AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成31年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
RPA監査で見る統制のつながり
この問題では、RPAの導入や拡大によって業務処理、関連システム、認証情報、変更管理にどのような影響が及ぶかを、監査上のリスクと確認手続の対応関係から整理する観点。
この問題で問われていること
一つの論点に絞り、RPAを単独の自動化機能としてではなく、既存業務や関連システムとの依存関係を含む統制対象として捉え、変化が起きた箇所と確認された管理の結び付きを追う。
視点
RPA監査では、導入効果だけでなく、処理の共通化、短時間での大量処理、認証情報の利用、関連システムの変更などが、既存の業務運用や管理手続とどう結び付くかを読み取る。監査人の懸念、確認した資料、提案の対象を同じ流れで整理すると、問われている視点を切り分けやすい。
確認ポイント
- 自動化によって、従来の手作業や業務分担にどのような依存関係が生じるか
- RPA側と関連システム側で、管理責任や確認範囲がどのように分かれているか
- 環境や業務の変更時に、事前確認・記録・見直しのつながりが保たれているか
正解と解説を見る
解説
RPAは業務効率を高める一方、共通化による業務支障、関連システムの負荷増大、認証情報管理、変更管理不足などのリスクを生む。本問は、事例の事実から監査上の懸念と確認された統制を具体化する力を問う。
問題の全体像
P社は、営業管理部で効果が確認できたRPAを他部署にも広げようとしている。RPAは人手作業を高速化できる一方、利用範囲が広がるほど、ロボット処理の誤りや停止が業務全体に及ぶ可能性が高まる。そこで監査部は、開発環境・実行環境・管理画面、開発方針、関連システムの負荷、IDとパスワードの管理、変更管理、費用対効果を調査した。公式解答例は、RPA導入のメリットとリスクを踏まえ、効果的な監査を行う能力を問う問題だと説明している。
設問1
着目するのは、本調査の結果(1)と、予備調査2(2)の開発方針②です。類似作業を同じロボット処理に共通化すると、見た目が似ていても処理条件や業務上の目的が異なる場合に、その差異が失われる。差異分析や共通化後の影響評価を行わずに共通化すれば、誤処理などによって業務に支障が生じる。したがって、40字以内では「差異を考慮しない共通化」と「業務への支障」を一続きで押さえる。公式解答例も、類似作業の差異を考慮しない共通化による業務支障を示している。
設問2
着目するのは、ロボットの操作速度が人間の5倍から10倍であることと、関連システムにレスポンス遅延の苦情があるという事実です。処理が高速化すると、短時間に関連システムへ集中してアクセスするため、システム負荷が増大し、応答が遅くなるリスクがある。45字以内では、処理速度の向上、負荷増大、レスポンス低下の因果関係を簡潔に書く。公式解答例もこの流れを示している。
設問3
着目するのは、本調査の結果(3)が、関連システム側のID管理ではなく、RPAシステムにおけるIDとパスワードの管理方法を確認した場面だという点です。説明資料から、ロボットが使用する認証情報をアクセス制限された環境で保管していることを確認した、と整理する。ID一覧表への記載だけではRPA側での保管状況を確認できないため、RPAシステム内部の保管方法が答案の中心となる。
設問4
着目するのは、関連システムが数か月ごとに改修される一方、ロボットはその画面や処理を利用しているという関係です。関連システムの改修がRPA処理に影響するため、手順書に、改修時はRPAシステムの管理部署へ連絡し、影響調査を行う規定があるかを確認する。公式解答例は、この連絡と影響調査の規定があることを示している。一般的な変更管理ではなく、RPAへの影響を確認する手続を書くことが重要です。
設問5
着目するのは、実行環境の管理画面からロボットの稼働回数や稼働時間をダウンロードして分析できるという記述です。RPA利用拡大の費用対効果を検討するには、これらの稼働データを分析し、導入・運用費用に見合う効果が得られているかを検証する取組が考えられる。40字以内では、稼働回数・稼働時間などのデータ分析と費用対効果の検証を押さえる。公式解答例もこの内容を示している。
学習のポイント
RPAの利点だけでなく、周辺システムへの影響と管理統制を事例に即して説明する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成31年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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