の対応関係を読み取ります。
設問1
下線①では、従来のように請求のたびに文書を確認しないため、情報に不備がないことを複数人で確認してから提供したいとしています。これに対応する記述は、〔新システムで提供する機能の概要〕の「文書登録者の上司が内容を確認し、承認すると公開される」という部分です。登録者に加えて上司が確認し、承認を公開の条件にすることで、要望を満たします。公式解答例では「登録された文書を上司が確認し,承認する機能」としています。25字以内の答案には、確認対象が登録された文書であること、上司による確認と承認の両方を押さえます。
設問2
〔新システム構築の背景、目的及び整備方針〕にある、年度初めの4月、5月に年間の開示請求件数の約半数が集中するという記述に着目します。短い期間に多くの請求が集まるため、時期によって業務処理量に大きな差が生じると予想できます。公式解答例では「年度初めに年間の開示請求件数の約半数が集中すること」としています。30字以内では「年度初め」「年間件数の約半数」「集中」をまとめます。毎年の件数増加は長期的な増加傾向であり、この設問で問われている時期による変動の根拠としては、年度初めの集中が直接対応します。
設問3(1)
新システムの整備方針では、まず開示請求が多く開示可能な文書だけを情報提供の対象とし、順次対象を増やすとしています。一方、文書管理簿の検索機能は統合されるので、検索で見つかっても新システムからダウンロードできない文書が残ります。そのような文書について開示請求を受け付けるため、直接情報提供する機能とは別に電子フォームが必要です。公式解答例では「新システムでは,まず,開示請求が多く開示可能な文書だけを対象にするから」としています。40字以内では、当初の提供対象が限定されることを理由として示します。採点講評では、背景や目的を引用するだけの解答が多かったと指摘しており、手続の簡素化という一般的な目的だけでなく、別の機能を用意する必要性まで読み取ることが重要です。
設問3(2)
〔新システムの方式検討〕には、社内システムとの連携を管理担当者の運用作業で行い、その頻度をできる限り少なくする方針が示されています。職員認証システムのパスワードは職員が随時変更できるため、その情報も新システムに反映させる設計にすると、変更に対応する取り込み作業が頻繁に必要になります。新システムでパスワードを別に設定・管理すれば、この作業を避けられます。公式解答例では「運用作業による連携頻度を少なくしたいから」としています。25字以内では、運用作業と連携頻度の削減を結び付けます。採点講評では、直接オンライン連携の禁止という方式上の制約や、職員基本情報の更新が月1回程度という現行の運用を、そのまま理由にする解答を指摘しています。問われているのは、パスワードを別管理する運用上の狙いです。
設問4(1)
文書所管部署は、必要に応じて情報提供先に電話で連絡できるよう、連絡先に間違いがないことを確認したいと要望しています。表1の案1は、入力された電子メールアドレスに送ったURLを利用者が開く方式です。この手順で確かめられるのは電子メールを受信できることであり、登録された電話番号に連絡できることは確認できません。公式解答例では「情報提供先に電話で連絡することができるようにすること」としています。30字以内では、情報提供先への電話連絡を可能にする要望を明示します。単に「連絡先を確認する」と書くと、案1で不足する確認対象が伝わりにくくなります。
設問4(2)
表1の案3では、入力された住所へ認証コードを封書で送り、利用者が受け取って入力した後に本登録が完了します。郵便の到着を待つ必要があるため、初めて利用する際に、その場で登録を完了して文書を取得することができません。ここで対応付ける目的は、〔新システム構築の背景、目的及び整備方針〕にある、初めての利用でも手続が簡単で即時に文書を取得できることです。公式解答例でも、この目的を解答としています。35字以内の答案には「初めての利用」「手続が簡単」「即時に文書を取得」を押さえます。厳格に住所を確認できるという案3の利点と、新システムが求める利用の手軽さ・即時性との関係を説明できることがポイントです。
設問4(3)
本文では、開示請求の多い文書を利用するのは主に事業者であり、現行の開示請求書でも、事業者には事業所の電話番号を求めています。案2のSMSによる認証は携帯電話番号の入力が前提ですが、事業者が事業所の電話番号を連絡先にする場合、携帯電話番号を入力できないことがあります。そこで、入力された電話番号への自動音声による通知も選べるようにし、電話連絡先を確認しながら登録できるようにしています。公式解答例では「利用者には事業者が多く,携帯電話番号を入力できない場合があるから」としています。35字以内では、事業者が多いという利用者の特性と、携帯電話番号を入力できない場合があることを一組で示します。採点講評でも、携帯電話を利用できないという事情だけでなく、事業者が多いという特性を含めて解答するよう求めています。
学習のポイント
設問が求める機能・理由・目的を区別し、業務要件、運用要件、利用者の特性から答案の根拠を選ぶ練習を重視します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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