PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和6年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提に着目して考える
この分野の問題では、ある判断がどのような前提のもとで述べられているかに着目しましょう。知っている用語から結論を急がず、与えられた条件と自分が補っている想定を分けて捉えることが、考えを整理する手掛かりになります。
この問題で問われていること
検討の焦点は、判断を支える前提がどこまで示されているかです。普段なら当然と思う条件も、今回与えられている条件と同じとは限りません。明示された内容に立ち返り、読み取りに自分の想定が混ざっていないか確認しましょう。
視点
前提とは、判断を考える際に土台として置く条件です。内容を理解したつもりでも、経験や記憶から条件を補ってしまうことがあります。根拠として示された条件と、頭の中で追加した条件を区別すると、検討の出発点を確かめやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提として明示されている条件は何か
- 自分の経験から補っている条件はないか
- 考えの土台を与えられた条件に戻せているか
正解と解説を見る
解説
新たな利用者層に対価に見合うUXを提供するため、固定観念にとらわれないニーズを収集し、UXを理解する利用者と各段階で検証する計画を読み取る問題です。結合テストでは環境とデータ、総合テストでは利用者獲得と品質確保に着目します。
問題の全体像
P社では、有償の付加サービスを対価に見合わないと感じ、無償サービスに戻る利用者が増えています。そこで、複雑な操作をせずに希望するレストランがお勧めされ、すぐに予約できるUXを提供する簡単サービスを開発します。公式資料の出題趣旨では、予測型開発アプローチで利用者参加型の要件定義、設計、テストを計画するPMの実践的な能力を問うとしています。読み取りの軸は、新たな利用者層のニーズを多面的かつ複数回にわたって把握し、実装内容のUXへの適合性と、UXが対価に見合う価値かどうかを各段階で検証することです。
設問1(1)
〔UX実現の検討方針〕にある「これまでの付加サービスの固定観念にとらわれない新たな期待やニーズを多面的に把握」に着目します。付加サービスの利用経験がない無償ユーザーを選ぶ狙いは、従来のサービスを前提とした意見に偏らず、簡単サービスへの新たなニーズを得ることです。公式解答例では「付加サービスの固定観念にとらわれない多面的なニーズを得る狙い」としています。35字以内では、固定観念にとらわれないことと、多面的なニーズを得ることを押さえます。
設問1(2)
〔状況の分析と対策〕では、付加サービスのUXが適合しない利用者として「Webサービスを使い慣れていない利用者」と「希望に合ったレストランを簡単に探したい利用者」を挙げています。前者は条件(i)に示されているので、空欄aには後者が入ります。公式解答例は「希望に合ったレストランを簡単に探したい利用者」です。30字以内では、希望に合うレストランを探すことと、簡単に探したいことの両方を含めます。
設問1(3)
付加サービスの利用をやめた無償ユーザーの「検索から予約までの合計の時間が掛かるので使いにくかった」という意見に着目します。簡単サービスのUXも、レストランがお勧めされ、すぐに予約できることを目指しています。そのため、収集するのは検索だけや画面表示だけの時間ではなく、予約までを含む一連の利用時間に関するニーズです。公式解答例は「検索から予約までの合計の時間」であり、この範囲を20字以内で示します。
設問2
〔UX実現の検討方針〕の「簡単サービスのUXに理解を示している利用者が設計、テストの各段階で繰り返し検証する」に着目します。設計段階で要件定義のヒアリング対象者を再度選ぶ狙いは、簡単サービスが目指すUXを理解している利用者に、モックアップの操作性、視認性、表示項目などを検証してもらうことです。公式解答例では「UXに理解を示している利用者に設計内容を検証してもらう狙い」としています。採点講評では、ニーズを提示した本人が実装を検証するという説明にとどまる解答が多かったと指摘しています。35字以内では、UXへの理解と設計内容の検証を結び付けます。
設問3(1)
設計段階は画面のモックアップによる検証ですが、結合テスト段階では本番稼働環境に近い環境で、本番データに近い疑似的な予約データを使います。この違いから、実際の利用に近い条件で操作性・視認性がUXに適合するかを確かめる必要があると読み取ります。公式解答例では「本番稼働環境に近い環境での検証が必要だから」「疑似的な予約データでの検証が必要だから」を挙げています。25字以内では、いずれかの具体的な検証条件を理由として示します。採点講評でも、繰り返し検証するという一般的な説明だけでなく、結合テストで検証できる環境やデータに言及することを求めています。
設問3(2)
〔状況の分析と対策〕では、付加サービスの利用をやめた人は、そのUXが対価に見合わないと感じていたと分析しています。再度有償サービスを利用してもらうには、新たなUXを対価に見合う価値にする必要があります。したがって、この利用者に検証してもらう内容は、簡単サービスのUXに料金を支払うだけの価値があるかどうかです。公式解答例は「UXが対価に見合う価値であるかどうか」です。25字以内では、操作性などの適合性だけでなく、対価と価値の関係を示します。
設問4(1)
〔状況の分析と対策〕では、付加サービスのUXに関心がない無償ユーザーでも、対価に見合うUXが提供されれば有償サービスを新規に利用する可能性が高いとしています。また、〔UX実現の検討方針〕では、より多くの廉価ユーザーを獲得して事業を拡大することを掲げています。簡単サービスのUXに関心がある無償ユーザーにも価値を検証してもらう事業上の狙いは、この新たな利用者の獲得です。公式解答例は「より多くの廉価ユーザーを獲得する狙い」です。25字以内では、テスト上の効果ではなく、廉価ユーザーの獲得という事業上の目的を示します。
設問4(2)
〔UX実現の検討方針〕では、廉価ユーザーは新たな利用者層であり、期待やニーズを一挙には把握できないため、複数回にわたって把握するとしています。さらに、〔総合テストに関するプロジェクト計画〕では、追加ニーズを精査して改修し、UXの品質が一定のレベル以上になったことを確認して本番稼働させます。公式解答例では、ニーズなどを複数回にわたって把握する必要と、本番稼働に必要なUXの品質を確保する必要の二つを挙げています。35字以内の答案では、例えば「廉価ユーザーのニーズなどを複数回にわたって把握する必要があるから」のように、公式解答例の要点を一つの理由として簡潔に示します。
学習のポイント
利用者を選ぶ目的と各段階の検証目的を本文から結び付け、問われた内容を字数内で具体的に表す力を身に付けます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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