SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成26年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

データ交換を利用する情報システムの設計について ビジネスのスピード向上や業務運用の効率向上を目的として、企業間や企業内システム間でデータ交換を利用する情報システムを構築する企業が増加している。データ交換では、運用時間帯、データ送信順序などの制約事項が、あらかじめ決まっている場合が多い。システムアーキテクトは、これらの制約事項を踏まえて、データ交換を利用する情報システムを設計しなければならない。 例えば、データ交換を利用する受発注システムの場合、次のように情報システムの設計を行う。 ・大量の入力データがある場合でも、データの送信開始時刻に間に合わせるために、送信側で、送信データの作成を多重で処理できるように設計する。 ・受注データとマスタデータの送信順序が保証されない場合、データの整合性を維持するために、受信側で全ての受信データを一時保管した上で、その中からマスタデータを先に反映するように設計する。 さらに、次のように、データ交換に伴う異常を想定して、情報システムでの対応方法を用意しておくことも重要である。 ・一部の受信予定データが届かない場合、その後の処理全体が滞ることを避けるために、事前の取決めに従って、後続処理を開始できるようにする。 ・受注データの受信から加工までの処理を自動化する場合でも、受注数量が過去実績に比べて極端に多いなどの業務上の異常データが発生したときには、処理を中断して人手による確認ができるようにする。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが構築に携わった情報システムにおいて、データ交換を利用する目的を、対象業務、及び対象の情報システムの概要を含めて、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた情報システムの構築において、どのような制約事項を踏まえて、どのように情報システムを設計したか。800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問アで述べた情報システムの構築において、データ交換に伴うどのような異常を想定し、情報システムでどのような対応方法を用意したか。その対応が必要になる理由とともに、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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制約と異常時に見る整理軸

この分野では、処理が通常どおり進む前提だけでなく、制約が成立する範囲と異常が起きたときの扱いを切り分けて考えることが重要です。画面の記述を、条件・影響・対応の観点で整理しましょう。

この問題で問われていること

一つの観点として、異常が発生した場面で、どの条件が関係し、影響がどこまで及び、処理や利用者への対応をどう捉える説明なのかを確認してください。細部より関係の整理を優先します。

視点

制約と異常対応を読むときは、成立条件、発生した事象、その影響範囲、関係者が取る対応を分けて整理し、各要素のつながりが自然かを確認します。

確認ポイント

  • どの条件や前提が関係しているかを確認する
  • 異常による影響の範囲を整理する
  • 対応の対象と順序を説明全体から確認する
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解説

データ交換を利用する情報システムについて、目的と対象業務を示した上で、運用時間帯や送信順序などの制約を踏まえた設計、未着データや異常データへの対応を論述する問題です。

問題の全体像

企業間又は企業内システム間のデータ交換を使い、ビジネスのスピード向上や業務運用の効率化を実現する情報システムが題材です。問題文は、運用時間帯、送信開始時刻、データ量、送信順序などの制約を踏まえた設計を求めている。また、データの未着や業務上の異常値によって処理が停止・誤処理する事態を想定し、後続処理の継続や人手確認などの対応を用意することも重視している。公式解答例の出題趣旨では、これらを具体的に論述することを通じて、データ交換を利用する情報システムの設計能力を評価すると説明されている。

設問ア

まず、受発注、在庫、請求など、データ交換を利用した実際の対象業務を一つ設定し、交換によって何を改善したいのかを明確にする。例えば、企業間の受注連携を迅速化し、転記作業や入力遅延を減らすといった目的です。次に、送信側・受信側のシステム、交換するデータ、主な処理の流れを簡潔に示す。800字以内なので、目的、対象業務、システム概要が互いに結び付くように記述し、細かな製品名や一般論に字数を使わないことが重要です。

設問イ

設問アの事例について、どの制約が設計を左右したかを具体的に挙げ、その制約に対する設計を対応付けて書く。問題文の例に沿えば、大量データを送信開始時刻までに作成するため、送信側でデータ作成を多重処理する設計が考えられる。また、受注データとマスタデータの順序が保証されない場合は、受信側で全データを一時保管し、マスタデータを先に反映して整合性を確保する。自分の事例では、運用時間帯、締切時刻、データ量、通信性能、送信順序、相手システムの処理可能時間などを選び、制約がある理由、採用した方式、期待する効果まで説明する。800字以上1、600字以内であるため、制約の列挙だけで終わらず、設計判断の因果関係を複数組示す必要がある。

設問ウ

データ交換に伴って起こり得る異常、その業務影響、情報システムで用意した対応、対応が必要な理由を一組ずつ整理して述べる。問題文に示された観点では、一部の受信予定データが届かない場合に、事前の取決めに従って待ち続ける範囲を定め、後続処理を開始できるようにする対応がある。また、受注数量が過去実績に比べて極端に多い場合は、自動処理を中断し、警告や保留状態にして人手で確認できるようにする。異常の検知条件、処理の停止・継続・再送・保留などの動作、担当者への通知や再開方法まで具体化するとよい。600字以上1、200字以内なので、異常を並べるだけでなく、放置した場合に処理遅延、整合性低下、誤出荷などが起こるため対応が必要だという理由を明示する。採点講評では、設計内容を具体的に論述した答案が多かった一方、制約事項を考慮した設計能力を十分に示すことが期待されている。

学習のポイント

業務上の制約を設計判断へ結び付け、異常時の影響と対応理由まで具体的に説明する力を養う。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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