PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
変更時の目標と対応を見直す視点
計画を変更するときは、当初の目標をそのまま追うのではなく、変更後に何を優先するかを整理し、スケジュールへの影響と不確実性への備えを同じ枠組みで確認します。
この問題で問われていること
一つの変更が目標、日程、リスク対応にどのような連鎖を生むかに注目し、関係者間で前提と優先順位がそろっているかを確認する観点で考えます。
視点
計画変更の検討では、達成したい成果、利用できる時間や資源、発生し得る不確実性を分けて整理し、それらの関係を確認します。変更前後の前提が混ざっていないか、判断の基準が一貫しているかを見ると、複数の要素を落ち着いて比較できます。
確認ポイント
- 変更によって優先順位が変わっていないか確認する。
- 日程への影響を他の条件と切り分けて確認する。
- 想定外の事態に備える観点が抜けていないか見る。
正解と解説を見る
解説
法改正による規制強化と規制緩和を契機に、QCD遵守だけでなく顧客価値の創出を目標へ加え、業務部門を含む体制、予算、スケジュール、リスク対応を一体的に見直す問題です。
問題の全体像
ハードウェア更改と規制強化対応は必達である一方、規制緩和対応は顧客価値の創出につながる追加スコープです。B氏は、定量的効果の提示、業務部門の主体的参加、業務部門を責任部署とする体制、追加予算を整えた上で計画を変更した。出題の狙いは、外部環境の変化に対して、顧客価値、QCD、ステークホルダ、チーム、スケジュール、リスクを統合して管理する力を問うことです。
設問1(1)
本文では、規制緩和への対応について、業務部門の協力が不可欠であり、過去には定量的効果の提示がなかったため要件変更が受け入れられなかったとある。したがって、経営会議で追加予算の妥当性を示すため、規制緩和対応による効果を定量的に算出させることが着目点となる。公式解答例も「規制緩和に対応する場合の定量的な効果算出」としている。
設問1(2)
規制緩和対応は、システム部だけでは顧客価値を実現できず、業務部門の協力が不可欠です。業務部門のメンバーには、単に参加するだけでなく、規制緩和を顧客の利便性向上へ結び付ける役割が求められる。25字以内では、この顧客価値へのつながりを簡潔に示す。公式解答例も「規制緩和を顧客の利便性向上につなげる役割」としている。
設問2(1)
従来のシステム部は、障害防止や期限厳守などQCD遵守を重視していた。一方、業務部門は規制緩和による顧客の利便性向上を重視している。両者をプロジェクト目標に含める狙いは、法改正対応を単なる機能追加で終わらせず、顧客価値の創出を目標とするシステム開発として実現することにある。公式解答例もこの趣旨を示している。
設問2(2)
C部長は、業務部門が重視する目標を達成するには、業務部門が責任部署となり、その下でシステム部がQCDを守る責任分担が必要だと考えていた。そこでD常務から説明してもらうのは、業務部門が責任部署であることをC部長に理解させ、計画変更の前提となる責任体制を明確にするためです。
設問3(1)
スコープTの影響を受けない部分を先行開発すると、後からスコープTの内容や前提が変わった場合に、既に実施した作業をやり直す可能性がある。したがって、問われているのは先行実施そのものの遅延ではなく、先行開発によって発生する手戻りのリスクです。公式解答例も「先行実施した開発作業の手戻り」としている。
設問3(2)
追加メンバーの投入は作業量を増やせる反面、取引管理システムや本プロジェクトに関する知識が不足している可能性がある。その結果、誤りや理解不足によって成果物の品質が低下するリスクが生じる。公式解答例は、この点を「追加メンバーの知識不足に起因する品質不足」と整理している。
設問3(3)
担当者ごとに作業期間へ余裕を持たせると、各タスクにバッファが分散し、実際の進捗を把握しにくくなる。クリティカルパス上のタスクを管理しやすくするため、各タスクには個別バッファを持たせず、全体で一つのプロジェクトバッファとして集約する工夫を答える。公式解答例もこの設定方法を示している。
設問3(4)
追加要員の投入やバッファ設定を行ってもスコープTが予定どおり進まない場合、ハードウェア更改と規制強化への対応を優先し、顧客価値につながる規制緩和対応のリリース時期を延期する計画とする。これは、必達の対応を守りつつ、任意時期に導入できる規制緩和対応を後ろ倒しにするコンティンジェンシー計画です。
学習のポイント
計画変更では、各施策の直接目的と、プロジェクト全体の責任・顧客価値・リスクの関係を整理する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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