PMプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ
令和5年度秋期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ 問1
問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。
問題
選択肢
- ア開発の後期に提示された顧客からの機能追加の要求は受け入れず,拒否すべきであった。
- イ追加機能を含む機能の優先順位を顧客と合意し,イテレーション5の期間を延長せずに,優先順位の高い機能から開発すべきであった。
- ウ使い勝手に関する認識の食い違いが発生しないように,対面ではなくメールによって記録を残す形で議論すべきであった。
- エデモは顧客からの変更要望が出やすくなるので,進捗状況を完成度合いの数値で表して報告すべきであった。
解き方のヒントを見る
教訓と原則の趣旨を照らす視点
振り返りで得た教訓を評価するときは、表面の言葉の一致ではなく、その教訓が示す行動の方向性と原則が大切にしている趣旨が同じ向きかどうかに注目すると、判断の軸がぶれにくくなります。
この問題で問われていること
問われているのは原則の名称を覚えているかではなく、具体的な振り返りの状況から導かれた教訓が、原則の背景にある考え方と整合しているか、あるいは逆の方向へ進んでいないかを見極める力だと考えられます。
視点
アジャイルの原則は、細かな手順を定めた規則ではなく、チームが判断に迷ったときに立ち返る考え方として示されています。そのため、振り返りの教訓を評価するときは、教訓を『どのような場面で、何を優先し、何を相対的に軽く扱うことにしたのか』という形に言い換えてから原則と比べると、整合性を確認しやすくなります。原則と同じ語句が含まれていても、優先の向きが逆だったり、一方を極端に切り捨てる解釈になっていたりすると、趣旨とはずれることがあります。言葉の一致よりも、行動の向きがそろっているかを軸に考えることが大切です。
確認ポイント
- その教訓が今後どのような行動を促すのかを、『何を優先し、何を後回しにするか』の形で自分の言葉にまとめたか
- まとめた優先の向きが、原則の背景にある考え方と同じ向きか、逆向きになっていないかを確かめたか
- 共通する語句に引きずられたり、一方を完全に否定するような極端な読み方をしたりしていないかを見直したか
正解と解説を見る
正解
イ
解説
アジャイル宣言の背後にある原則では、変化する要求への対応、顧客との協働、動くソフトウェアの継続的な提供を重視する。機能追加を受け入れる場合は、イテレーションの期間を延長するのではなく、顧客と優先順位を合意して価値の高い機能から実装するのが適切です。
理由
顧客から価値のある機能追加が提示された場合、アジャイル開発では要求の変化を一律に拒否せず、顧客との対話を通じて計画を調整する。ただし、イテレーションの期間を延長すると、短い周期で動くソフトウェアを確認するリズムが崩れるため、期間は維持し、実装する機能を優先順位で調整する。
比較
この事例では、追加機能を含めた全機能を同じイテレーション内で完成させようとして期間を延長した。その結果、追加機能の使い勝手を確認した時点で開発期間が終了しており、改善の余地を残した。顧客と価値や優先順位を合意し、高いものから実装すれば、限られた期間でも重要な価値を早く届けられる。
選択肢ア
これは不正解だよ。アジャイル開発では、開発の後期であっても顧客にとって価値のある変更要求を検討し、必要に応じて受け入れる。提示時期だけを理由に機能追加を拒否するのは、変化する要求を活用して顧客の価値を高める考え方に反する。
選択肢イ(正解)
これは正解だよ。追加機能を受け入れる場合でも、イテレーションの期間を延長せず、顧客と機能の優先順位を合意して実装対象を調整する。重要度の高い機能を先に完成させ、短い周期で動くソフトウェアを確認するというアジャイルの原則に合致する。
選択肢ウ
これは不正解だよ。アジャイル開発では、顧客との対面での対話や協働を重視する。使い勝手の認識を合わせるには、実際に動くソフトウェアを示して意見を交換することが有効であり、対面ではなくメールで記録を残すことが原則上の適切な対応とはいえない。
選択肢エ
これは不正解だよ。アジャイル開発では、完成度合いを数値で報告することよりも、動くソフトウェアを顧客に示して実際の価値や使い勝手を確認することを重視する。デモは変更要望を避けるためではなく、顧客との協働やフィードバックに活用するものである。
学習のポイント
変更要求とイテレーション期間、機能の優先順位を同時に調整する考え方を学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)
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