STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の根拠と前提の対応を確認する
製品開発や事業展開を考えるときは、判断の根拠が何かに注目しましょう。与えられた情報と、自分が補っている前提を分けて整理すると、もっともらしい印象だけで結論へ進むことを防ぎやすくなります。
この問題で問われていること
考えを進める際は、使おうとしている情報が、その判断を支える根拠になっているかを確認してください。情報として示されていることと、そこから自分で推測したことを区別し、根拠と前提の対応に注目しましょう。
視点
根拠は、判断を支えるために参照する情報です。前提は、その判断を考える際に置いている条件です。自分で補った前提を、与えられた情報と同じものとして扱っていないかを確かめましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠にした情報は何か
- その根拠は与えられた情報に含まれるか
- 自分で補った前提を根拠と混同していないか
正解と解説を見る
解説
F社の自由度と精度の高さを空飛ぶクルマの操縦訓練に生かし、不足する設計データと制御技術を他社との連携で補う事例です。通常の荷物輸送と災害時・緊急時の運用条件を区別し、将来も残る訓練需要と操縦士不足を結び付けて読み解きます。
問題の全体像
F社は、実験・試験用のモーションシミュレーターを主力製品とするメーカーです。自由度と精度の高さを強みとして、成長が見込まれる空飛ぶクルマの操縦訓練市場への進出を検討しています。新製品には機種別の性能・特性の再現や操縦結果のフィードバックが必要であり、開発メーカーとの協業と、レーシングゲーム用製品のメーカーとの技術提携を計画します。さらに、災害時・緊急時の遠隔操縦訓練へ製品を発展させる構想です。公式の出題趣旨では、市場の将来構想を分析し、新製品の企画と要求仕様の定義、協業する企業との関係構築を含む事業戦略の策定を行う能力が問われています。
設問1(1)
着目するのは、冒頭のF社製品の説明にある「自由度と精度の高さで他社に秀でている」という記述です。市場分析では、旅客輸送の操縦に空間6自由度に対する高い精度が求められるため、この強みを操縦訓練用製品に生かせます。公式解答例では「自由度と精度の高さで他社に秀でている。」としています。25字以内では、自由度と精度の高さに加え、他社より優れている点を押さえます。採点講評では、モーションシミュレーターの一般的な機能にとどまり、F社主力製品の特徴に言及していない解答が指摘されています。
設問1(2)
〔市場分析〕に示された航続時間と飛行速度を比較します。空飛ぶクルマは約1時間・約100km/時、消防防災ヘリ及びドクターヘリは約2.5時間・約230km/時です。空飛ぶクルマは航続時間が短く速度も遅いため、一つの拠点から対応できる範囲が小さくなり、多くの拠点への配備が必要になります。公式解答例では「消防防災ヘリ及びドクターヘリに比べ,航続時間が短く速度が遅いから」としています。40字以内では、比較対象と、航続時間・速度の二つの差をまとめます。
設問2(1)
〔要求仕様の定義〕の「機種ごとの性能・特性を再現できること」と、〔製品技術の分析〕の「設計上のデータが必要」という記述を結び付けます。F社が実機に外力を与えて反応や挙動を計測すると、データの取得に相当の時間が掛かります。そのため、空飛ぶクルマの開発メーカーとの協業によって、再現に必要な設計データを得ることが技術面の目的です。公式解答例では「設計上のデータを得るため」としています。20字以内では、取得するものを設計上のデータと明示します。
設問2(2)
〔製品技術の分析〕の、操縦結果を操縦桿やペダルの反力へ与えるフィードバックの制御技術は、F社では開発が難しいという記述が直接の根拠です。一方、〔モーションシミュレーターの役割〕では、レーシングゲーム用などの製品に操作の体感へのフィードバック機能があると説明されています。したがって、技術提携はF社に不足する制御技術を補うためです。公式解答例では「フィードバックの制御技術の開発はF社では難しいから」としています。35字以内では、難しい技術の名称と、F社での開発の難しさを押さえます。
設問2(3)
〔市場分析〕にある、荷物輸送では「視覚情報だけを基に操縦することも想定されている」という記述に着目します。この方式では、操縦者が機体の移動を体感する必要がないため、動きを高い自由度と精度で再現するF社の保有技術を生かせません。公式解答例では「視覚情報だけを基に操縦する。」「操縦に移動の体感が不要」という要点が示されています。25字以内では、視覚情報だけで操縦する特徴、又は移動の体感が不要という特徴を簡潔に示します。巡航が自動操縦であることだけでは、F社の技術を生かせない理由が明確になりません。
設問3(1)
〔市場分析〕では、操縦者不要の自動操縦は専用の離着陸場を前提としています。一方、災害時・緊急時には、突風や視界不良などの厳しい気象条件や、不特定の場所での離着陸への対応が必要です。また、その際には機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要があるとされています。この運用条件の違いから、自動操縦が実用化した後も遠隔操縦の需要が残ると考えられます。公式解答例では、厳しい気象条件と場所での運用、又は移動や動揺を体感しながら操縦する必要性が示されています。30字以内では「厳しい気象条件と場所での運用を強いられるから」のように、災害時・緊急時の運用上の理由に絞ります。
設問3(2)
〔市場分析〕の、厳しい気象条件や場所に対応できる「操縦技能の高い操縦士が不足している」という記述が根拠です。災害時・緊急時の遠隔操縦を訓練できるシステムによって、そうした条件に対応する操縦技能の習得を支援し、不足の改善につなげます。公式解答例では「災害時・緊急時に対応できる操縦技能の高い操縦士の不足」としています。35字以内では、対応する場面、必要な技能、操縦士の不足をまとめます。採点講評では、空飛ぶクルマの一般的な活用シーンを示した解答が指摘されており、現在の市場における人材不足を答えることが重要です。
学習のポイント
設問が求める対象を特定し、市場要求、自社の強み、技術上の不足、将来の需要を本文の根拠で結び付ける練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針