SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成24年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

障害時にもサービスを継続させる業務ソフトウェアの設計について 業務におけるシステムの重要性の増大に伴い、システムの障害時にもサービスを継 続させることが重要になっている。システムアーキテクトは、サービス継続の方針に 基づいて、機器の二重化などハードウェア面での対策だけでなく、障害時に継続運用 を可能にする業務ソフトウェアを設計する。 例えば、小売業で“来店する顧客が通常どおり商品を購入できること”、金融業で “決済取引を止めないこと”がサービス継続の方針である場合、システムアーキテク トは、次のように障害時にも継続運用を可能にする業務ソフトウェアを設計する。 ・小売業で本部と店舗のシステムが連携してPOS売上処理を行っている場合、本部 システムの障害に備え、POS 売上処理を店舗システム単独で稼働可能にする。こ のため、店舗システムにPOS売上データを一時的に保持する機能を用意しておく。 ・金融業で、ネットワークの処理能力が大幅に低下するような障害に備え、障害時 に決済取引以外の処理を一時的に停止する機能を用意しておく。 このような、継続運用を可能にする業務ソフトウェアを設計する際、更に次のよう な継続運用に備えた処理や障害復旧処理における工夫をする。 ・通常時に、本部のマスタを更新する都度、店舗のマスタも同時に更新し、いつでも 店舗システム単独での稼働に切り替えられるようにする。また、店舗での欠品を防 止するために、復旧後、配送頻度の高い食品などの発注データを優先的に処理する。 ・ネットワークの処理能力の回復後、停止させていた業務を再開するとともに、全 業務が利用可能であることを利用者の画面上に表示する仕組みを用意する。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが開発に携わった、障害時にも継続運用を可能にするシステムについて、 対象業務とシステムの概要、サービス継続の方針について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた方針に基づいて、障害時にもサービスを継続することにした処 理は何か。また、継続運用を可能にするために業務ソフトウェアをどのように設 計したか。800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた業務ソフトウェアの設計で、継続運用に備えた処理や障害復旧 処理においてどのような工夫をしたか。600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
解き方のヒントを見る

実務での判断理由を整理する

障害時のサービス継続を意識した業務ソフトウェアの設計や復旧処理について、自身の実務経験を振り返り、そこでの工夫を選んだ理由に注目しましょう。判断の背景と説明のつながりを確かめることが整理の手掛かりになります。

この問題で問われていること

設問で求められた観点に照らし、取り上げる工夫と、それを選んだ理由が対応しているかを確認しましょう。経験の中で何を重視した判断だったのかを、自分が実際に関わった内容に沿って説明できるように整理してください。

視点

工夫の名称だけでなく、なぜその工夫を選んだのかを自身の経験から言葉にしてみましょう。理由を説明する際は、そのとき重視したことと工夫の関係が読み手に伝わるかを見直します。

確認ポイント

  • 取り上げる工夫について、選んだ理由を自分の経験から説明できるか
  • その理由は、設問で求められた観点とつながっているか
  • 工夫と理由の対応が、読み手に分かる説明になっているか
正解と解説を見る

解説

本問は、自身が開発に携わったシステムについて、業務の特徴を踏まえたサービス継続方針と、その実現に必要な業務ソフトウェアの設計を論述する問題です。方針、継続する処理、設計、事前の備えと復旧時の工夫を一貫して説明することが要点となる。

問題の全体像

本問は、システム障害時にも必要なサービスを継続できる業務ソフトウェアの設計を扱う。問題文は、本部の障害時に店舗単独でPOS売上処理を継続する例と、ネットワークの処理能力低下時に決済取引以外を停止する例を示している。これらは考え方を示す事例であり、論述対象の業務を限定するものではありません。「あなたの経験と考えに基づいて」という指示に従い、自身が開発に携わったシステムを題材にする。添付資料の問2には具体的な公式解答例ではなく出題趣旨が示されており、業務の特徴を踏まえた業務ソフトウェアの設計能力を評価するとされている。採点講評では、問題文の引用や事例と一般論の組合せだけでは具体性が不足すると指摘されている。

設問ア

「対象業務とシステムの概要、サービス継続の方針」に着目する。800字以内で、自身が開発に携わったシステムの対象業務、処理の流れやシステムの役割、障害時にどのようなサービスを継続する方針としたかを述べる。業務への影響と継続方針を結び付けると、設問イの設計理由が伝わる。出題趣旨でも、対象業務と対象システムの概要及び障害時のサービス継続の方針を述べることが求められている。採点講評では、問われた対象業務の説明をプロジェクトやシステムの概要だけで置き換える論述が指摘されているため、システム構成の説明に偏らず、何の業務を支える仕組みなのかを明確にする。

設問イ

「設問アで述べた方針に基づいて」と「継続することにした処理」「業務ソフトウェアをどのように設計したか」が中心となる。800字以上1、600字以内で、想定した障害、その際に継続する処理、継続を可能にした機能や処理の流れを具体的に説明する。問題文の店舗単独稼働と売上データの一時保持は、購入を継続できるという方針を実現する設計の例です。また、決済以外の処理の一時停止は、限られた処理能力を決済に割り当てる例です。自身の題材でも、採用した設計が継続方針をどのように実現するかを示します。採点講評では、機器やデータベースの二重化など、業務ソフトウェア面以外の対策を中心に論述した答案が指摘されている。業務ソフトウェアの具体的な設計を主軸に据えることが重要です。

設問ウ

「設問イで述べた業務ソフトウェアの設計で」と「継続運用に備えた処理や障害復旧処理」に着目する。600字以上1、200字以内で、設問イの設計を支える事前の備えや、障害から復旧する際の工夫を、目的と具体的な処理を結び付けて述べる。問題文では、店舗単独稼働に備える通常時のマスタ更新、欠品防止のための復旧後の発注データの優先処理、停止業務の再開と利用可能な状態の画面表示が例示されている。これらを転記するのではなく、自身の設計に即して説明する。採点講評では、この設問に対して継続運用を可能にするための設計そのものを記述した論述が指摘されている。設問イの説明を繰り返さず、事前準備や復旧時に必要となる処理、その工夫が業務上必要な理由を示すことがポイントとなる。

学習のポイント

自身の経験を基に、業務上の継続方針を具体的なソフトウェア設計へ結び付け、継続運用の設計と事前準備・復旧処理の工夫を書き分ける練習をする。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

関連する過去問一覧

IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針