STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和7年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1 スタートアップ企業におけるITを活用した新たなビジネス領域の開拓
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断に使う前提を確かめる
この分野の検討では、判断に使う前提が何かを意識しましょう。与えられた情報と、自分の経験や印象から補った想定を区別し、考えの土台に根拠のない前提が入り込んでいないかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
検討の焦点は、判断を支える前提と、その根拠とのつながりです。何かを当然だと受け止めたときは、その前提が与えられた情報に基づくのか、自分で付け加えたものなのかを振り返りましょう。
視点
前提とは、考えを進める際に土台として置く事柄です。根拠が示された前提と、経験から補った想定を区別すると、判断が何に支えられているかを整理できます。
確認ポイント
- 判断の土台として置いた前提は何か
- その前提の根拠を与えられた情報に見いだせるか
- 根拠のない想定を事実として扱っていないか
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解説
Y社の動画解析技術とネットワークカメラ市場の課題を結び付け、防犯ニーズに応える新サービスを立案する問題です。迅速な市場参入のための業務提携、動画圧縮による通信負荷の低減、プライバシー保護、不正アクセス対策、課金方式に対応する開発準備が要点です。
問題の全体像
Y社は、動画解析技術を生かして事業領域を拡大し、5年以内のIPOを目指すスタートアップ企業です。ネットワークカメラ市場には、人手による監視の限界、動画配信の通信負荷、プライバシー侵害、動画流出などの課題があります。Y社は自社の技術とU社の動画圧縮技術を組み合わせ、新サービスを提供しようとしています。出題趣旨では、自社の強みと市場のニーズ・課題を分析し、市場ニーズに合った新サービスと実現方法を企画・立案する能力を問うとされています。図1にある動画解析・通知・アクセス権管理・動画確認の各機能と、契約管理システムが、それぞれどの課題に対応するかを整理して読むことが重要です。
設問1(1)
〔Y社の成長戦略と市場調査〕にある、施設の「異常を自動で検知して通知してほしい」という要望と、家庭の「通常と異なる動きを検知した時に通知を受けたい」という要望に着目します。これらは、Y社の動画解析技術を生かして、人手で常時監視する負担を減らし、防犯につなげられるニーズです。公式解答例では「施設や家庭で異常を自動で検知し通知を受けて防犯につなげたいニーズ」としています。40字以内では、対象、異常の自動検知・通知、防犯という目的をまとめます。採点講評では、「Y社の提供するサービスが生かせる」という条件を捉え、最も大きなニーズが防犯であることを理解するよう求めています。
設問2(1)
〔成長戦略の実現方法〕の、競合となり得る動画解析ベンダーが参入する可能性があり、「迅速な市場参入が必要」と判断した記述に着目します。問われているのは、業務提携を選んだ目的です。U社の技術を利用することは実現手段であり、目的として押さえるのは市場参入の速さです。公式解答例では「迅速に市場参入する必要があるから」としています。20字以内では、競合参入の説明を広げず、「迅速な市場参入」を中心にまとめます。
設問2(2)
〔Y社の成長戦略と市場調査〕の施設向け製品にある、人手で動画を確認しているため、人員が制約となって監視カメラの台数を増やせないという記述が根拠です。異常を自動検知して通知すれば、職員が常時すべての動画を確認する負担を減らせるため、この制約に対応できます。公式解答例では「人員が制約となって監視カメラの台数が増やせない」としています。30字以内では、サービスの機能説明を繰り返すのではなく、その導入が必要になった背景として、人員の制約と台数を増やせない状況を示します。
設問2(3)
警備業界向け製品では、ネットワーク負荷が遠隔地へのリアルタイム配信・確認を妨げています。一方、U社は低いネットワーク負荷で動画を送信するための高度な動画圧縮技術をもっています。この技術で通信負荷を減らせることが、提携によってサービスを提供できると考えた理由です。公式解答例では「動画圧縮技術でネットワーク負荷を減らせるから」としています。25字以内では、技術と解決できる課題を結び付けます。採点講評では、「遠隔地から適切な対応指示ができる」といったニーズだけの解答ではなく、阻害要因とU社の強みの関係を捉えるよう求めています。
設問3(1)
〔Y社の特徴〕にある、特定の範囲や無関係の人・物体をマスキングする技術と、施設向け製品の、敷地の外を撮影するとプライバシー侵害のリスクが大きいという記述を対応付けます。撮影範囲に含まれる敷地外や無関係の人をマスキングすることで、個人のプライバシーを保護します。公式解答例では「敷地の外や無関係の人をマスキングする機能」としています。25字以内では、「何を対象に」「どのような処理をするか」を具体的に示します。
設問3(2)
市場調査で明らかになった、工場出荷時のパスワードを使い続けた監視カメラが不正アクセスを受け、動画が流出した事例に着目します。Y社の初期パスワードの強制変更、アクセス可能デバイスの登録、二要素認証は、不正アクセスへの対策として利用できます。公式解答例では「不正アクセスによる動画の流出を防止する効果」としています。25字以内では、機能を列挙するのではなく、それらを監視カメラに適用することで防ぐ被害を答えます。
設問3(3)
家庭向け製品の、置き配の盗難を不安視する声と、下線③の物体識別・行動検知を活用するという条件に着目します。荷物という物体と、その荷物へ近づく人の動きを捉えれば、盗難に備えて通知や警告を行うきっかけになります。公式解答例では「配達された置き配の荷物に人が近づく状況」としています。25字以内では、検知対象の荷物と人の行動を具体的に示します。通知先や警告音は検知後の対応なので、答案の中心は検知すべき状況です。
設問3(4)
〔Y社の特徴〕の、定額課金制の導入には契約管理システムの改修が必要という記述と、〔新サービスの開発〕の、予定どおりの提供開始が重要という記述を結び付けます。新サービスは監視カメラの台数に応じた定額課金制とするため、その方式に対応する改修を提供開始までに完了する必要があります。公式解答例では「新サービスの提供開始までに契約管理システムの改修を完了させること」としています。40字以内では、「いつまでに」と「何を完了するか」の両方を含めます。
学習のポイント
市場ニーズと自社の強みを対応付け、目的・背景・理由・効果を区別して答える練習が重要です。技術が課題を解決する因果関係と、サービス開始までに必要な準備も押さえましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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