STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和6年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2 地方新聞社におけるITを活用したビジネスモデル変革
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
目的と取組のつながりに着目する
事業の変化を考えるときは、目指すことと実際の取組がどのようにつながるかに着目しましょう。取組の目新しさだけで判断せず、その取組を目的に結び付ける理由が読み取れるかを確かめます。
この問題で問われていること
検討の中心を、目的と取組の関係に絞ってください。示された情報のうち、目指すことを表す内容と、それに向けた行動を表す内容を区別し、両者のつながりを説明する根拠があるかを確認しましょう。
視点
目的と取組は、同じ話題に触れているだけで結び付くとは限りません。どのような理由で関係すると考えたのかを、示された情報に沿って整理することが大切です。
確認ポイント
- 目的と取組の関係を意識しているか
- 両者を結び付ける理由を確認したか
- その理由は示された情報に基づいているか
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解説
本問の要点は、H社が蓄積した地域の記事と人的ネットワークを活用し、一方向の情報提供から双方向コミュニケーションによる社会価値共創へと役割を広げることです。地域活性化、購読者増加、全国への展開、体験型旅行の実現を、それぞれの施策と結び付けて理解する。
問題の全体像
H社は、人口減少や産業衰退が進むK地域の地方新聞社であり、紙面購読者と広告収入の減少に直面している。一方で、地域に関する豊富な記事と、政財界の団体・企業・文化人とのつながりをもつ。アンケートでは、若い世代や企業、旅行会社から双方向の交流の場が求められた。そこでH社は、トナレポデジタルと観光TMを立ち上げ、地域社会のコミュニケーションハブとなる方針を定めた。公式の出題趣旨では、新聞社に求められる役割を分析し、ITを活用したデジタルメディアによって社会全体の活性化に貢献する基本戦略を構想する能力が問われている。
設問1(1)
着目するのは〔アンケート調査〕のまとめです。若い世代は声を表明する場、企業は顧客との交流、旅行会社は地域で活躍する人と見込み客との交流を求めている。本文は、これらに共通する期待を「双方向コミュニケーションによる社会価値共創」と整理している。二つのデジタルメディアは、この期待に応えるための施策なので、公式解答例では「双方向コミュニケーションによる社会価値共創」となる。25字以内では、交流の方法と生み出す価値をこの粒度で押さえる。採点講評では、「地域に密着している点」だけを挙げた答案が指摘されており、新たに担う役割まで捉える必要がある。
設問1(2)
〔ビジネスモデルの変革に向けた方針〕の(3)に着目する。H社は、取組をH社やK地域だけに閉じず、全国に広めることによって日本の社会課題の解決に貢献すると定めている。他地域の地方新聞社にもプラットフォームの利用を促すことは、この全国展開を実現する手段です。したがって、公式解答例では「日本の社会課題の解決に貢献すること」となる。25字以内では、全国展開の先にある目的を示します。本文にはプラットフォーマーとしての収益獲得も記載されているが、この設問の公式解答例が示す要点は、日本全体の社会課題への貢献です。
設問2(1)(①)
地域社会への効果は、〔ビジネスモデルの変革に向けた方針〕の(1)から読み取る。住民の社会課題検討を促し、各団体や企業、文化人との双方向コミュニケーションを通じてK地域を活性化する方針です。トナレポデジタルでは、投稿記事に取材や共同研究の成果を加え、コミュニティルームで投稿者が各団体や他の読者と意見を交わせる。これにより、住民の問題提起を社会課題の検討へとつなげられる。公式解答例では「住民の社会課題検討を促すことによるK地域の活性化」となる。30字以内では、社会課題検討の促進と地域活性化の因果関係を押さえる。
設問2(1)(②)
H社の購読者数への効果は、〔H社の現状〕の紙面販売に関する記述に着目する。トナレポの成果が評判となり、社会課題の研究者や意識の高い若い世代の購読者数が増加傾向にある。また、双方向コミュニケーションができれば、更なる購読者増加が期待できると明記されている。トナレポデジタルを利用できるのはデジタル版の読者なので、交流の充実はデジタル版の購読者増加につながる。公式解答例では「社会課題に関心がある層のデジタル版購読者数の増加」となる。30字以内では、関心をもつ層と、増加する購読者の種類を具体的に示す。
設問2(2)
コンサルティングを提供できる根拠として、既存のトナレポによる成果に着目する。K地域の自治体は、投稿記事のテーマを政策検討に取り入れ、子育て世代の流入を増やす成果を出した。その結果、先進自治体として注目され、同様の社会課題を抱える他地域の自治体や地方新聞社からも問合せが来ている。この実績は、H社の取組とノウハウに他地域から需要があることを裏付ける。公式解答例では「K地域の自治体が先進自治体として注目を集めているから」となる。35字以内では、実績が外部から評価されているという理由に絞る。
設問3(1)(V展示場の観点)
V展示場では、伝統工芸品の購入に加え、歴史ある建造物や伝統工芸品に関する研究内容や史実を照会できる。この情報提供を支える強みを、〔H社の現状〕の紙面販売に関する記述から探す。H社は、これらの研究内容や史実に関する地域性の高い記事を多く報道してきた。公式解答例では、そのような記事をもっている点を強みとしている。45字以内では「歴史ある建造物や伝統工芸品の研究内容や史実に関する記事をもつ点」という粒度で要素をまとめられる。多言語化やメタバースの機能ではなく、展示場で提供する情報の基盤となる記事の蓄積を答える。
設問3(1)(V案内所の観点)
V案内所では、観光スポットだけでなく工芸家や文化人などの地域活躍人材を紹介し、利用者との交流を可能にする。この仕組みを支える強みは、冒頭にあるH社の人的ネットワークです。H社はK地域の政財界の各団体や企業、文化人を多く知り、密接にコミュニケーションを行っているため、紹介や交流につながる人材との接点をもつ。公式解答例では「政財界の各団体や企業,文化人を多く知っている点」となる。45字以内では、誰とのつながりをもっているかを具体的に示す。V展示場の情報資産と、V案内所の人的ネットワークを対応付けることが重要です。
設問3(2)
〔アンケート調査〕で旅行会社が求めているのは、K地域で活躍する人と触れ合える体験型旅行を提案するための、旅行前の交流の場です。観光TMでは、見込み客がアバターを介して地域活躍人材と交流でき、旅行会社の営業が見込み客と一緒に実際の旅行プランを作れる。公式解答例では「地域活躍人材と触れ合える体験型旅行」となる。25字以内では、触れ合う相手と体験型旅行という特徴を押さえる。採点講評では、「事前に触れ合うプラン」など観光TM内の旅行プランに関する答案が指摘されている。旅行前の交流が、実際にK地域を訪れる体験型旅行の提案につながる点を理解する。
学習のポイント
設問が問う役割・目的・効果・理由・強みを区別し、本文の根拠から必要な要素を字数内に絞る練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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