SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成26年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問3 組込みシステムの開発における機能分割について 組込みシステムのシステムアーキテクトは,組込みシステムの開発において,製品開発の企画書などで示されたシステム要件に基づき,機能仕様を決定する。また,機能仕様を実現するために,各機能を適切に分割して最適なシステムアーキテクチャを設計することが求められている。 例えば,機能仕様で,データに対して機能Aと機能Bを実現することと,データ量の増減に合わせて処理装置を増減することが求められているとする。このときのシステムアーキテクチャの設計では,機能Aの処理装置と機能Bの処理装置を複数個ずつ組み合わせて実現するか,両機能を実装した処理装置を複数個で実現するかを決定することがある。また,システム要件で示された安全性を確保するために,ハードウェアで実装する機能とソフトウェアで実装する機能を明確にし,両者を組み合わせて必要かつ十分な安全性を実現することなどがある。 適切な機能分割を行うためには,安全性,信頼性,性能,開発スケジュール,開発・製造・保守などのコスト,製品展開,拡張性・再利用性,規格への適合性,知的財産などについて,複数の機能分割案を比較・検討する必要がある。その際には,必要な事項を調査し,可能な限り定量的に比較・検討を行うことが重要である。 また,システムアーキテクトは,機能分割の結果をシステムアーキテクチャ設計書,ハードウェア要求仕様書,ソフトウェア要求仕様書などにまとめる。このとき,決定に至った過程・経緯に対する追跡が行われることを考慮する必要がある。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが開発に携わった組込みシステムの機能,性能などの概要と,機能分割の対象とした機能を,800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた組込みシステムに対する機能分割案の比較・検討に際して,調査を必要とした事項,及び機能分割案の内容・比較項目・検討結果について,800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた機能分割案に対する評価,及び決定に至った過程・経緯に対する追跡への対応について,600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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機能分割案を比べる視点

各案を個別の印象で判断せず、システム要求との対応、責任の境界、変更や連携への影響を同じ観点で並べて確認しましょう。

この問題で問われていること

一つの案の細部に引きずられず、要求された役割がどの単位に割り当てられ、各部分の関係が追跡しやすいかという観点に集中します。

視点

機能分割を比較するときは、要求と担当範囲の対応を基準にそろえ、構成要素どうしの関係や将来の影響を整理して考えます。

確認ポイント

  • 要求との対応関係を、案ごとに同じ切り口で確認できるか。
  • 各機能の担当範囲と境界が、重複や抜けなく整理されているか。
  • 変更・連携・保守の影響を比較する際、前提条件をそろえているか。
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解説

本問は、組込みシステムの機能仕様を実現するために複数の機能分割案を作成し、安全性・性能・コストなどの観点から比較評価して、決定経緯を追跡可能にする実践力を問う。

問題の全体像

組込みシステムのシステムアーキテクトには、企画書などのシステム要件を基に機能仕様を定め、各機能を適切に分割して最適なアーキテクチャを設計することが求められる。問題文は、処理装置の組合せやハードウェア・ソフトウェアへの割当てを例に挙げ、安全性、信頼性、性能、開発スケジュール、コスト、製品展開、拡張性・再利用性、規格適合性、知的財産などを比較し、可能な限り定量的に検討するよう求めている。さらに、結果を設計書や要求仕様書にまとめ、決定に至った過程・経緯を追跡できるようにする点も重要です。公式の出題趣旨では、適切な機能分割の実施とその評価を具体的に論述し、アーキテクチャ設計における実践的能力を示すことが狙いとされている。

設問ア

まず、実際に開発に携わった組込みシステムについて、何の製品・装置で、どのような機能を持ち、処理量、応答時間、精度、消費電力、安全性などの性能要求があったかを簡潔に示す。その上で、どの機能を分割対象にしたのかを明確にする。例えば、センサ入力、制御演算、通信、表示、安全監視などのうち、処理量の増加、応答性能、安全性、装置構成の変更などによって分割の判断が必要になった機能を選ぶ。800字以内なので、システムの一般的な説明に偏らず、後続の設問イ・ウで扱う機能分割の対象と、その分割が必要になった背景までを一貫して記述する。

設問イ

設問アの対象機能について、まず比較検討に必要な調査事項を挙げる。例えば、処理量やピーク負荷、応答時間、故障時の影響、安全規格の要求、利用可能なハードウェア性能、ソフトウェア開発期間、製造・保守方法、将来の製品展開などです。次に、少なくとも複数の機能分割案を示します。問題文の例に沿えば、機能Aと機能Bを別々の処理装置に分ける案と、両機能を一つの処理装置にまとめて複数台で構成する案、またはハードウェア実装とソフトウェア実装を組み合わせる案などが考えられる。比較項目は、安全性、信頼性、性能、開発スケジュール、開発・製造・保守コスト、拡張性、再利用性、規格適合性などから、対象システムに関係するものを選ぶ。採点講評では、具体的な設計内容を記述した答案が多かった一方、経験を踏まえた機能分割の設計能力をさらに示すことが期待されている。したがって、単に利点・欠点を列挙せず、調査結果を数値や条件で示し、比較の結果としてどの案を選んだか、その理由を明確にする。

設問ウ

設問イで選んだ機能分割案について、要求された安全性・性能・信頼性を満たすか、開発期間やコストとのバランスは妥当か、将来の拡張や保守に有利かなどを総合評価する。採点講評では、設問の趣旨を理解し、システムアーキテクトの観点から適切に記述した答案が概ね見られた一方、分割対象の機能説明が曖昧な答案や、分割の必然性が読み取れない答案もあったとされる。そのため、最終案を選んだ評価基準と、他案を採用しなかった理由を具体化する。また、決定に至る過程・経緯の追跡については、要求事項、調査データ、比較表、レビュー記録、リスク評価、承認者、版数、変更理由などを設計書やハードウェア・ソフトウェア要求仕様書に関連付けて記録する方法を述べる。誰が、いつ、どの根拠で案を変更・承認したかを後から確認できるようにすることが要点です。

学習のポイント

経験したシステムを題材に、機能分割案の比較根拠と決定記録を具体化する力を身につける。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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