AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成28年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
監査で見る継続運用の視点
設問ごとの個別事象をそのまま答えに結び付けず、インシデント対応の仕組みが時間の経過や担当者、周辺組織との関係によってどのような監査上の論点を持つかを整理し、影響の考え方を切り分ける。
この問題で問われていること
一時点で整備されていた仕組みが、その後も適切に機能し続けるかという継続運用の観点に絞り、変化の把握、担当能力、記録の扱い、連携関係の維持が対応品質にどう関わるかを確認する。
視点
監査では、規程や仕組みが存在することだけでなく、環境の変化を反映しながら実際の対応に使える状態が保たれているかを捉える。検知、判断、記録、連絡などの各場面で、役割・情報・手順の更新や確認がどのように管理されているかを考える。
確認ポイント
- 仕組みや手順が、導入時の前提から変わっていないか
- 担当者が判断に必要な情報と能力を備えているか
- 組織間の情報共有や連絡経路が現在も機能するか
正解と解説を見る
解説
B社CSIRTの運用について、検知基準の陳腐化、担当者の技能不足、システム変更の把握不足、外部組織との連携停滞によるリスクを、監査人の問題認識・監査手続・対策・影響の観点から問う問題です。
問題の全体像
B社グループは、買収した子会社を含む組織全体のインシデント対応を目的にB社CSIRTを設置している。CSIRTはイベントの受付、トリアージ、インシデント対応、社内外への通知などを担う。一方、検知システムの設定が設置時から更新されていないこと、情シ兼任社員の技能とマニュアルの記載が十分でないこと、ネットワーク機器の変更をCSIRTが把握できていないこと、外部関連組織との連携体制が維持されていないことが判明した。出題趣旨では、CSIRT運用上のリスクを識別し、リスクに応じたコントロールと、その有効性を確かめる監査手続を選択する能力が問われている。
設問1
着目するのは、検知基準とインシデント自動判定基準がCSIRT設置時に一度見直されただけで、その後更新されていない点です。攻撃手法や利用技術が変化しても設定が旧態依然のままだと、検知対象から外れるイベントが生じる。公式解答例では、新技術を利用した攻撃などの可能性があるイベントを検知できない問題を挙げている。35字以内なので、「新しい攻撃を検知できない」という原因と結果を簡潔に押さえる。
設問2
問われているのは結論ではなく、その結論に至る監査手続です。マニュアルには一部の確認事項について詳細な確認方法がなく、情シ兼任社員は専任社員と同等の技能を持たない。したがって、監査人がその確認事項について情シ兼任社員に確認方法を質問する、または実施したトリアージ記録を査閲することで、技能不足による判断の正確性を確かめられる。公式解答例はこの二つの手続を示しており、答案では少なくとも「詳細な方法の記載がない確認事項」と「質問又は記録査閲」の対応を明確にする。
設問3
着目する事実は、ネットワーク機器のバージョンアップでログ形式が変わり、被害範囲の特定や対策検討が遅れたことです。再発防止には、子会社が行うシステム変更をCSIRTへ報告させ、変更によるインシデント対応への影響をCSIRTが把握できる仕組みが必要になる。公式解答例では、システム変更時の内容をB社CSIRTに報告させ、影響を把握する仕組みの構築を示している。40字以内では「変更時の報告」と「影響把握の仕組み」の二要素を入れる。
設問4(1)
グループ内への影響では、外部で発生したインシデントから得られる情報や対応機会を生かせない点に着目する。外部関連組織との連携が遅れたり有効でなかったりすると、外部で発生したインシデントへの対応を適切に行えず、B社グループが同様の被害を受ける可能性がある。公式解答例も、外部インシデントへの対応不備からグループが同様の被害を受けることを示している。
設問4(2)
グループ外への影響では、B社グループ内で起きたインシデントへの外部側の対応が遅れ、被害が外部へ広がる点に着目する。公式解答例では、グループ外での対応が遅れ、グループ内で発生したインシデントと同様の被害が外部に拡大することを示している。50字以内では、「外部対応の遅延」と「被害の外部拡大」を一続きの因果関係として書く。
学習のポイント
CSIRT監査では、事実からリスクを抽出し、適切な監査手続や対策、影響まで結び付けて書く力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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