PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ

平成30年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

システム開発プロジェクトにおける非機能要件に関する関係部門との連携について プロジェクトマネージャ(PM)は,業務そのものに関わる機能要件に加えて,可用性,性能などに関わる非機能要件についても確実に要件が満たされるようにマネジメントしなければならない。特に非機能要件については,利用部門や運用部門など(以下,関係部門という)と連携を図り,その際,例えば,次のような点に注意を払う必要がある。 ・非機能要件が関係部門にとってどのような意義をもつかについて関係部門と認識を合わせる ・非機能要件に対して関係部門が関わることの重要性について関係部門と認識を合わせる このような点に注意が十分に払われないと,関係部門との連携が不十分となり,システム受入れテストの段階で不満が続出するなどして,場合によっては納期などに大きく影響する問題になることがある。関係部門と連携を図るに当たって,PMはまずプロジェクト計画の段階で,要件定義を始めとする各工程について,非機能要件に関するWBSを設定し,WBSの各タスクの内容と関係部門を定め,関係部門の役割を明確にする。次に,関係部門と十分な連携を図るための取組みについて検討する。それらの内容をプロジェクト計画に反映した上で,関係部門を巻き込みながら一体となってプロジェクトを推進する。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴,代表的な非機能要件の概要,並びにその非機能要件に関して関係部門と連携を図る際に注意を払う必要があった点及びその理由について,800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた代表的な非機能要件に関し,関係部門と十分な連携を図るために検討して実施した取組みについて,主なタスクの内容と関係部門,及び関係部門の役割とともに,800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた取組みに関する実施結果の評価,及び今後の改善点について,600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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非機能要件を整理する視点

非機能要件を扱うときは、関係者ごとの関心や責任範囲を切り分け、認識のずれを防ぐための確認順序と共有の仕方に注目しましょう。具体的な手段そのものより、検討を進める枠組み全体を見ることが大切です。

この問題で問われていること

選択肢を比べる際は、個別の技術内容ではなく、関係部門が共通理解を形成し、合意した内容を継続的に確認できる進め方かという一点に絞り、関係者の協力が保たれるかを考えます。

視点

非機能要件の整理では、要求の背景、関係者間の役割、確認や合意のタイミングを分けて捉えると、連携方法の妥当性を考えやすくなります。

確認ポイント

  • 誰が関与し、どの範囲を確認する想定か
  • 認識のずれを発見・調整する機会があるか
  • 合意した内容を後から追跡できるか
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解説

この問題は、非機能要件を満たすために、利用部門や運用部門などの関係部門を計画段階から巻き込み、役割を明確にして連携するPMの実践力を問う。

問題の全体像

テーマは、システム開発における非機能要件と関係部門との連携です。PMは機能要件だけでなく、可用性や性能などが確実に満たされるよう管理する必要がある。特に、利用部門や運用部門が非機能要件を自部門に関係する重要事項として理解し、要件定義からテスト、移行、運用準備まで適切に関与できるようにすることが中心となる。公式の出題趣旨では、WBSの各タスクの内容と関係部門を定め、関係部門の役割を明確にし、十分な連携のための取組みを具体的に論述することが求められている。したがって、設問アで対象プロジェクトと非機能要件を絞り、設問イで連携の仕組みと実施内容を示し、設問ウで成果を評価して改善につなげる構成が重要です。

設問ア

まず、自分が携わったプロジェクトの特徴を、規模、利用者、開発方式、既存システムとの関係、稼働時期などから簡潔に示す。その上で、代表的な非機能要件を一つまたは少数に絞り、例えば可用性、性能、障害復旧、セキュリティ、運用性などを、目標値や利用場面が分かる粒度で説明する。続いて、関係部門と連携する際に注意した点を、非機能要件の意義を共有すること、関係部門の関与の重要性を理解してもらうこと、部門間で要求や優先順位を調整することなどから選ぶ。理由は、非機能要件が利用部門だけでなく運用部門の業務や受入れ判断にも影響し、認識がずれると後工程で不満や手戻りが発生し、納期にも影響するためです。800字以内なので、プロジェクトの背景、要件、注意点、理由を一貫させ、後の設問イ・ウで詳述する材料を残す。

設問イ

設問アで示した非機能要件について、計画段階から実施した連携の取組みを、主なタスク、担当する関係部門、各部門の役割が対応する形で具体的に書く。例えば、非機能要件の確認・合意、性能や可用性の測定条件の定義、運用手順の検討、障害時の対応設計、受入れ基準の作成、テスト計画と結果確認などをWBSのタスクとして整理する。各タスクについて、利用部門は業務上必要な水準や受入れ観点を示し、運用部門は監視、バックアップ、障害対応、運用手順などの実現性を確認し、開発側は設計・実装・測定を行う、といった役割分担を明確にする。さらに、定例会議、レビュー、合意記録、課題管理、測定結果の共有、エスカレーションなど、連携を実際に機能させる方法を書く。公式の出題趣旨が重視するのは、単なる部門紹介ではなく、WBS上のタスクと関係部門を結び付け、関係部門を巻き込みながら一体で推進した具体性です。800字以上1、600字以内のため、取組みの目的、手順、部門の役割、調整内容、成果につながる仕組みまで展開する。

設問ウ

設問イの取組みについて、実施結果を事実に基づいて評価し、今後の改善点を示します。評価では、非機能要件の達成状況、受入れテストでの指摘件数、性能測定結果、障害や手戻りの有無、関係部門の合意形成、運用準備の完成度など、取組みの目的に対応する指標を使う。単に成功したと述べず、何が改善され、どの課題が残ったかを分けて書く。例えば、早期に運用部門を参加させたことで運用手順の漏れを減らせた一方、繁忙期の利用部門からの確認が遅れた、測定環境と本番環境に差が残った、といった評価です。改善点は、次回の計画段階での関係部門の参画時期、合意基準の明文化、測定環境の精度、レビュー頻度、課題の可視化、責任者や期限の明確化など、実行可能な内容にする。採点講評では、関係部門との連携を具体的に論じた答案が多かった一方、連携時の注意点が不明確な答案や、非機能要件の内容を詰めるだけでPMの管理視点に欠ける答案も見られたとされるため、結果評価と改善もPMの視点で記述する。

学習のポイント

非機能要件を抽象語で終わらせず、タスク・部門・役割・成果・改善まで具体的につなげる。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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