STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和6年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3 旅館のIT活用による業務改革
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
目的と手段を分けて考える視点
業務やシステムについて考えるときは、実現したい目的と、そのために用いる手段を分けて整理しましょう。記述された内容が何を目指しているのかに注目し、言葉の印象だけで目的を補わないことが大切です。
この問題で問われていること
確認する観点は、目的と手段が混同されていないかという一点です。示されている情報の範囲で、目指す状態とそれに向けた取組を区別し、両者の関係がどこまで説明されているかを落ち着いて確かめてください。
視点
整理するときは、「何を目指すか」と「そのために何を行うか」を分けて捉えます。目的と手段のつながりを考える際は、示された内容と、自分で補った解釈を区別しましょう。
確認ポイント
- 目的として述べられている内容を捉えたか
- 手段に当たる内容を目的と混同していないか
- 目的と手段のつながりを推測で補っていないか
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解説
B旅館は、人員補充が進まない状況で、利用客に寄り添った接客を強化しながら稼働率向上を目指しています。情報共有による時間確保、ノウハウの形式知化、宿泊目的に応じた販促などを、本文の課題と結び付けて説明することが要点です。
問題の全体像
B旅館は、感染症流行時に削減した従業員の補充が進まない中、観光需要の回復とワーケーション需要を捉え、従来を超える稼働率を目指しています。そのため、現状の従業員で接客の強みを強化しつつ、業務効率化、集客力向上、若手仲居の育成早期化を進めます。公式資料の出題趣旨では、自社の特性や課題の分析、対応策の立案、システム化機能の整理能力を問うとされています。各設問では、本文の課題と施策・機能の関係を具体的に読み取ることが必要です。
設問1
冒頭の、教育が行き届いた仲居による接客がリピータや口コミ経由の利用客獲得につながっている記述に着目します。利用客のニーズや好みを把握した気遣いや演出が、顧客体験価値を高めています。公式解答例では「教育が行き届いた仲居を中心とした利用客に寄り添った接客」とされています。30字以内で、教育された仲居と利用客に寄り添う接客を押さえます。採点講評では、建物などの外形的特長を挙げた解答が指摘され、顧客獲得につながる接客の強みを理解することが求められています。
設問2(1)
〔B旅館における業務改革推進の背景〕の、削減した従業員の補充は思うように進まず、今後の見通しも立っていないという記述が根拠です。稼働率向上には人手が必要ですが、増員を見込めないため、現状の従業員で業務を効率化する必要があります。公式解答例では「従業員の補充が思うように進まず,今後の見通しも立っていない状況」とされています。35字以内で、補充の停滞と見通しの欠如の両方を示します。
設問2(2)
〔B旅館の現状〕の接客業務には、口頭での情報連携に時間が掛かることと、ベテラン仲居が若手を育成する時間を取れないことが挙げられています。接客情報や業務状況を共有して連携時間を削減すれば、この二つに時間を振り向けられます。公式解答例では「接客業務に使える時間が増やせる」「若手仲居を育成する時間を確保できる」が示されています。それぞれ20字以内で、接客時間の増加と育成時間の確保を別々に記述します。
設問2(3)
〔B旅館の現状〕のマーケティングにある、仕事をしながら家族と長期間宿泊したいが、費用は抑えたいという要望に着目します。夏季・冬季限定の低料金プランは、この要望に対応するものです。公式解答例では「費用を抑えつつ仕事をしながら家族と長期間宿泊したいニーズ」とされています。30字以内で、費用抑制、仕事との両立、家族との長期宿泊をまとめます。夏冬の稼働率低下は旅館側の課題であり、ここでは利用客のニーズを答えます。
設問3(1)
社内チャットのうち、今後の業務に役立つ内容をノウハウとしてナレッジベースに連携できる記述に着目します。ベテラン仲居の接客上の工夫を記録して蓄積することで、本人の経験に依存していた暗黙知を、若手が学べる形式知にできます。公式解答例では「ベテラン仲居が保有しているノウハウを形式知化できるから」とされています。35字以内で、ベテラン仲居のノウハウを形式知化できることを理由として示します。
設問3(2)
〔B旅館の現状〕では、同伴者の誕生日や結婚記念日などが宿泊目的として多い一方、その情報を蓄積・管理できていません。顧客管理で予約情報や利用後アンケートを分析すれば、こうした宿泊目的を把握し、アクションプランの販促に活用できます。公式解答例では「適切なタイミングで利用客に向けてプロモーションを行うため」とされています。35字以内で、適切なタイミングでのプロモーションという目的を示します。分析手法や自己学習の機能ではなく、集客にどう使うかを答えます。
設問3(3)
清掃業務では、部屋によって所要時間が異なり、時間が余る清掃係も他の清掃係の状況が分からず支援できないことが課題です。タブレットから作業結果を報告して状況を共有することで、空き時間を他の清掃の支援に使えます。公式解答例では「時間の余る清掃係を支援に回すため」とされています。20字以内で、時間が余る清掃係を支援に回すという目的を示します。
設問3(4)
接客情報には、アレルギーや身体の状況などの要配慮個人情報が含まれ得るという記述が根拠です。旅館管理システムはこの情報を蓄積・共有するため、漏えいや改ざん、毀損、滅失などへの対策が必要になります。公式解答例では「要配慮個人情報を適切に管理するため」とされています。20字以内で、保護対象の特性である要配慮個人情報と、適切な管理という目的を示します。
設問4(1)
〔従業員からの意見〕の、デバイスが目立ちすぎて旅館の雰囲気にそぐわないという指摘を、冒頭の伝統と格式を感じさせる雰囲気という特長に結び付けます。目立たないサイズや色の選定は、その雰囲気を保つためです。公式解答例では「伝統と格式を感じさせる雰囲気を守るため」とされています。25字以内で、守る対象が伝統と格式を感じさせる雰囲気であることを示します。
設問4(2)
仲居の、館内を歩き回っているので手を使わずに社内チャットへ登録したいという意見に着目します。インカムを使って話した内容をチャットに登録できれば、タブレットでの手入力に掛かる手間を減らせます。公式解答例では「音声を社内チャットとして登録する機能」とされています。25字以内で、音声を社内チャットとして登録することを明示します。単に音声で会話できる機能と書くと、チャットへの登録という要件が伝わりません。
学習のポイント
機能の説明と導入目的を区別し、経営目標、業務課題、施策、システム機能のつながりを読み取る練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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