STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
連携施策を考える一つの視点
店舗とオンラインをまたぐ業務を考えるときは、個別の機能名や手段から判断せず、利用者の行動と現場の作業がどこでつながり、全体の流れにどのような影響が出るかを整理しましょう。
この問題で問われていること
確認する観点を、顧客接点から社内処理までのつながりに絞ります。情報や作業の受け渡しが途切れず、関係者が同じ目的に向けて動けるかを、問題文の記述に沿って見比べてください。
視点
まず、利用者側の体験と現場側の運用を別々に眺めたうえで、両者を結ぶ流れに注目します。便利さだけでなく、担当者の負担、情報の扱い、継続的な改善のしやすさがどう関係するかを考えると、表面的な印象に引きずられにくくなります。
確認ポイント
- 利用者の行動と社内作業が、どの場面で接続しているか
- 情報や担当の受け渡しに、見落としや重複が生じそうか
- 短期的な便利さと、継続運用のしやすさを分けて考えたか
正解と解説を見る
解説
R社は来店客減少に対応するため、外部サイトの制約を解消した自社ネット通販を構築し、店舗受取、体験販売、柔軟な価格設定、在庫連携によって販売機会を増やそうとしている。
問題の全体像
R社は、店舗の商品力を強みにしてきたが、社会環境の激変で来店客や旅行客が減少し、全店舗で減収減益が予想されている。従来の外部ネット通販サイトは、画面レイアウトや表示項目に制約があり、商品の魅力を十分に伝えられず、返品・交換も煩雑で、売上情報も基幹システムへ手作業で連携していた。そこで、自社のネット通販システムを構築し、店舗受取、体験重視の販売、店長による柔軟な価格設定、店舗・配送センタを含む在庫管理を実現する。本問は、各施策の狙いと、それを支える情報システム機能を課題と対応付けて答える問題です。
設問1
着目すべきなのは、外部のネット通販サイトでは画面レイアウトや表示項目に制約があり、R社商品の良さをアピールしにくいという記述です。また、返品や交換の手続が煩わしいことも課題です。したがって、新規システムを構築する理由は、外部サイトの制約を解消し、R社独自の販売方法や顧客対応を実現するためです。公式解答例では「外部のネット通販サイトの制約が解消するから」としている。
設問2(1)
店舗受取は、ネット注文後に商品を実際に見て、想像していたものと違うと感じる顧客を想定した仕組みです。問題文では、その場合に受取場所で返品や交換ができるとある。したがって、答案では「商品が想像していたものと違う場合」と「その場で対応すること」を押さえる。公式解答例も、この内容を示している。
設問2(2)
店舗にはない色やサイズでも、他店舗や配送センタに在庫がある場合は、店舗で注文・決済してネット通販の流通経路に乗せる。これは、地域ごとの流行などで特定店舗が品切れになっても、顧客を待たせず購入できるようにする取組です。採点講評では、単に在庫をネット通販に流通させるのではなく、需要の変動への対応として捉えることが求められている。公式解答例では「品切れ時にも顧客がすぐに購入できるから」としている。
設問2(3)
ネット通販で閲覧は多いのに売上げが伸びない商品について、画像だけでは商品の良さが伝わらないことが問題文の出発点です。体験教室や動画によって、顧客が商品に触れたり使ったりする機会を増やし、商品の良さに気付かせることが狙いです。公式解答例では「顧客が良さに気付いていない商品の紹介機会を増やす」としている。
設問2(4)
値引き額の承認を本社に求めると時間が掛かり、すぐに価格設定できず販売機会を逃している。店長の裁量で価格変更できれば、地域や店舗の状況に応じて迅速に価格を設定できる。したがって、理由は販売機会を逃さないためです。公式解答例では「販売機会を逃さないようにしたいから」としている。
設問2(5)
店長は店舗ごとの目標値を管理しており、その一つに粗利率がある。価格を変更すると売上だけでなく利益にも影響するため、損益シミュレーションで目標粗利率への影響を確認する必要がある。公式解答例では「店長が店舗の目標粗利率への影響を確認するから」としている。
設問3(1)
問題文には、ネット通販サイトの売上げをネット通販専用PCから基幹システムへ手作業で連携しており、基幹システムで最新の売上把握ができていないとある。したがって、基幹システムとの連携機能は、この手作業による売上連携の課題を解決するために必要です。公式解答例では「ネット通販の売上げを手作業で連携していた課題」としている。
設問3(2)
在庫管理サブシステムに求められるのは、配送センタ及び店舗の全商品をネット通販システムと連携して管理する機能です。これは、ネット通販で購入した商品を顧客が指定した店舗の受取専用ロッカーで受け取れるようにする取組に対応する。採点講評では、一般的な在庫連携ではなく、R社独自の店舗受取の取組に結び付けて答えることが求められている。公式解答例では「顧客がネット通販の購入品を店舗で受取可能にする取組」としている。
学習のポイント
施策の目的を、本文の課題と情報システム機能に結び付けて説明する力。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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