STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
目的と検討対象のつながりを確かめる
事業と技術の関係を考えるときは、扱われている内容が何を目指すものなのかに着目しましょう。用語の印象だけで判断せず、目指す目的と検討対象のつながりを、自分の言葉で整理することが出発点になります。
この問題で問われていること
この分野では、事業上の目的と検討している内容がどう結び付くかを意識して考えましょう。示された情報の範囲で、そのつながりを説明できるか確かめ、書かれていない目的や事情を自分で補っていないか振り返ってください。
視点
検討対象を捉える際は、事業の目的とのつながりに注目します。用語を知っていることと、その場面で目的にどう関係するかを説明できることを分けて考えると、整理しやすくなります。
確認ポイント
- 目的と検討対象のつながりを意識しているか
- そのつながりを示された情報で説明できるか
- つながりの説明に独自の前提を足していないか
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解説
A社は、会員との互恵関係を強化して経済圏を拡大するため、ポイント付与とNFTにブロックチェーンを活用する。また、信頼度スコアと監視の仕組みを相互に連携し、安心してSNSを利用できる仕組みを目指す。経営上の前提、課題と施策の対応、会員のニーズ、既存の収益事業とのつながりを読み取る問題です。
問題の全体像
A社はSNSを中核にM&Aでサービスを拡張してきたが、既存システムとの連携に手間がかかり、会員が期待するUXをタイムリーに提供できず、MAU伸び率が鈍化している。そこで、ブロックチェーンとスマートコントラクトによるポイント付与、NFTを取引するマーケットプレイスを計画した。これとは別に、信頼度スコアと監視の仕組みを連携し、安心して利用できるSNSを目指している。公式資料の出題趣旨では、事業全体の成長に向けた課題分析と、ITを活用したサービスの見直しへの対応を問うとしている。各設問では、技術そのものの説明より、経営上の課題や会員のニーズにどう応えるかを読み取る。
設問1
冒頭の「会員との互恵関係を強化することで、A社経済圏を拡大する新たなIT戦略」に着目する。MAU伸び率は互恵関係の状況を把握する経営指標であり、その鈍化は、この戦略を支える前提に影響する。公式解答例では「会員との互恵関係を強化することでA社経済圏を拡大できるという前提」としている。40字以内では、互恵関係の強化と経済圏の拡大の因果関係を押さえる。採点講評では、単に会員がデジタルコンテンツを活用することを前提とする解答が見受けられたとしており、会員の行動だけでなく経営上の前提まで示す必要がある。
設問2
〔A社が抱える課題〕にある、新サービスのポイント付与システムを都度連携させ、全体への影響調査や対応検討が必要になるという記述に着目する。そのため、条件を満たした会員に共通ポイントをすぐに付与できず、期待されるUXの提供が遅れている。新システムはスマートコントラクトによる自動付与で、この課題への対処を狙っている。公式解答例では「新サービスを獲得しても会員が期待するUXをタイムリーに提供できていない」としている。40字以内では、新サービス獲得時にも期待されるUXをタイムリーに提供できないという課題を示します。
設問3
信頼度スコアの高い会員にはポイント付与率を高くする仕組みと、通報やAI検知で中傷などの加害者を把握する監視の仕組みに着目する。両者を連携させる目的は、加害行為を抑止し、会員が安心してSNSを楽しめるようにすることです。公式解答例では「加害者のポイント付与率を減らしたり、付与を停止したりする仕組み」としている。35字以内では、対象が加害者であることと、ポイント付与率の低減や付与停止を示します。採点講評では、貢献活動へのポイント付与を答えた解答が散見されたとしており、加害者に対する抑止力のある対策を捉える必要がある。
設問4(1)
会員のニーズとして挙げられた、コンテンツの利活用、充実した特典の獲得、同じ趣味し好の会員との交流を、下線①の具体的な機能と対応付ける。下線①に続く記述では、スマートコントラクトによってコミュニティへの参加権や限定商品の購買権などを提供できるとしている。これらは特典を充実させる機能なので、公式解答例では「貢献活動に対してさらに充実した特典を獲得したいというニーズ」としている。35字以内では、貢献活動に対する特典をさらに充実させたいという要望に絞って示す。
設問4(2)
下線①の後にある、独自に実装したスマートコントラクトを用い、転売などの二次流通でも収益の一部を著作者に自動的に還元するという記述に着目する。設問は会員間の取引や会員への特典提供以外の活用を求めているため、著作者への収益還元を答える。公式解答例では「NFTの二次流通においてもその収益の一部を著作者に還元させる」としている。35字以内では、二次流通、収益の一部、著作者への還元という要素を押さえる。一次流通だけの還元では、本文で計画した仕組みの特徴を示せない。
設問4(3)
本文末尾の、NFTの取引履歴やスマートコントラクトの実行履歴を収集し、匿名化して趣味し好の傾向を可視化するという記述を、冒頭に示された収益事業と結び付ける。A社は既に提携企業へのマーケティングに関するデータ提供サービス事業を行っており、可視化したデータはこの事業の拡大に活用できる。公式解答例では「マーケティングに関するデータ提供サービス事業」としている。30字以内では、データの分析方法や一般的な活用例ではなく、問われている事業名を具体的に示す。
学習のポイント
技術の一般的な特徴だけで答えず、本文の経営方針、課題、会員のニーズを施策と結び付け、設問が求める対象を字数内で具体的に示す。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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