PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成30年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
評価の前提をそろえて考える
品質に関する情報を検討するときは、評価の前提がそろっているかに着目しましょう。示された内容をすぐに結論へ結び付けず、何を対象に、どの範囲で扱っている情報なのかを整理することが出発点です。
この問題で問われていること
この問題では、評価に用いる情報の前提を確かめるという観点で考えてみましょう。対象や範囲について明示されている条件を拾い、自分で補った想定が混ざっていないかを確認すると、検討の土台を整えられます。
視点
同じ話題に関する情報でも、前提が一致しているとは限りません。扱う対象と範囲を言葉で整理し、明示された条件と自分の想定を区別しておきましょう。
確認ポイント
- 評価の対象を、示された条件に沿って捉えているか
- 扱う範囲を、根拠なく広げたり狭めたりしていないか
- 明示されていない前提を、自分で付け加えていないか
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解説
工程ごとの摘出欠陥密度だけでは、前工程から持ち越した欠陥によって品質評価を誤る可能性があります。欠陥の混入工程に着目した摘出率を用い、設計限界品質への到達度、後工程の時間制約、品質コストを評価し、過去の実績を次回開発の目標設定に活用する問題です。
問題の全体像
K社のL課長は、従来の品質管理基準では良好と評価された前回開発を基に、設計・製造工程で品質を確保する新しい指標を検討しています。最終的な品質の水準を決める「設計限界品質」と、欠陥を除去することでそこへ近づく活動を区別することが出発点です。今回の検討では、まず設計限界品質への到達度を測り、その後に設計自体の改善を目指します。公式の出題趣旨では、品質管理計画を実践し、実績を分析・評価して得た知見を後続のプロジェクトへ活用するPMの能力を問うとされています。採点講評では、欠陥をどの工程で混入させたかという観点の分析が重要だと指摘されています。
設問1(1)
下線①の直前にある、設計限界品質の定義と、製造・テスト工程での設計修正はほとんどが欠陥の修正にとどまるという記述に着目します。設計限界品質は、設計成果物に内包される欠陥を全て除去したときの品質です。L課長の認識では、テストで欠陥を摘出・修正することによって、実際のプロダクト品質がこの水準に近づきます。公式解答例では「設計限界品質に近づける活動」とされています。20字以内では、品質をどの水準に近づけるのかを明示することが要点です。
設問1(2)
下線②の直前にある、工程ごとの摘出欠陥密度には複数の工程で混入した欠陥が混ざっているという説明が根拠です。前工程で欠陥を十分に摘出できていないと、その欠陥が自工程へ持ち越されます。自工程の摘出件数に持越し分が含まれるため、摘出欠陥密度が基準値内でも、前工程の欠陥摘出が不十分だった状況を見逃す可能性があります。公式解答例では「自工程よりも前の工程群での欠陥摘出が不十分だった状況」とされています。35字以内の答案では、前工程群と欠陥摘出の不足を押さえます。
設問2(1)
設問では、予算、人員、テスト環境に一定の余裕がある場合でもリスクが高まる理由を求めています。その条件を踏まえ、テスト工程が進むほど納期に近づき、欠陥の摘出・修正や手戻りを回復する時間が少なくなることに着目します。採点講評でも、テスト工程における時間の制約を意識して解答してほしかったと述べられています。公式解答例では、納期に近く時間の余裕が少ないこと、又は時間の制約で手戻りをリカバリする余裕が少ないことが示されています。35字以内では「テスト工程は納期に近く、時間の余裕が少ないから」とまとめられます。
設問2(2)
表1の二つの指標の分母に着目します。自工程混入欠陥摘出率の分母は自工程で混入させた欠陥数、既工程混入欠陥摘出率の分母は基本設計から自工程までに混入させた欠陥数です。ある工程で混入した欠陥は、その工程が終わった後のテスト工程でも発見されるため、工程完了時点では総数が確定しません。この問題のモデルでは、テスト工程を含む全工程の完了後に確定します。公式解答例では「混入工程ごとの総欠陥数」又は「指標における分母」とされています。15字以内では「混入工程ごとの総欠陥数」と答えると、対象を具体的に示せます。
設問3(1)(イ)
(イ)は製造工程の自工程混入欠陥摘出率です。表1の定義に従い、製造工程で混入した欠陥のうち製造工程で摘出した143件を、製造工程で混入した総欠陥数285件で割ります。計算は143÷285×100=50.175…%で、百分率の小数第2位を四捨五入すると50.2%です。公式解答例も50.2と示しています。設問の指定形式に合わせ、答案は「50.2%」とします。製造工程で摘出した総数160件には、基本設計・詳細設計で混入した欠陥も含まれるため、この指標の分子には使いません。
設問3(1)(ロ)
(ロ)は製造工程完了時点の既工程混入欠陥摘出率です。対象は、基本設計・詳細設計・製造の工程群で混入した欠陥です。分子には、これらの欠陥を製造工程完了までに摘出した件数を使い、61+119+160=340件となります。分母は同じ工程群で混入した総欠陥数で、109+192+285=586件です。340÷586×100=58.020…%を指定どおりに四捨五入すると58.0%となり、公式解答例と一致します。答案は「58.0%」とします。テスト工程で摘出された欠陥は分母に含まれますが、製造工程完了までの摘出数を表す分子には含めません。採点講評では、この設問で計算や四捨五入のミスが多かったと指摘されています。
設問3(2)
下線⑤の前にある、テスト工程で摘出された欠陥への「対処のコスト」と、前工程で摘出するために掛ける「予防のコスト」を比較する記述に着目します。早期に摘出するための予防コスト以上の費用を対処に要していなければ、品質コストの観点では大きな問題がないと判断できます。公式解答例では「対処のコストが、予防のコスト以下であったケース」とされています。30字以内では、この二つのコストと「以下」という大小関係を示します。スケジュールへの影響は本文で別に評価されているため、本設問ではコストの比較を中心に答えます。
設問3(3)
表3では、α群は全工程を通じて進捗が順調である一方、β群はテスト工程で多くの欠陥が摘出され、納期遅れや計画外のコスト投入が発生しています。この違いを、設計・製造工程での欠陥摘出状況を測る新しい指標によって捉えられるかが確認点です。公式解答例では、α群の新しい品質管理指標の数値がβ群より高いこと、又は両群の指標の結果に有意な差があることが示されています。35字以内では「α群の新しい品質管理指標の数値がβ群より高いこと」と具体化できます。単に「指標が有効であること」と書くより、比較対象と確認した差を明示することが要点です。
学習のポイント
混入工程と摘出工程を区別して指標を計算する力と、時間制約やコスト比較を本文の条件から説明する力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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