STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

令和3年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 デジタルトランスフォーメーションを実現するための新サービスの企画について 企業は,データとディジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むことが重要になってきている。 流通業のグループ会社である倉庫会社では,物流保管サービスのプラットフォーマに変革するというDXを実現するための新サービスを企画した。具体的には,ICタグを使って商品1個単位に入出庫や保管を管理できるように物流保管システムを改修し,グループ外の一般企業にも,オープンAPIを用いた物流保管サービスを提供した。これによって,洋服一点ごとの管理ができる倉庫を探していた衣料品レンタル会社などを新規顧客として獲得している。 工場設備の監視制御システムなどを提供している測量機器メーカでは,サービス業にも事業を拡大するというDXを実現するための新サービスを企画した。具体的には,赤外線カメラなどを搭載したドローンを活用し,ドローンで撮影した大量の画像データをAIで解析することによって,高所や広範囲なインフラ設備を監視する年間契約制のサービスを提供した。これによって,インフラ点検を安全かつ効率的に行いたい道路運営会社や電力会社を新規顧客として獲得している。 ITストラテジストは,DXを実現するための新サービスを企画する際には,ターゲットの顧客を明確にし,その顧客のニーズを基に新サービスを検討する必要がある。 さらに,DXを実現するための新サービスを具体化する際には,収益モデル,業務プロセス,新サービスの市場への普及方法,リスク対応策,協業先などを検討し,投資効果と合わせて経営層に提案することが重要である。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わったDXを実現するための新サービスの企画について,背景にある事業環境,事業特性,DXの取組の概要を,800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べたDXを実現するために,あなたはどのような新サービスを企画したか,ターゲットとした顧客とそのニーズ,活用したデータとディジタル技術とともに,800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べたDXを実現するための新サービスを具体化する際には,あなたは経営層にどのような提案を行い,どのような評価を受けたか。評価を受けて改善したこととともに,600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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企画と提案をつなぐ判断の振り返り

新サービスの企画から経営層への提案までの実務経験を、判断の理由がつながっているかという一つの視点で振り返りましょう。当時の状況、自分の考え、提案した内容の関係を、経験に即して整理してみてください。

この問題で問われていること

設問で求められた観点に沿って、自分が企画時に考えたことと、経営層への提案で説明したことがどうつながるかを確かめましょう。実際に行った判断を一つ選び、その理由を自身の経験からたどると、論述の筋道を整理できます。

視点

当時どのように考えて提案内容を決めたのかを振り返ります。設問に関係する経験について、判断の理由と実際に説明した内容のつながりを、自分の言葉で整理しましょう。

確認ポイント

  • 取り上げた判断は、設問で求められた観点に関係しているか
  • その判断の理由を、当時の自分の経験に基づいて説明できるか
  • 企画時の考えと経営層への提案内容のつながりが読み取れるか
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解説

本問は、自身の経験と考えに基づき、DXを実現する新サービスの企画から経営層への提案、評価を踏まえた改善までを論述する問題です。顧客ニーズとデータ・技術の活用を結び付け、事業やビジネスモデルがどう変わるかを具体的に示すことが要点となる。

問題の全体像

問題文は、倉庫会社が商品単位の管理とオープンAPIによって物流保管サービスのプラットフォーマへ変革する例と、測量機器メーカがドローン画像のAI解析による年間契約制の監視サービスへ事業を拡大する例を示している。いずれも、顧客ニーズに応える新サービスによって事業を変革している。本問には具体的な公式解答例はなく、添付資料には出題趣旨と採点講評が示されている。出題趣旨では、顧客とそのニーズ、活用したデータと技術、サービスを具体化する提案を通じて、DXを企画・提案する能力を評価するとしている。採点講評では、業務改善や一機能のディジタル化にとどまる論述も見受けられたと指摘している。提示された事例を参考に、自身の経験と考えに基づく企画について、事業変革との関係を設問アからウまで一貫して記述する。

設問ア

「あなたが携わった」と「背景にある事業環境、事業特性、DXの取組の概要」に着目する。800字以内で、対象事業と自身の役割、事業環境の変化、事業特性、それらを踏まえた変革の必要性、DXの取組の概要をまとめる。事業特性は、顧客層や提供価値、収益構造など、企画の理由を理解するために必要な事項を選ぶ。採点講評では、論述対象の概要が適切に記述されていないものや、具体性に乏しい論述に注意を促している。そのため、背景を一般論で終わらせず、自身が携わった事業で何が課題となり、新サービスによってどのような事業へ変革しようとしたのかを示します。サービスの詳細は設問イに回し、ここでは論述全体の前提を明確にする。

設問イ

「設問アで述べたDXを実現するために」というつながりと、「ターゲットとした顧客とそのニーズ、活用したデータとディジタル技術」に着目する。800字以上1、600字以内で、顧客を具体化し、把握したニーズ、そのニーズに応えるサービス内容、利用するデータと技術、その活用によって生まれる顧客価値を説明する。技術名の列挙にとどめず、どのデータをどう取得・処理し、サービス提供にどう使うかを、自身の企画上の判断とともに記述する。出題趣旨では、これらについて具体的に論述することを求めている。また、採点講評で指摘された業務改善だけの論述を避けるため、新サービスが既存事業やビジネスモデルをどう変え、設問アのDXを実現するのかまで結び付ける。

設問ウ

「経営層にどのような提案を行い、どのような評価を受けたか」と「評価を受けて改善したこと」に着目する。600字以上1、200字以内で、提案内容、経営層の評価とその理由、評価を踏まえた具体的な改善を順につなげて記述する。問題文は、収益モデル、業務プロセス、市場への普及方法、リスク対応策、協業先などを検討し、投資効果と合わせて提案する重要性を示している。自身の企画で重要だった事項を選び、採用した案と判断根拠を説明する。投資効果を数値で示す場合は、自身の経験に即した前提も添える。評価については、承認されたという結果だけで終わらせず、経営層が評価した点や懸念した点、それに対応して何をどう改善したかを示します。出題趣旨で示された提案能力を伝えるため、技術の説明だけでなく、事業としての実現性や投資判断につながる内容を具体化する。

学習のポイント

業務改善にとどまらない事業変革を捉え、自身の判断を顧客ニーズ、サービス設計、経営層への提案と結び付けて説明する力を養う。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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