STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
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検討対象の範囲をそろえる視点
ビジネスプロセスの改革やデジタル活用を考える際は、まず検討対象の範囲に着目しましょう。与えられた情報の中で、どこまでの活動を対象としているかを確かめ、読み取りの途中で範囲を広げたり狭めたりしていないかを点検します。
この問題で問われていること
この分野の問題では、検討対象の範囲を自分の想像で補っていないかを確認する視点が役立ちます。記載された情報から読み取れる範囲と、まだ確かめられない範囲を分けて捉え、同じ範囲で考え続けられているかを振り返りましょう。
視点
検討対象の範囲とは、考察に含める活動の広がりです。記載から読み取れる範囲を言葉にしておくと、自分が置いた前提で対象を変えていないかを振り返りやすくなります。
確認ポイント
- 検討対象の範囲を、与えられた情報に沿って捉えているか。
- 記載のない活動まで、想像で対象に含めていないか。
- 考える途中で、対象の範囲を広げたり狭めたりしていないか。
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解説
流行の変化に対応できず売上げが減少するM社が、会員の意見を反映して毎月新商品を投入する事例です。経営課題、商品開発・生産の強み、会員のニーズを対応付け、UXを高めるデジタル施策と段階的な投資の進め方を読み取ることが要点となる。
問題の全体像
M社は、年4回のシーズンごとに商品を開発しているが、シーズン中にも流行が変化するようになり、後半の売上げが停滞して経営状況が悪化している。そこで、会員の投票や感想を商品開発に反映し、1か月ごとに多品種少量の新商品を投入するプロセスを構築する。モバイルアプリとデータ分析基盤は、会員の意見収集や通販のUX向上を支える仕組みです。公式の出題趣旨では、経営課題を把握し、課題に合ったIT施策と適切な実行計画を検討する能力を問うとしている。各設問では、経営上の目的、自社の強み、会員のニーズ、投資条件を結び付けて読む必要がある。
設問1
〔M社の事業概要と課題〕の末尾にある、売上げの減少によって経営状況が悪化しているという記述に着目する。〔会員アンケートの結果〕でも、新たなビジネスプロセスは「現状の経営課題を解決するため」に構築すると述べている。UXの向上や短期サイクルの商品投入は、その目的を達成するための手段です。公式解答例では「経営状況の悪化を防ぐこと」としている。15字以内の答案では、経営状況の悪化を防ぐという到達点を簡潔に示す。
設問2(商品開発面)
若手デザイナーが流行を的確に捉えた商品を開発し、顧客に評価されて売上げを伸ばしてきたという記述に着目する。新たなプロセスでも、若手デザイナーが新しいデザイン案を常に作成してストックするため、この商品開発能力が「最新を最短で」の実現を支える。公式解答例では「流行を的確に捉えた商品開発ができる若手デザイナー」としている。30字以内では、担い手である若手デザイナーと、その強みである流行を捉えた商品開発能力をまとめる。デザイン支援システムによる効率向上も本文にあるが、公式解答例が示す強みは若手デザイナーの能力です。
設問2(生産面)
自社工場への設備投資によって、短納期での多品種少量生産に対応可能になったという記述が根拠となる。新たなプロセスでは、販売開始2週間前にデザインを選定してから2週間で生産するので、短納期への対応と多品種少量生産の両方が必要です。公式解答例では「短納期で多品種少量生産に対応できる自社工場」としている。30字以内では、生産拠点とその対応能力を一体で示す。採点講評では、商品開発の強みを生産面の答えにした解答が見られたと指摘しており、デザインを考える活動と商品を製造する活動を区別することが重要です。
設問3(1)
新たなビジネスプロセスの④にある、投票や感想の提供を行った会員にポイントを付与するという記述に着目する。M社のポイントは商品代金として使え、利用率も高いので、参加への動機となり、限られた期間で多くの投票や感想を集めることにつながる。公式解答例では「投票や感想の提供を行った会員にポイントを付与する。」としている。30字以内では、対象となる会員の行動と、付与する特典を具体的に書く。
設問3(2)
下線㋐の機能は、会員の好みに合うことに加え、他の会員があまり購入していない商品を紹介する点に特徴がある。これを、アンケートの「他人と異なるファッションに魅力を感じる」という回答に対応付ける。好みの分析は個人の嗜好への適合を、購買状況の利用は他人と異なる商品選びを支える。公式解答例では「他人と異なるファッションに魅力を感じる会員のニーズを満たすため」としている。35字以内では、機能の処理内容を繰り返すのではなく、満たそうとする会員のニーズを示します。
設問4(1)
経営会議が付けた「施策の投資効果を検証しながら段階的に行うこと」という条件が直接の根拠です。Y氏が一定期間の実施と効果検証を求めたのは、その結果を踏まえて次の投資を判断する必要があるためです。大きな投資なので慎重に進めるという背景も、この条件につながっている。公式解答例では「段階的に投資を行う必要があるから」としている。20字以内では、段階的な投資が必要という理由を明確に示す。
設問4(2)
アンケートにある、通販で購入した商品を着用すると想像していたイメージと異なり、返品したという体験に着目する。人物画像とデジタルデータのサンプル品を合成する技術をアプリに応用すれば、購入前に着用した姿のイメージを確認できる。したがって、追加機能が応えるのは、期待したイメージと実際の商品とのずれを避けたいというニーズです。公式解答例では「想像していたイメージどおりの商品を購入したいというニーズ」としている。35字以内では、画像合成という技術名ではなく、会員が購入時に求めることを書く。
設問4(3)
会員が買い物カゴを今後購入したい商品リストとして使い、購入しようとした時点では品切れになっていたという体験に着目する。データ分析基盤には買い物カゴデータと在庫データが蓄積されるため、購入を検討している商品の在庫減少を把握し、品切れになる前に通知することが考えられる。公式解答例では「買い物カゴの商品の在庫が少なくなったというメッセージ」としている。30字以内では、対象が買い物カゴの商品であることと、在庫が少なくなったことを示します。採点講評では、未購入商品がカゴに残っているという通知や、単に「在庫状況を通知する」という解答が見られたと指摘している。会員の不満を解消するには、在庫減少という購入判断に必要な変化まで具体化することが重要です。
学習のポイント
目的と手段、商品開発と生産、機能と顧客ニーズを区別し、本文の具体的な根拠から字数内の答案を組み立てる練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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