PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成30年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


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判断に用いる前提をそろえる
営業支援システムの導入を検討するときは、判断に使っている前提がそろっているかに注目しましょう。個々の判断を急ぐ前に、与えられた情報のうち、何を前提として考えているのかを自分の言葉で整理してください。
この問題で問われていること
考える際は、明示されている条件と、自分が補っている想定を区別することに意識を向けてください。検討を進める途中で前提が変わっていないかを振り返ると、判断の根拠を落ち着いて確かめられます。
視点
同じ検討の中でも、気づかないうちに別の想定を置いてしまうことがあります。考えが分かれた箇所では、それぞれがどの前提に立っているかを確かめましょう。
確認ポイント
- 判断に使う前提を言葉にできているか
- その前提は与えられた情報に基づいているか
- 検討の途中で前提を置き換えていないか
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解説
本問は、SaaSの特徴を踏まえ、業務の高度化、短期間での稼働開始、保守費用の最小化を実現する判断を問う問題です。課金の仕組み、権限管理、データの継続利用、要件の認識共有を、E社の方針と結び付けて説明します。
問題の全体像
E社は、自社で運用・保守するカスタマイズ済みの営業支援システムから、SaaSを利用する新システムへの移行を計画しています。目的は、機密性が高いデータも使った業務の高度化、運用・保守の負荷と費用の軽減、キャパシティ拡張の柔軟性確保であり、短期間での稼働開始も必須です。公式の出題趣旨では、SaaSの特徴を考慮したシステム化方針、サービス選定、要件定義、データ移行方法の検討能力を問うとしています。各設問では、SaaSの特徴とE社の具体的な目的・制約を対応付けることが重要です。
設問1(1)
SaaSの特徴にある「カスタマイズ費用に加えて、拡張機能に対する保守費用も必要となる」という記述に着目します。用意された機能だけを使えば、拡張機能の保守費用を避けられ、プロジェクトの費用最小化という目的につながります。空欄の直前には短期間での稼働開始が既に示されているため、空欄には同時に実現する費用面の狙いを入れます。公式解答例では「システムの保守費用の最小化」としており、この内容を20字以内で示します。
設問1(2)
利用者数やデータ容量などに基づく課金と、月次などで契約を見直せるという二つの特徴に着目します。初回契約では一定の余裕を見込んでいますが、実際の利用量は変化するため、その推移から契約した利用量を見直す必要があるかを確認します。公式解答例では「契約した利用量を見直す必要性」のほか、「契約条件に沿った利用になっていること」「次契約の利用者数及びデータ容量」を挙げています。20字以内の答案では、例えば「契約した利用量を見直す必要性」と、一つの確認内容に絞って表します。
設問2(1)
現行システムには15年間のデータがある一方、業務に使っているのは直近5年間である点と、SaaSではデータ容量などに基づいて課金される点を結び付けます。表1でも、顧客・案件・営業活動・広告宣伝活動の移行対象を直近5年間などに限定しています。不要なデータまで移行すると、業務上の必要性がないまま費用負担が増えるためです。公式解答例では、データ容量を抑えて費用負担を少なくする理由を示しています。30字以内では「データ容量を抑えて、費用負担を少なくしたいから」とまとめられます。
設問2(2)
現行システムの利用者データには役職コードが含まれていない一方、新システムでは部署コードと役職コードを用いて閲覧権限を付与する方針である点に着目します。現行システムから移行するだけでは、役職に応じた権限設定に必要な情報が不足します。そのため、マスタである人事システムから必要なデータを取得します。公式解答例では、役職コードを取得していないこと、又は役職に応じた閲覧権限を適切に付与したいことを理由に挙げています。35字以内では「現行営業支援システムでは役職コードを取得していないから」と示せます。
設問2(3)
表2の「サービス利用終了時対応」にあるデータ返却と、データがサービス提供者のデータセンタに保管されるという特徴に着目します。利用を終了した後も必要なデータを使い続けるには、E社がそのデータを受け取れることが必要です。返却されなければ、新システムに保管したデータを失うリスクがあります。公式解答例は「新営業支援システムの保管データを失うリスク」で、25字以内に収まります。採点講評でも、利用終了後にデータを継続して使用できる対応の必要性を指摘しています。設問は返却後の消去に関するリスクを除外しているため、情報漏えいではなくデータの喪失に焦点を当てます。
設問3(1)
システム化方針には、利用者との意識合わせによって「要件定義以降の工程での手戻りのリスク」を軽減し、計画どおりに稼働開始させると明記されています。操作画面のサンプルで入力や動作を確認すれば、見直した業務プロセスや画面についての認識のずれを要件定義の段階で発見できます。これにより、後続工程で要件を修正する手戻りを減らせます。公式解答例では、手戻りのリスク又は計画どおりの期間で稼働できないリスクを挙げています。25字以内では「要件定義以降の工程での手戻りのリスク」と具体的に示します。
設問3(2)
システム化方針にある「営業部の担当者の業務負荷が許容範囲に収まるように」という記述に着目します。既存機能に合わせて業務プロセスを変えると、日常的に入力する担当者の業務にも影響します。そのため、要件の採否では、業務の高度化への寄与に加えて、担当者が無理なく業務を遂行できるかを確認する必要があります。画面サンプルを使った入力操作は、この負荷を具体的に確認する材料になります。公式解答例では「営業部の担当者の業務負荷が許容範囲に収まること」としており、30字以内で対象者と負荷の許容範囲を示します。
設問3(3)
SaaSではサービスレベルも課金の要素であり、システム化方針には「適切なサービスレベルで合意することで、過度な費用負担にならないようにする」とあります。業務処理量や障害時に最低限継続すべき業務を基準にすれば、必要な水準を見極め、必要以上に高いサービスレベルを求めることを避けられます。公式解答例では「過度な費用負担にならないようにしたいから」としており、25字以内でこの費用面の目的を示します。採点講評では、サービスレベル合意の一般論にとどまる解答を指摘しており、本問の課金の特徴と費用負担を抑える方針まで結び付けることが要点です。
学習のポイント
SaaSの一般的な利点を述べるだけでなく、本文の課金条件や業務上の制約から、各判断の目的と回避するリスクを導く練習が重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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