AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和4年度秋期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
個人情報対応を監査視点で整理する
個人情報を扱う仕組みを考えるときは、収集から利用、保存、委託、廃棄までの流れを一続きで捉え、各段階で説明可能な管理と記録が保たれているかを確認する視点が重要です。
この問題で問われていること
確認の中心は、個人情報の取扱いに関する社内ルールと実際のシステム運用の間に、監査で追跡できない差異や責任の不明確さが残っていないかを具体的かつ慎重に見極めることです。
視点
個別の制度名や実装方式を暗記するより、情報の流れ、関与する担当者、権限、記録、例外時の対応を順に整理し、想定した管理が継続的に確認できる状態かという観点で検討します。
確認ポイント
- 情報がどの工程で扱われ、誰が関与するかを時系列に整理する
- ルールと実際の設定・運用・記録に食い違いがないか確認する
- 例外や事故が起きた場合に、対応の責任と追跡可能性を確認する
正解と解説を見る
解説
改正個人情報保護法へのシステム対応について、保存期限管理、個人関連情報の識別可能性、ログ監視、開示データのアクセス制御と消去を監査する問題です。
問題の全体像
A社は会員情報、仮名加工情報、個人関連情報などをオンラインショッピングシステムで活用しています。改正法施行後のシステム対応を監査した結果、短期保存データの消去漏れ、位置情報の蓄積による個人識別の可能性、ログ監視機能の設定不備、開示データへの不適切なアクセスと未消去が判明しました。出題の狙いは、個人情報の活用に伴うリスクを把握し、リスクに対応する監査証拠、確認事項、システム機能、消去タイミングを選ぶことです。
設問1(i)
消去済みデータのリストだけでは、消去対象であったのに消去されていないデータを把握できません。問題文には、全保有個人データを取得日や保存期限付きで管理しているとあります。したがって、全短期保存データのリストから保存期限を過ぎたデータを抽出したリストを併せて入手すれば、消去済みリストとの突合によって消去漏れを確認できます。公式解答例も、この抽出リストを監査証拠としています。
設問1(ii)
改正法により、取得後6か月以内に消去する短期保存データも保有個人データとして扱われ、保存期限に応じた消去が必要になりました。表1の空欄は、バックヤードシステムに追加する消去機能の対象を問うため、「保存期限を迎えた短期保存データ」となります。
設問2(監査証拠)
個々の位置情報だけでは特定の個人を識別できなくても、蓄積された一連の位置情報に共通する内容があれば、個人の行動特性を示す可能性があります。そのため、確認対象の監査証拠は「蓄積された一連の位置情報」です。単発の位置情報ではなく、時系列に蓄積されたデータである点に着目します。
設問2(確認事項)
蓄積された位置情報について、同じ位置情報が複数存在するかを確認します。同一地点などの共通内容が繰り返し現れると、特定の個人の行動パターンを示し、氏名と直接結び付けなくても個人を識別できる可能性が高まります。公式解答例では確認事項を「同じ位置情報が複数存在すること」としています。
設問3
問題文では、アクセスログと操作ログ自体は取得・保存されていますが、イベント監視、異常検知時のアラート、分析、レポートの一部設定が不適切で、漏えいの兆候や発生をすぐ発見できません。改善に必要な機能として、異常を継続的に確認する「監視機能」と、異常を検知した際に通知する「アラート機能」を答えます。公式解答例もこの二つを示しています。
設問4(i)
ダウンロードページのアドレスを書き換えることで上位ディレクトリへ移動できるため、会員専用の開示データだけでなく、上位及びその下位ディレクトリに保存された他の情報まで閲覧されるおそれがあります。したがって、答案では情報の窃取と漏えいという結果まで含めて、ディレクトリ走査を許すことのリスクを示します。公式解答例は、上位及びその下位ディレクトリの情報が窃取され、漏えいするリスクとしています。
設問4(ii)
開示データは会員が取得するための一時的なデータであり、問題文では正常なダウンロードの記録が保存されます。その記録によって開示済みであることを確認できるため、最も適切な消去タイミングは、会員による開示データのダウンロードが正常に終了した記録が保存された時点です。単にページを表示した時点ではなく、取得完了の記録が残る時点であることが重要です。
学習のポイント
問題文の事実から監査証拠、確認事項、リスク、必要な機能を対応付けて答案化する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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