PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和5年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
検討を始めるときは、判断の根拠として使う前提がどこまで明示されているかに注目しましょう。自分の経験や印象から補った前提を分けておくと、与えられた条件に沿って考えやすくなります。
この問題で問われていること
考える際の焦点は、置いている前提が与えられた条件から確認できるかどうかです。もっともらしい解釈を急いで採用せず、その解釈に必要な前提が明示されているのか、自分で補っているのかを確かめましょう。
視点
明示された条件と、自分が補った解釈を区別して整理します。判断に迷ったときも、まず前提の出所を確かめ、条件として与えられた範囲を見直してみましょう。
確認ポイント
- 判断に使っている前提を意識できているか
- その前提の根拠を与えられた条件から確認できるか
- 経験や印象で補った前提が混ざっていないか
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解説
本問は、予兆検知システムの開発を通じて、技術者の不満や抵抗を理解して協力を得る方法、知見を要件に取り込む役割分担、フェーズの特性に応じた進め方、交換・修理のノウハウ継承を考える問題です。
問題の全体像
J社では、プラントの障害を防ぐ点検業務がベテラン技術者の経験に依存している。退職者の増加によってベテランの負荷が高まり、中堅技術者も育成機会や業務を任される機会の不足に不満を抱えている。予兆検知のシステム化は業務移管を促す一方、プラントの特性を理解せずに利用すると事故につながるという抵抗がある。公式の出題趣旨では、関係者のニーズを把握し、協力関係を築きながら、適切なプロジェクトフェーズと開発アプローチを設定するマネジメント能力を問うとしている。解答では、システム開発だけでなく、技術者の協力と安全な業務遂行に必要な知識の継承まで捉える。
設問1
着目するのは、ベテラン技術者が事故への懸念からシステム化に抵抗していることと、L部長が長年点検業務を担当し、彼らから厚い信頼を得ていることです。構想・企画にはベテランの知見が必要なので、信頼されるL部長の参加によって抵抗感を抑え、協力を得る狙いがある。公式解答例では「ベテラン技術者の抵抗感を抑えプロジェクトに協力させるため」としている。35字以内では、対象であるベテラン技術者、抵抗感の抑制、プロジェクトへの協力という要素を押さえる。
設問2(1)
問題冒頭にある二つの不満を対応させる。ベテラン技術者は点検業務の負荷増大に、中堅技術者は点検業務を任せてもらえないことに不満を抱えている。システムの活用とノウハウ継承によって中堅への業務移管が進めば、双方の不満解消につながるため、その目的を全員に伝える必要がある。公式解答例では「技術者全員の不満解消になることを伝えるため」としている。採点講評では、「ステークホルダーだから」という説明では目的が捉えられておらず、立ち上げ時に全員がプロジェクトの目的を共有する重要性を指摘している。25字以内では、全員の不満解消につながることを伝える、という狙いを具体的に示す。
設問2(2)
〔予兆検知システムの開発〕にある、Y社のアルゴリズムを利用したコンサルティングサービスと、蓄積された時系列データから予兆検知に必要なデータを特定できるという説明に着目する。J社のデータとY社のアルゴリズムを利用する支援なので、双方の知的財産権の保護について認識を合わせている。問われているのは契約条項の内容ではなく、その確認後に依頼した支援です。公式解答例では「予兆検知に必要なデータを特定するコンサルティング」としている。30字以内では、予兆検知に必要なデータの特定と、コンサルティングという支援内容を押さえる。
設問2(3)(ベテラン技術者)
ベテラン技術者が持つ知識は、障害の予兆を見つける知見と、プラントの特性を踏まえた交換・修理のノウハウの二つです。要件定義では、予兆検知に使うデータの組合せを特定するとともに、交換・修理の手順を可視化するため、双方の知識を提示する役割が期待される。公式解答例では「機器類の予兆検知と交換・修理のノウハウを提示する。」としている。30字以内では、予兆検知だけに限定せず、交換・修理のノウハウも含めて提示することを示します。
設問2(3)(中堅技術者)
〔プロジェクトの目的〕にある、中堅技術者が早い段階からシステムの仕様を理解し、システムを活用して予兆を検知できれば点検業務を担当できる、という記述に着目する。中堅技術者を要件定義に参加させるのは、将来の利用者として仕様を理解し、自分たちが活用できるかを確認してもらうためです。公式解答例では「早い段階からシステムの仕様を理解し活用できるかを確認する。」としている。30字以内では、早期の仕様理解と活用可能性の確認を押さえ、単にベテランから教わる役割という説明で終わらせない。
設問3(1)(要件定義フェーズ)
〔構想・企画の策定〕にある、多様な意見を出し合い、その中から予兆検知に使うデータの組合せを特定するという記述が根拠となる。開始時点では必要なデータの組合せが確定しておらず、仮説と検証を繰り返しながら探るため、探索的な特性を持つ。この特性に対応して、2週間のサイクルを繰り返す適応型アプローチが選ばれている。公式解答例では「探索的な進め方になること」としている。20字以内では、手法名だけでなく、探索的に進めるというフェーズの特性を答える。
設問3(1)(開発フェーズ)
要件定義の結果を受けて開発スコープが定まり、そのスコープを基に計画し、確実に計画どおり実行するという記述に着目する。開発フェーズは、要件定義で特定した内容を基に計画を策定し、プロジェクト全体を1年間で完了するよう実行する特性を持つため、予測型アプローチが採用されている。公式解答例では「計画を策定し計画どおりに実行すること」としている。20字以内では、計画の策定と計画に従った実行を押さえる。
設問3(2)
〔プロジェクトの目的〕にある、システムの理解だけでなく、プラントの特性を把握した交換・修理のノウハウを継承する仕組みも必要という記述に着目する。模擬的な作業を通じて手順の間違いがプラントへ及ぼす影響を理解させる機能は、中堅技術者の訓練とノウハウ継承に結び付く。公式解答例では「中堅技術者がベテラン技術者の交換・修理のノウハウを継承するため」としている。採点講評では、この機能の実装だけで障害を防げるとする解答を指摘し、利用者の訓練の重要性を示している。35字以内では、中堅技術者がベテランの交換・修理のノウハウを継承するという目的を明確にする。
学習のポイント
施策そのものと施策の狙いを区別し、関係者の課題から目的を導くこと、探索的な要件定義と計画に従う開発の違いを押さえることを重点とする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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