PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
関係者との認識をそろえる視点
SaaS導入では、関係者ごとの立場や関心、必要な情報の粒度と伝達時期を整理し、合意形成に向けた対話の進め方を考えることが重要です。計画を作る際は、伝える側の都合だけでなく、受け手が判断や協力をしやすい状態になるかも見ます。
この問題で問われていること
この問題では、関係者の期待や影響度を踏まえて、誰に何をどのタイミングで共有し、どのように反応を確認するかという一点に注目してください。個別の手段を暗記するより、相手に応じた情報設計と認識合わせのつながりを確認しましょう。
視点
関係者管理とコミュニケーション計画は、役割、関心、影響、情報の受け取り方を整理し、継続的に認識をそろえるための観点として捉えます。関係者の違いを踏まえた情報設計と、対話を通じた確認の流れに目を向けます。
確認ポイント
- 関係者ごとに、関心事や関与の度合いを区別して考える
- 共有する情報の内容とタイミングが、相手の役割に合っているか確認する
- 一方向の通知で終わらず、理解や懸念を把握する機会があるか確認する
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解説
本問は、SaaSの標準機能を生かすCRM刷新で、関係者の影響度・関与度を踏まえたステークホルダ対応と、過去の失敗を防ぐコミュニケーション計画を問う。
問題の全体像
I社は、コンプライアンス強化と法改正への迅速な対応を目的に、V社のSaaSを標準機能のまま導入するCRM刷新プロジェクトを開始した。標準機能をカスタマイズしないため、営業活動の柔軟性を懸念するK役員や営業担当者、協力姿勢が中立のW社X主任などへの対応が必要になる。また、過去のSaaS導入では、営業活動への適合検討不足、教育マニュアル作成の遅延、問合せ対応不足が問題になった。そこで、影響度・関与度に応じた説明、ワークショップ、事前検討会、情報共有会を計画し、プロジェクトを円滑に進めようとしている。
設問1(1)
表1では、K役員はプロジェクトオーナーであり、影響度が「高」とされている。したがって、K役員の関与度を支持に変えられるかどうかが、プロジェクトの進行に大きく影響する。公式解答例の「K役員の影響度が“高”だから」は、この影響度に着目した理由です。20字以内では、役割ではなく表1の影響度を端的に示す。
設問1(2)
K役員はコンプライアンス強化と標準機能利用の必要性を理解している一方、営業活動の柔軟さや俊敏さが損なわれることを懸念している。J課長は、単に方針を説明するのではなく、カスタマイズしたい内容を将来の標準機能改善要求として実現する道筋を示した。公式解答例では、K役員が標準機能によって営業活動の柔軟さ・俊敏さが損なわれると懸念している点を理由としている。ステークホルダの懸念を把握し、支持を得る対応であることを書く。
設問1(3)
X主任はW社の現CRM・基幹システムの開発保守責任者であり、新CRM導入によってW社の既存の開発・保守範囲が縮小する立場にある。そこで、予定機能の開発・保守をW社へ委託する意向を伝え、現行範囲の縮小だけでなく、新たな受託機会が生じることを理解してもらおうとした。公式解答例の「新CRM導入がW社の新たな開発・保守範囲の受託につながること」が根拠となる。
設問2(1)
過去には、全国の営業所からの問合せが営業管理部に集中し、対応しきれずシステム利用に支障が出た。本プロジェクトに参加した営業担当者を各営業所のQA対応者にすることで、問合せを分散し、現場に近い担当者が迅速に回答できる体制を期待している。公式解答例の「全国の営業所からの問合せに滞りなく対応できる効果」を、30字以内で押さえる。
設問2(2)
過去の失敗は、営業活動への適合性を事前検討しないまま、SaaSベンダーに標準機能を説明させたことから発生した。そこで、V社の責任者と導入担当者に事前検討会へ参加してもらい、営業活動への適合性を検討した結果を踏まえて、ワークショップで標準機能を説明・確認してもらう。公式解答例も、この事前検討を踏まえた説明を目的としている。
設問2(3)
標準機能の範囲内でパラメータ設定を工夫すれば、カスタマイズを避けながら営業活動の柔軟性を確保できる可能性がある。これにより、営業担当者が標準機能を使えないと不満を持ち、要件定義が紛糾して進捗が大幅に遅れる事態を避けようとしている。公式解答例の「ワークショップで要件定義が遅延するリスク」が答えの中心です。
設問2(4)
過去には、営業管理部の担当者が営業系システムを理解するのに時間を要し、教育マニュアルの完成と営業所向けトレーニングの開始が遅れた。M氏にワークショップと事前検討会を学習機会として活用させるのは、新CRMを早期に理解させ、後続の教育マニュアル作成やトレーニングを遅らせないためです。公式解答例では、トレーニング開始の遅延防止が示されている。
設問2(5)
現CRMから新CRMへのデータ移行は本プロジェクトの重要作業であり、現行システムを担当するW社の協力が必要です。V社は新CRMの導入を担当し、W社は現CRMや基幹システムを担当するため、両社が必要な情報を共有し、移行作業の認識を合わせる必要がある。公式解答例では、情報共有会の目的を「新CRMへのデータ移行を滞りなく進めるため」としている。
学習のポイント
ステークホルダの立場から、施策の目的と防止したいリスクを本文の因果関係で説明する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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