STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
検討を始めるときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。示された情報をすぐに結論へ結び付けず、どの条件の下で述べられているかを整理すると、根拠を落ち着いて確かめられます。
この問題で問われていること
考える際は、ある情報について置かれた前提を、別の情報にもそのまま当てはめていないか確認してください。明示された条件と自分で補った条件を区別し、根拠として使う情報の範囲を意識して検討を進めましょう。
視点
情報ごとに、明示されている条件と自分が補った条件を分けて整理しましょう。前提を無意識に足したり移し替えたりしていないかを振り返ることが、判断の根拠を確かめる手掛かりになります。
確認ポイント
- 判断に使う前提を確認したか
- 明示された条件と自分の想定を区別したか
- ある情報の前提を別の情報へ無条件に当てはめていないか
正解と解説を見る
解説
D市の自然観光資源と高品質な農水産物を生かすには、農村部・観光部・都市部の協調が必要です。そのためのIT基盤の要件、利用者情報によるサービスの最適化、移住を後押しする交流、PoCの評価指標を本文から導く問題です。
問題の全体像
D市は農水産物や自然観光資源に恵まれていますが、地域経済の縮小や人口減少が進み、農村部・観光部・都市部の連携も十分ではありません。E社は、地域が一体となって資源を活用するスマートシティ構想を提案し、共通のプラットフォーム上で三つのアプリを実証します。公式の出題趣旨では、地域の状況に即した課題と解決施策の導出、プラットフォームの定義、実証実験の実施に関する能力を問うとしています。地域の課題、ITの役割、アプリの利用成果をつなげて読むことが中心です。
設問1(強み)
冒頭の、農水産物がブランド認定品として広く認知されている記述と、温泉や渓谷などの自然観光資源がある記述に着目します。【スマートシティ構想】でも、農水産業資源や自然観光資源を生かしてD市の魅力を高めるとしています。公式解答例では「自然観光資源や高品質な農水産物があること」です。30字以内の答案では、構想で活用する二つの資源を押さえます。
設問1(弱み)
農村部には市内の他地域との接点がなく、観光部や都市部でも地元の農水産物を使ったメニューを実現できていません。これらに共通するのは、地域間の協調が不足していることです。公式解答例では「農村部・観光部・都市部が協調できていないこと」です。採点講評では、空き家問題や農水産物の利益率低下は特定地域に特化した課題であり、D市全体で補強する弱みとは異なると指摘しています。30字以内で、三地域と協調の不足を示します。
設問2(1)(1)
【スマートシティ構想】の、様々な分野の環境変化に対応するため、ITは変更や拡張が容易である必要があるという記述に着目します。図1のAPIゲートウェイ層も、アプリが基盤の内部仕様を意識せずに構築できる仕組みとして説明されています。公式解答例の一つ目は「変更や拡張を容易にすること」です。25字以内で、このIT基盤の狙いを示します。採点講評では、市の将来像を答えるのではなく、ITを整備する狙いを読み取るよう求めています。
設問2(1)(2)
【スマートシティ構想】の、継続的に各分野が協調する必要があり、分野間のデータ連携が可能な仕組みにするという記述が根拠です。図1では標準データ基盤層にデータ連携機能があり、本文でもアプリ間のデータ連携を提供すると説明されています。公式解答例の二つ目は「分野間のデータ連携を可能にすること」です。25字以内で、連携の対象が分野間であることと、データ連携を可能にする狙いを押さえます。
設問2(2)
【スマートシティ構想】には、住民や観光客にサービスを更に利用してもらうため、利用者ごとのニーズに合うサービスが必要だとあります。そのために属性情報、利用履歴情報、位置情報を同意に基づいて取得・利用します。オプトイン管理は、その同意を管理する機能です。公式解答例では「利用者ごとのニーズにより合致したサービスを提供するため」です。35字以内の答案では、同意管理の機能説明にとどまらず、情報活用によって実現するサービス提供の目的を示します。
設問3(1)
【D市の現状】の観光部の課題に、農水産業には熟練のノウハウが必要だと考えて移住をためらう人がいることと、移住経験者との意見交換で懸念を払拭できる可能性が示されています。レコメンドアプリの滞在目的には農水産業体験などが含まれるため、その利用者を移住経験者につなぐ交流が人口増加への道筋になります。公式解答例では「移住を考える人と移住経験者との意見交換」です。25字以内で、意見交換を行う双方を明確にします。
設問3(2)
地産地消コーディネートアプリは、生産者と実需者をマッチングし、実需者が気に入った農水産物をアプリ内で購入できる仕組みです。実効性の評価では、紹介や通知から実際の購入につながったかに着目します。公式解答例では「アプリを利用して購入した件数」です。15字以内で、アプリ経由の購入と、その件数を測ることを示します。
設問3(3)
レコメンドアプリでは、観光目的でも滞在目的でも、利用者が提案を気に入ればアプリから予約できます。したがって、情報の推薦が具体的な施設やサービスの利用に結び付いたかを、予約件数で確認します。公式解答例では「アプリを利用して予約した件数」です。15字以内で、アプリ経由の予約と、その件数を測ることを押さえます。
設問3(4)
今回のPoCは、スマートシティ構想の実現に向けた第一歩として三つのアプリの実効性を評価するものです。構想全体に関する指標では、個別アプリの購入や予約に加え、サービスがどれだけ利用されているかに着目します。公式解答例では「アプリ利用者数」です。10字以内でこの指標を示します。人口増加は構想が目指す効果ですが、ここで示された指標はPoC段階のアプリ利用者数です。
学習のポイント
地域全体の課題と個別地域の課題を区別し、事業目標・IT基盤の要件・サービスの目的・評価指標を対応付けて読む力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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