PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成31年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
スコープとリスクの整合性
IoT開発では、対象範囲を明確に捉えたうえで、不確実性が計画や成果にどう影響し得るかを整理する視点が重要です。個別の選択肢は、範囲との関係に注目して検討しましょう。
この問題で問われていること
確認する観点を、設定されたスコープとリスク管理のつながりに絞ります。各記述が、対象・前提・影響の扱いを一貫した枠組みで示しているかを読み取り、表面的な用語だけで判断しないようにします。
視点
対象範囲と不確実性を別々に見るのではなく、両者の関係が計画上どのように整理されているかという観点で読み比べます。
確認ポイント
- 対象範囲の境界と、管理対象として扱う事柄との関係を確認する。
- リスクの影響が、計画や成果物のどの部分に及ぶ想定かを確認する。
- 前提や責任の置き方が、スコープの整理と矛盾していないかを確認する。
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解説
G社は、遠隔地の工事進捗をIoTで可視化・共有し、短期間で確実に工事を進めるシステムを構築する。設問は、WBSの完全性、納期遅延リスク、各要素のリスク対応、IoT特有の広範な調整を問う。
問題の全体像
G社は、X国の遠隔地工事で進捗を可視化し、現場・本社・顧客間で共有するIoT工事管理システムを、X国新工事の開始前である来年3月末までの10か月で完成させる必要がある。納期遅延時には多額の損害賠償金が発生するため、H課長はWBSで要素を漏れなく定義し、PMOによる全体監視や、パッケージ採用・外部調達・法規制確認・連携テストなどでリスクに対応した。出題の狙いは、WBSとリスクマネジメントの実践に加え、IoT開発で必要な広範なステークホルダの統率・調整を理解しているか確認することにある。
設問1
下線①は、WBSに挙げた六つの要素の作業を完了すれば、プロジェクト全体が確実に完了したといえるかを確認した場面です。WBSではプロジェクトのスコープを漏れなく含めることが重要なので、答えは「プロジェクトの要素に抜けがないことを確認するため」となる。納期遅延や品質など、本文に書かれていない別の目的を中心にするのではなく、六つの要素を全て拾い出したこととの関係を書く。
設問2(1)
下線②の影響は、単にシステム開発が遅れることではありません。本文では、G社工事管理システムをX国新工事に適用し、来年4月から稼働させることが前提であり、X国工事は納期遅延時に多額の損害賠償金を支払う契約慣例がある。したがって、公式解答例のとおり「X国新工事の完了が納期に間に合わず損害賠償金を請求されること」と、システム遅延が工事遅延・賠償につながる因果関係を示します。
設問2(2)
下線③では、図1の要素がプロジェクトマネジメント、スケジュール管理、デバイス情報管理、タブレット・Web会議、基盤調達、要素間連携と多岐にわたる点に着目する。PMOの人材には、特定技術だけの専門家ではなく、各要素の内容を理解し、要素全体の進捗を把握できる能力が必要です。公式解答例の「各要素の内容を理解して進捗状況を把握できる人材を選ぶ」という要点を、30字以内でまとめる。
設問3(1)
工事スケジュール管理システムは、開発遅延を避けるため既製パッケージを採用する。しかし、G社システムの目的は、ドローン画像や建設機械の稼働状況を収集・分析し、工事進捗レポートを作成することです。したがって、スケジュール管理機能以外に必要な機能は、公式解答例のとおり「画像データや稼働状況データを分析してレポートする機能」です。単なるデータ収集ではなく、分析とレポート作成まで含める。
設問3(2)
G社は来年4月からの確実な稼働を最重要とし、新技術への対応をデバイスベンダからアプリケーションプログラム込みで調達する。内製化しない理由は、ドローンなどの要素技術を自社で持つことが、G社の競争力強化の源泉ではないためです。公式解答例の「ドローンの要素技術はG社の競争力強化の源泉ではないから」を、競争力の方向性と結び付けて書く。
設問3(3)
下線⑥は、日本の法規制ではなく、実際に新技術を使うX国での別のリスクを問うている。ドローンを工事現場で飛行させるため、X国の法令や関係機関の許可・制約を事前確認する必要がある。公式解答例では「X国でドローンの飛行に法的な制約があるかどうか」とされており、技術習得期間ではなく、現地の飛行規制という観点を明確にする。
設問4
公式解答例が示す「多岐にわたる分野のステークホルダの統率や調整が必要になること」が中心です。表1には、PMO、ソフトウェアパッケージベンダ、デバイスベンダ、タブレット端末ベンダ、IaaSベンダ、G社システム部など、異なる分野の関係者が示されている。従来のシステム開発よりも、機器・通信・クラウド・ソフトウェアなどをまたぐ関係者間の調整が難しくなる点を書く。
学習のポイント
本文の事実を、WBS、リスク対応、ステークホルダ管理の観点で整理する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成31年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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