PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和6年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
部門横断の役割分担を読む視点
複数部門が関わる管理体制では、個別作業の説明よりも、全体を調整する責任の置き方と、部門間で判断をつなぐ共通の流れに注目し、役割の境界と連携の目的を整理します。表面的な名称だけで判断しないことが大切です。
この問題で問われていること
一つの組織だけで完結する管理と、複数部門をまたいで整合を取る管理を区別し、誰が何を調整し、判断をどの経路で共有する設計か、全体の責任関係に絞って確認します。細かな用語より関係性を見ます。
視点
選択肢を読むときは、組織図の名称や個別の手順に引きずられず、部門ごとの責任と全体調整の関係を捉えます。共通化の範囲、判断の境界、情報連携の単位を同じ観点で比べると、管理体制の意図を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 部門ごとの責任と、全体を調整する役割がどのように分かれているか。
- 共通プロセスが、複数部門の判断や情報共有をどうつなぐ位置づけか。
- 個別最適ではなく、プロジェクト全体の整合性を確認できる設計か。
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解説
複数部門の新システムを同時稼働させるため、課ごとのPMMの長所を残しつつ、課を横断する管理を共通PMMとして統一する問題です。
問題の全体像
E社では、老朽化した共通基盤をPaaSに置き換え、全部門の新部門システムを同時稼働させる計画です。しかし、制度改正作業が途中で発生し、開発メンバーの多くが制度改正作業も兼任します。また、課ごとに異なるPMMや構成管理方法を用いていたため、課をまたぐ情報共有、共同作業、課題対応の合意に時間がかかっていました。そこでF氏は、複数課に影響する管理には共通PMMを適用し、課固有の管理には各課のPMMを残す組織と計画を検討しました。出題の狙いは、異なるPMMをもつ複数課を横断するプロジェクトで、スケジュール制約、兼任、ステークホルダ、課題管理を踏まえたPMOの役割と共通化の範囲を考えることです。
設問1(1)
着目するのは、課ごとのPMMの違いによって、システム部内で他の課との情報共有や共同作業が難しくなっていたという記述です。全部門のシステムを同時稼働させるには、課ごとに個別管理するだけでは全体を連携できません。したがって、公式解答例では、組織上の問題を「システム部内で他の課と情報を共有して共同作業を行うことの難しさ」としています。35字以内なので、原因を細かく列挙せず、情報共有と共同作業の困難さを一まとまりで書きます。
設問1(2)
特定の課のPMMを全面適用すると、そのPMMに慣れていない他課のメンバーが作業することになります。本文には、課ごとにPMMが異なり、メンバーの育成や柔軟な異動が難しいとあります。そのため、特定課の方法を全体に押し付けると、課によっては不慣れな方法で作業し、生産性が下がってスケジュール遅延につながります。公式解答例も「不慣れなPMMを適用して生産性が低下する課があるから」としています。
設問2(1)
(b)では、各課長がメンバーの稼働状況に問題があれば、本プロジェクトか制度改正作業かを切り分けて報告し、調整して対応します。本文では、各課長が両作業への稼働割合を設定し、その割合を基に開発スケジュールを作成するとされています。したがって管理対象は、各メンバーが二つの作業にどの程度従事しているかという稼働割合と、それに伴う作業進捗です。公式解答例は「本プロジェクトと制度改正作業の稼働割合と作業進捗」としています。
設問2(2)
F氏は管理部門を長く担当しており、その部門のステークホルダとは信頼関係があります。一方、本文の特性整理では、管理部門以外の部門のステークホルダとの関係性は薄いとされています。(c)で各課長に担当部門のステークホルダとの信頼関係を維持させるのは、この不足を補うためです。公式解答例では「管理部門以外のステークホルダとの信頼関係」としています。
設問2(3)
本プロジェクトと制度改正作業は同じメンバーを取り合う関係にあり、一方の遅れが他方にも影響します。課内で対応できない進捗遅れは、システム部長、F氏、各課長が参加する場で全体調整する必要があります。したがって、毎週の部会を設けた理由は、本プロジェクトと制度改正作業の間で調整するためです。公式解答例もこの点を示しています。
設問3(1)
制度改正作業では、課ごとのPMMの違いにより対応方針の合意に時間を要しました。新システム開発でも課を横断する課題が発生すれば、同じように対応が遅れるおそれがあります。そこでPMO全員を進捗会議に参加させ、課題を早く共有して、対応方針を早期に合意できるようにします。公式解答例では、狙いを「課を横断する課題の早期検知と、対応方針の早期合意」としています。
設問3(2)
本文では、各課が品質と信頼性を維持するため、それぞれ異なるプロセスやツールで開発成果物の構成管理を行い、システム部全体の開発効率を悪化させているとあります。したがって、課ごとに分散した管理方法を改め、新システムに関する全ての開発成果物を共通の仕組みで一元管理する方向を答えます。公式解答例は「新システムに関する全ての開発成果物を一元管理する」としています。
学習のポイント
組織設計、稼働調整、ステークホルダ管理、課題の早期検知と成果物管理を結び付けて考える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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